First Impression

「第一印象」それは初見において、この人はこういう人なんだろうという想像、いわば先入観であると思っている。
その人の出立ちや醸し出す雰囲気、ファッションや顔に現れる外見的なモノを判断材料として、今まで自身が出会ってきた人たちの中で自分にとってどんな人間に該当するかをカテゴライズすることである。

そうやって僕ら人間は、本能的に関わるべきかどうかを判断するよう設計されているのかもしれない。
だから関わってきた中で苦手な人と顔や声が似ているだけで少し苦手意識が出たり、逆に最初から好意を抱くこともある。
容姿端麗な人ってのはここらへんのカテゴライズで比較的いいポジションを取りやすい。それはまあ、ルックスが良いというのは生物学的にも優性遺伝子を有してる訳だから自然の摂理である。

ある程度年齢を重ねるにつれて、関わる人が多くなればなるほど、"人は見かけによらない"ということが分かるようになり、この"第一印象"という考え方すらあまりなくなってくると思う。
僕は父の転勤の都合で幼稚園は２つ、小学校は３校通ったから割と早いうちからそんな感じだった。
よく、第一印象は？みたいに聞かれることがあったけど、そういうときは当たり障りのないことや相手が喜びそうなこと、笑えるようなことをつらつらと答えていた気がする。

人間には良い面もあれば悪い面もある。と、大人は言うが、それは受け取り側の考え方に起因するモノだと小学生なりに思っていた。
だから僕は一人一人の良いところを探すことが楽しかったし、そうやって色んな人間を知っていくことが楽しかったんだ。
容姿云々というよりかは、相手を褒めること、相手が欲しい言葉を言えるってことの方が学生時代モテた理由だと思っている。
それくらい言葉というものは大切だと思っている。
悪く言えば八方美人なのかは知らんけど。
実際他人の悪口はあまり言わない方だと思っているし、どうせ悪く言うなら本人に直接言いたい。
小学校から大学まで合わせても、きっと同級生の9割以上の人と会話をしてきたと思う。さらに上の学年や下の学年問わず、講義で席が隣になったり、部活や学食なんかで少し近くにいただけなのに話しかけていた。
さぞ迷惑だっただろう。
極め付けはコンビニやファミレスの可愛い店員さんとかね。
だから、同級生の顔と名前はだいたい言われれば今でもすぐ分かる。

大学時代は教育学部だったから、3年次に教育実習へ行くんだけど、最終日に担当クラスの生徒一人一人に手紙を書いた。
その子たち1人1人に向けた良いところ、伸ばして欲しいところ、ここは強みになるぞ！みたいなことをめちゃくちゃ書いた。
どうせすぐバレるだろうと思ってバイト先を公開したんだが、実習が終わってから1週間もしないうちから担当してた生徒が親と一緒にたくさんお店に来てくれた。
やっぱ言わない方がよかったか〜なんて思ってたけど、保護者の方々から

「うちの子どもがもらった手紙読みました！
1ヶ月しか関わっていなくてもこんなに子どものことを分かってくれるんですね。学校の先生って凄いんですね！」

と結構言われたのもあって、まあなかなか良いもんだなと思ったからやっぱりフィードバックのために言っておいてよかったと思い直した。
その時もう新卒で教員にならないことは決めていたからなんとも申し訳ない気持ちであったが、教員が皆そうやって生徒に全力で向き合って欲しいなって思っていた。
なんなら、そういう気持ちがない人は教師にならないで欲しいとさえ思う。

第一印象の話からちょっと飛躍しすぎちゃったけど、人の印象ってのは基本的にはどうしても見た目なんだよね。
好意を抱かれやすい表情をしているかどうか、自分が魅力的に見える服装や身だしなみをしているかってだけで、実際のところは人間関係の発展性は大きく変わる。
もちろん、関わっていく中で性格が歪みすぎていることが露呈することもあるかもしれないし、逆に良い方に転じていくこともあるかもしれない。
ただ、それはそれ。
メラビアンの法則とか、黄金比率とか、科学的な視点から自分をよく見せるための努力をすることは結果として自身の人間関係、社会環境に大きく影響を及ぼすことは間違いない。

世界には70億人もの人間がいるわけなんだから、今いる環境が努力している自分のことを評価してくれないと思うなら、その環境や関わるコミュニティ自体を変えていって、自分が心地いいと思える場所で生活すればいいだけなんだ。
それを変に「ここで生きていかなきゃいけない」「海外に行くにしても現地の言葉が話せないから不安」なんて言うのであれば、今の環境で楽しく生きる努力をしなければいけないのは当たり前の話だと思う。

ただ、こういう話を間に受けて、大した努力もしてないのに「正しく評価されない！」とか言う人が増えてきているように見えるのは、自分の市場価値を理解せずに転職で給料を上げようとしている人が多いことに現れている気がする。
勘違いは良くない。
あくまでも個人的な感想。

良いとこ探しと粗探しは、結局自分に返ってくるもんだからね。
先入観や偏見、くだらないプライドと童貞は早く捨てた方がいいみたい。