【🇪🇸La vida de España⑨】

今月いっぱいで閉店が決まったときの皆の感じは今でも忘れない。
この先きっと忘れることはないだろう。

15人のスタッフが一気に職を失うことになったのだ。
急に朝集められ、閉店することをマネージャーが告げた。
僕はなんとなくしか聞き取れなかったが、
友だちが「来月から俺たち全員仕事なくなるらしいぜ」みたいなことを言うもんだからびっくりしたよね。
え？皆どうすんの？！
って聞いたら、
「わからん」しか返ってこなかった。
「おまえはどうすんの？」って聞かれたけど、
僕も「わからん」しか答えられなかったもん。

閉店が決まると、もう必要最低限の仕事しかしなくなって、納品も欠品塗れで、メニューも欠品塗れだった。
日替わりのメニューもほとんど変わらないし、在庫を捌かすためのものとなった。
ただ、まかないは日々豪華になっていた。
そんな中誕生日を祝ってもらったりして、結構嬉しかったよね。

最後の方は、飲みたいときにカフェラテやモヒート作ったり、鉄板で餃子パーティ開催してみたり、しっかり出汁とって味噌汁作ったり、ひたすらケーキを食いまくったりした。
しかも全員8時間以内で帰ろうとするし、民度は最悪。
会社からしたらきっと潰して正解、みたいな働き方をしていたと思う。

結局、2ヶ月も働いてないけど退職金も出たし、
オーナーとの繋がりはまだあるし、
シェフやマネージャーともまだ連絡をとったりもする。
なんだかんだ愛着が湧いた店ではあった。
スペイン語を話し出すまでは冷たい感じだったけど、皆仲良くなると凄くフレンドリーで、楽しい人たちばかりだったし、なんだか名残惜しさだけが残った。

閉店が決まった時からもう仕事探しは始めてたんだけど、1週間くらい経った頃におにぎり屋から連絡が来る。
大して興味はなかったけど、働いてみたらなんか面白いことあるかなって思って面談をしに行った。
月給もそこらへんの調理職より高かったしね。

オーナーはスペイン人で結構美人だった。
「あ、働きます！」
と、結局二つ返事で働くことにしたんだっけ。
動機は単純で、わんちゃんあるんじゃねえか。と思っただけである。

こんな流れでジャパレスが休みの日を使って、
おにぎり屋でバイトをし始め、その翌月からフルタイムで働くことになった。

ここからは少し鬱PART。
バルセロナに来て初めて日本人と働くこととなった。
ここで出会った2人の日本人の友だちが、またすげえ面白い人たちなんだ。