見出し画像

【🇨🇦カナダ留学⑤】

あれは確かスノーボードのシーズンが始まって、
生活を山へ行くことに重きを置いた頃だっただろうか。
またシェフに呼び出されて

これ以上仕事が速くならないのなら、
今年一杯で君はクビにする

と、またしてもクビ宣告を喰らう。
スノーボードに全力を注いだ男の末路である。
もし解雇されたら、、、
シーズンパスが取り上げられ、代金であるCAD$1600を支払わなければならない。
これはまずい。俺は何のためにウィスラーに来たんだ!と思い、今度は仕事に注力する。

すると、できない自分が嫌になって、悔しくなって、スノーボードに行けないストレスも相まって完全に塞ぎ込んでしまった。
1週間ほど誰とも連絡も取らず、ただ仕事のために寝て、起きて、飯を食うことを繰り返していたような生活だった。

そんな時ヘッドシェフのライアンが声をかけてくれた。
明日スノーボード行こうぜ!

「あ、いいよ」みたいなノリで10日振りくらいにスノーボードをした。
朝一のパウダーを食いまくり、サイドカントリーでパウダーを食いまくり、パークを流してカフェで一服。

まさに至高の時間だった。

最後にライアンに言われた「俺は君に仕事以外の時間で仕事について悩んでほしくないんだ」
って言葉に、涙が出た。
だからスノーボードに誘ってくれたのかと。

そこからはスノーボードの活力がモチベーションになり、仕事も趣味もパフォーマンスがどんどん上がっていった。
気づけば当初採用された3rd Cook(仕込みメイン)のポジションから2nd Cook(調理補助)に上がり、すぐに1st Cook(ラインクックのトップ)にまで昇格していた。


スノーボードがあったから、僕の人生に彩りが出たのかもしれない。
これが、"スノーボードと料理"という人生の軸を決めた瞬間である。

大晦日の日にはシェフが一人一人に今年の総括的な意味合いでメッセージをくれ、全員でシャンパンを開けて乾杯した。
尚そのメッセージに関してはあまり覚えていない。

最終営業日の締めは何故か泥酔した僕1人だったけど、22年間生きてきた中で最も全てが充実した時間に感じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?