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力戦奮闘記⑤EC販売

EC販売(通信販売)、
テイクアウトの延長線として僕が次に試そうと思った販路拡大計画だ。

行政からの時短営業要請期間があまりにも長く、ほとんどランチタイムしか営業することができなかったので、色々と販路を広げたくて日々思考していた中でやってみようと思った施策の一つだ。
まず大きいゴールとして通信販売、つまり大手ECサイトである楽天市場やAmazonなんかに出品しようかなと考えた。

そんなことを考え、楽天やAmazonでイタリアン業態の通信販売実績なんかを見ていて思ったのだが、ミシュラン星付きの商品も、色んなコンペティションで賞を取っている商品もそんなに売上が上がっていないことが分かった。
Amazonなんかは販売実績とかがある程度見れるようになっているんだけど、当時は衝撃を受けたよね。
そんな有名なお店やシェフが監修した商品でもそんなに売れないんだったら、認知もそこまでない、そしてそこまで安くもない商品を出品したとしてもサイト内で埋もれていくだけだろう。って。
さらに、僕にはECサイトにおけるSEO対策の知識もないので明らかにコンバージョンは悪いだろうし、そこにコミットするよりまずは目の前のお客さんを大切にした方がいいな、って思った。

でもパスタソースを真空して、ソースだけでテイクアウトができるようになれば麺がソースの水分を吸って伸びる心配もないし、熱々で1番美味しい状態で提供できるのではないかと考えた。
手数はかかるけど、送料とかも乗らないのでそこそこ安く提供することが可能だしね。
なので、一応札幌市保健所に連絡してみたり、惣菜類やソース類製造業について調べ上げた。

それでも、オープンキッチンのこのお店ではどうやら厳しそうだなあという感じがしてきて、新たな知見を求めてピザ屋の先輩に電話してみることにした。
どんな聞き方をしたらいいのかもよく分からなかったので、確か結局話すことを何も決めずに電話をかけた。
めちゃくちゃ緊張したよね。
手なんかもう震えてたもん。
しかも後輩からの久しぶりの電話がそんな相談だったら、自分ならまずやってみて上手くいかなかったら連絡しろよって感じだよね。

予想を超える答えだったけど。
「自分1人でやれないなら、この先何もできねえよ。責任は取れないからとりあえず保健所に掛け合ってみろ。何かしら見出せると思うよ」
痺れた〜!
先輩!!って感じしたよね。
こーゆうところに憧れを抱いたんだった!って思い返せた。
もう正直痛いところをこれでもかってくらい抉られるように、心に深くブッ刺さった。
でもアドバイスがいつも優しいんですよ。きっとそれがクセになってしまっている。

いつもド正論かまされるのを分かってて連絡する自分は相当Mなのかもしれない。
尊敬する先輩にとってはいい迷惑だ。
でもそれがまた僕の原動力になって、なんだか1人だけで頑張ってる気はしなくなってきたんだよね。
自分は将来こうなりたいって像がはっきりあるから、それを目指して今のうちにやれることを全力でやっていかなきゃいけないんだってマインドセットされた。
僕の尊敬する先輩は偉大である。

それから僕は平日休みや空いた時間を使って保健所に行ったり電話をしたりして、店舗図面や厨房設備の相談をした。
結果的には、通販や配送は需要がないなっていうのと、どうやら札幌市保健所の見解としても厨房の内装工事が必要そうだったので、真空冷凍したものをテイクアウトで提供することにしたんだよね。
生パスタのポーションと、パスタソースのセットを売ることにした。
そのための計量や作り方などをまとめていつからでも始めれるように動いたんだ。

僕はこの経験から、需要やマーケットに対してどこまで深く読むことが必要なのかということ、自分1人でたくさん動いて行政や他の業態を巻き込む必要性を学ぶことができた。

飲食店のEC事業は相当難しいよ。
特に日本は色々と便利すぎるし、なんせ安くて美味いものが多すぎるんだよ。
いいことなんだけどね。
日本の好きなところであり、個人的には逆に生きにくいところでもある。

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