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「本」で繋がるストーリー(花本月詩×藤井基二)


インタビュアー:花本 月詩

僕ですか、、、云うならば、語ることのあまりないしがない高校生ですよ。
今回だって僕は文字起こし頑張ったくらいです。

インタビュイー:藤井 基二

変わった人。いい人。
おもろしろく、結構数奇な運命を辿っているといえる人。
自分を卑下する発言が多めだが、すごい人。
古本屋「弐拾dB」「ミリバール」の店主。

本編

本が好きな高校生が、偶然の出会いときっかけによって存在も知らなかった古本屋の店主にインタビューすることに。舞台は店主の営む古本屋「ミリバール」。高校生が予め用意した少しの質問と、その場で新たに生まれた店主への疑問を、次々に解き明かしていきます。

インタビュー時間約1時間40分、総文字数15,000文字を超える超大作。
高校生と古本屋店主の対話をお楽しみください。


〜インタビュー開始〜


(僕)本好きですか?っていう…
(藤井さん)あ、シンプルに僕が本が好きか。好きですね。
ーどんなところが好きかなぁっていうところを…
シンプルだけど良い質問だね。 本のどういうところが好きか。

ーはい。
うーん…なんかやっぱり形があるものが僕は好きなんでしょうね
ーあー。
まずそもそも形があるものが好き…かなぁ。まぁなんだろうね…その本っていうのは読むことで描かれていることを、その小説だったり、もちろん詩だったり、あるいは絵本、写真集、まぁどんな本であれ想像…読まれた書かれたことを読むことで想像する、考えたりするものだけど、まずその前に物体として形がある。
ーうーん。
んでその形…例えば、その表紙の写真があったり、絵があったり、もちろんタイトルと著者名が書いてある…そういったなんか物質としての形はそもそも好き…ですね。
ーなるほど
んで物質があるものだから、こう人に手渡したりとか、貸したりとか、あげたりとか、もちろん僕のように売ったりもすることが出来る。そういったところがまずシンプルに好きかなぁ。
あー。
良かったらラジオ切っとこうか。
ーありがとうございます。いや、そもそもその…なんでこの質問したかというとその…本の…まさに言ってくださったことなんですけど、形とかが好きなのか、それとも中身が好きなのかっていうのが…ちょっと気になって。
うーん。
ー中身だったら電子書籍とかでもいいじゃないですよね。だから。
まぁこれはどちらか選ばないと…その中身が大事か、外側が大事かっていうのは、どちらも両輪ですよね 。だからどっちかがっていうのはなくて、例えばガワだけが好き…本の物質としての形が好きなだけであれば中身がなくてもいいわけですけどけど。その中身があることによって外があるっていう…まぁもうそれは2つ重なっているものだと思うから、どちらが好きというわけではなくて、どちらもが大事…なんだろうなぁと思う。だけど時々、本のデザインはいいけど中身が伴ってない本ももちろんあるし、本の中身はいいんだけど装丁…デザインがちょっと拙いものも世の中にはたくさんある 。それ2つが揃っているものっていうのは、意外と実は多くないんだろうなと、個人的には思います。
ーえーと、じゃあ本の好きなジャンルみたいなものってありますか。
僕が好きなジャンル。
ーはい。
僕が特に好きなのは、詩集…まぁ…ですね。詩集と…まぁ写真集も好きかなぁ。特に好きなのは詩集ですね。
ーちなみに、それは何でですか。
なんでなんだろうね。 まぁ理由が言えたら楽なんだけど…そうだね。
ー何となくみたいな…?
んーそもそも本を好きになったきっかけのところに、高校生のときに読んだ中原中也っていう詩人の詩が結構影響してるのかなと思うんですけど。その詩と出会って詩集…詩っていうものがすごい好きで、小説とかならば…結構電子書籍でも読んでいいのかなって思ったりするときもあるんですけど。詩っていうのはやっぱり本の形をしてる方が似合ってるんじゃないかなと思ったり。思わなかったり。まぁ思ったりかな。思っているのかな。それは多分、写真集においても同じことで。
ーそうですね。それは写真の方は確かに、すごく思います。詩を僕あんまり見たことないんで、何とも言えないんですけど。
やっぱりそれはさっき言った形としてのものがあるものとして、ページをめくるっていう行為が本にはあるので、その行為をもってして次のページのとこに行くっていうその動作含めて、まぁ詩集とか写真集…個人的に好きなんだろうなと思います。
ーえーと…じゃあ次に、(営業)時間帯が凄い変わってるというか、その11時から3時でしたっけ。あれ?これはこっち?(弐拾dB?ミリバール?)
あー、いや違うよ弐拾dbの方がね、そうだね。
ーそれは、なんでなんですか…っていう。
素朴にね。あの店を始めたのが、今から8年前くらい。
ーへー!
なんですけど、だから僕が23歳くらいのときで、そのときは僕はアルバイトをしていて、アルバイトの仕事が、夕方の4時から夜の10時半くらいまで。その時間帯がバイトがある。バイトをしながら店を始めた。バイトすぐやめて、店一本でやろうとするには、やっぱり最初は不安だし。
ーそうですね。
失敗したらどうしようとか。そういうのがあったから、バイトを続けながら店を始めるためには、バイトの仕事時間以外の時間で開けなくちゃいけない。ってなってくると、昼11時、昼の3時まで。っていうのも開けれたけど、それだと面白くないなと。その4時間だけ開けてもね。だったら同じ11時~3時でも、夜中の11時~3時の方が面白がってくれるだろうと。で、それも店のキャラクターになる。
ーあー。
つまり、夜にしか開いていない古本屋。
ーそうですね。
っていうのをちょっと考えた。だし、自分もそもそも、夜することそんなにないし。だからもう、夜に開けようかなって感じだね。
ーその時間が空いてたっていうのもあるってことですかね。
そうだね。夜しか逆に開ける時間がなかった。ならば夜に開けてしまえばいい。
ー僕は今の話を聞いて、新たに思ったんですけど、どれぐらい寝てるんですか?何時から何時の間というか。
えーとね、今は割と寝れてる方で、大体4時半、朝の4時半くらいから寝て、朝の10時半くらいまで…11時くらいまで。だから平均して5,6時間は寝れてるかな。だけどバイトをしてるときは…でもどうかな、バイトをしてるときもあんま変わんないかもしれない。まぁ、でもそれくらいかな、5,6時間。だから朝方寝てるかな。
ーえっと、じゃあ次に…何か趣味ってありますか。
趣味がねぇ…それは僕も結構考えてて、趣味がねぇ…多分ないんですよ。多分ないと思う。なんかこう仕事の話になったりするとONとOFF切り替えるみたいなね。だから仕事のときと、趣味の時間を分けてって考えるけど、僕はそもそも本を読むのが好きだったりするから、だったらそれもある意味仕事みたいなとこになったりするわけですよ。この本面白いな、だったらこれ紹介できるなとか。たまに文章書くお仕事いただいたときとかに、この本の紹介とかできるなとか考えちゃう。生かせるなと。そしたらそれは仕事になっちゃってるし。店離れてるときも、ずっと絶えず店の事考えてるから。そう考えると、僕は多分趣味がないんだろうなと思う。だから仕事っていうか、店がある意味趣味だし、仕事が趣味でもあるし、趣味が仕事にもなるしっていう。そういう感じですね。それがいいのか悪いのかは、僕も怪しい 。僕はでもそれの方が楽しいからね。店の時間が楽しいからいいんだろうな。
ー趣味を仕事にできたってことですかね。
ある意味そういうところもあるだろうね。それが全然しんどくないってことはいいんだろうね。たまに趣味を仕事にしてしまうとしんどいって方もいるけど、僕はたまたま向いてたってことだね。
ーいいなぁそれ。
ね、いいよね。たまたまだけどね。
ーやってみたいこととか夢ってありますか。
夢…店をやってるってことがある意味夢が叶ってしまっている状況なんですが。少なくとも、もう死ぬまで店を続ける。これはもう毎回言ってる夢ですね。それは死ぬまでという曖昧な表現になりますが、それはもちろん1年後ね、病気で亡くなってしまう事もあるかもしれないし、はたまたね20~30年たつかもしれないけど、どんな形であれ死ぬまで店をやる。これがまず一個夢ではあります。
ーおー。
やってみたいことってところでいくと、自分が好きな、敬愛してる詩人がいて、その人の本を作りたい。それは結構埋もれてて、あんまりそういう本が出ていないので、その人の本を作りたい。これは結構少しずつ進めてるから、割と近しい目標ではあるかな。そういう埋もれてるような人の本を作りたいかなぁというのはしてみたいことになりますかね。 …夢は?って聞かれたら…なんて答えるの?
ー僕ですか?
うん。
ー僕は、一応小説家になりたいと思ってます。
うん… いいと思う。小声になる感じも謙虚な感じがあって。
ー将来の夢って言われたらちょっといいなぁって。やってみたいなぁって思うんですけど。
その聞かれたときに小声になる感じ。本当らしくていい。いいと思う。
ーあんまり自信がないから小さく…
そういう人の方が多分書けると思う。自信満々な人って怖いから。大丈夫だと思うよ。
ーありgぁとぅごzぁぃます…(ありがとうございます)
いやいや、僕も偉そうなことは言えないけど。
~え~と…どこから本を仕入れているのか。
お客さんからですね、まずは。つまり古本屋なので、どこかそういう…池とか湖から魚を取ってくるわけではないので、お客さんが本を売りに来たり、例えばうちの家に本があって処分に困ってると。声がかかれば自宅に行ったり…っていうのがメインです。だから店にある本は基本は誰かが持ってきたっていうところが一つ。それともう一つ、ちょっと込み入った話すると、古本屋さんが入ることができる古書組合っていう組合があるんですけど。
ーへー!
これは入るのは自由で、お金を出したら組合に入れるんですけど、僕は広島県の古書組合に入ってて、その組合が定期的に開催してる業者間だけの市、競りみたいなのがあって、そこで仕入れること…仕入れてもいます。
ーへぇー!
そこは、それぞれが本を持ち寄って、出品して、入札をする。つまり自分の店で売りにくい本も、例えばうちの店ではちょっと渋すぎるというかね。うちのお客さんではあんまり欲しい人少ないだろうなって本があるとしても、その市会、組合の市に持っていって出すと。そしたら、他の本屋さんだったら、うち向きの本だ、ジャンルの本だって、(そういうのが)あったら落としてくれたりする。逆に言えば僕がその市会で、うちの店向きの本が、ジャンルがあるな。例えば詩集がいっぱい出てるとしたら、じゃあ僕は(競り)落として帰ろう…と業者間の市があります。そういうところで仕入れることもあります。まぁどっちもですね。
ーそういう仕入れた本って、弐拾dBとミリバールでどっちにどう置くかとか決めてるんですか?
よく聞かれます。それは絶対聞かれると思います。僕の方でも、ちょっと悩んでる。だけど、弐拾dBの方が割と本店みたいなイメージがあるから、あそこにメインで置きたいものを置く。例えば、ずっと置いててもすぐ全部売れるわけじゃないから、たまに定期的に本を入れ替えたりしたりしたいんですよ。そうなったら、そろそろこの本のはミリバールに持っていこうみたいな感じで持って行ったりとか、逆にミリバールにある本をまた弐拾dBの方に持っていこうと。 そうするとこんな本あったっけみたいな。同じ本でも置いてある場所によって見え方が変わってくるから、ジャンルでっていうのは実はちょっとあるにはあるんですが、そんなにこだわってはないので、自分自身が。
ーきっちり決まってるって感じではないんですか?
そう。きっちり決めてない。決めれてない。それは割とだらしがない。そんなにしっかりしてない。何となくはあります。
ーどのくらいのペースで売れるのか。どっちも合わせて。
もう少し詳しく。どういうことですか?
ー古本の売れ具合と、売りにくる具合もちょっと気になるんですけど。
売りにくる?お客さんが。
ーはい、そうです。
どれくらいの頻度で売れるのか。結構込み入ったことを聞くね。もちろんそれは古本としてやってきた、お客さんが持ってきた本で、その日に売れてしまう本もあるんですよ。それは例えば話題作だったり、たまたまお客さんが探してた本だったり、その日のうち、1週間のうちに売れてしまう本もあるし、5年経ってやっと売れる本もある。
ーでも5年経ったら売れたんですね。
5年経ったら売れる。いつか売れる本もある。それは定価が高い本とか、中々内容が渋い本とかは確かにすぐに売れないけど。例えばそういったものを、うちもインターネットのネット通販ちょっとやってるんですが、ちょっとやってる。でもそんなにガッツリやってないんで、うちは。それもある意味珍しいんだけど。インターネットに出せばすぐ売れてしまうんだろうなって本もあるんですが、あんまり面白くないんですよね。個人、探しに来てくれて、掘り出しも見つけたと思ってくれる方が、こっちもちょっと嬉しい嬉しいので。
ーなんかわかりますね。
だから本によっては、もう本当に2秒で売れてしまうような、2秒っていうのはたとえの表現。すぐ売れてしまう本もあれば、開店当初からずっとある本もある。ものもあります。で、お客さんが買い取って持ってくる頻度は、もうちょっとまちまちですね。多い時もあるし、一月にすごい多い月もあるし、少ない月もある。例えば、これから年末になってくると、大掃除とかね。そのタイミングで本を持ってくる方も多いし、あとは引っ越しシーズンとかね。そういう時は多い。8月とかもなぜか何気に、本があるからなのか多くて、8月のね、お客さん家に行っての買い取りはね、しんどくて。
ー暑い?
暑いから。うん、あと寒い方がいいよね。暑いとね、本当に死ぬんじゃないかと思ったりするので。
ー大変ですね。
はい、そんな感じです。
ー12月ぐらいと、引っ越しって3月ですかね?
まあ3月とかかな、3月、4月とか。まあ結構多いイメージ。
ー3月、8月、12月付近、何となく多い?
何か多いかもね。8月以外と多かったな。


~来店されていたお客さんが本を購入、お店から出ていく~


ー(入り口を見て)こっちはどこから来れるんですか。
ん?あっちは反対側。最初こっちが入り口作って、向こうの部屋、続きまで拡張したときに、普通の入り口にするの面白くないから二次入り口にしました。あっちの方がみんなね、見つけるんだよね。初めて来た人が。こっちの方が面白い。こっちは慣れた人はこっちからの方が面白い。
ー最初入ったときに、なんかすごいドアが開いて…
ああいうの意地悪でやってる。性格意地悪。ユーモアな意地悪。
ーユーモアな方が楽しいです。あれみたいな、千と千尋の神隠しの。
ああ、なんかこうくぐっていく。
ーそうそうそう。釜爺のところから。
ー(この前お店に)いつ行ったっけ。あっちの方に。あれ、あっちだから(弐拾dBとミリバール)どっちだっけ。
dBの方。
ー日曜日行ったときに、何かジュースとか、カバンみたいなものが置いてあったから。
ああ、あるね。
ーあれはどういう経緯で置かれるんですか。ちょっと関係ないし。
本じゃなくて。本じゃなくてってことでしょ。ああ、なるほどね。結構ね、それぞれで繋がりがあって。あのジュース、みかんのでしょ。置いてあったでしょ。あれは僕の大学時代の友人で。友人がたまたまヒッチハイクでこっちまで来て。今、愛媛の島で農家やってるんだけど。最初フラフラしてたのにいつの間にか農家始めて。で、彼が作ったみかんのジュースなんだよね。で、なんか僕が面白くて。で、なんか俺が置こうかって言ったら、えー置いてくれるの?みたいな感じになって。それで置いてる。大学時代は彼も文学部で、僕も文学部だから、彼なんか別に農業と関係ない人生だったんだけど、結果的にちゃんとね、農家一本で食ってて俺もなんか古本屋でやってて、なんかよくわからない人生だなって。まあまあそういうので置いてて、結構売れたんだよ。残りはあの2本しかないからね。あと、あのカバンみたいなやつね。あれはコロナのときに、ちょっとグッズ作ろうかなって思ったときに、うちの母さんが仕事がないから、うちの母さんの収入になるようなもんないかなと思って。母親に裁縫で、弐拾dBのオリジナルカバン作ってもらおうと思って。これね、今ボロボロだけど、これね。で、作ったのが今ずっと売り続けてる。なんかイメージ温泉とかさ、田舎の方に行くとさ、民芸喫茶みたいなさ、地元のおばあちゃん、おじいちゃんが作ったなんか売ってたりするじゃん。手芸の変なコースターとか、誰が買うんだみたいな、あるじゃない。
ーはい。
ああいうののテンションで、なんか自分のオカンの作ったものを売るみたいなノリで。イメージはミリタリーグッズってあるでしょ、軍隊の。ミリタリーグッズと無印良品の間。
ー全然違うものじゃないですか。
綺麗すぎず、野暮すぎず、でもちょっとそこに「おかんみ」みたいな。優しさ、みたいな。優しさじゃないけど、おかんの気恥ずかしさ、みたいなところが。そういうのを作って。でも、あれ結構人気でよく売れてる。
ーそうなんですか!
コロナのときに、応援じゃないけど買ってくださる方もいて。それをずっと置いてる感じかな。そういう形で、自分の店で関わってるところで面白いなんかものがあれば、ちょっと置いてみようかなみたいなのをやってます。本だけじゃなくて。
ー全然違う出どころだった。一緒だと思ってた。
もう全部バラバラ。でも、自分と関わってる人間で面白い人がいたら。それは友達だから置いてるじゃなくて、シンプルに商品として。ドライに。商品としていいと思ったから置いてるって感じですね。だから友達だからって言って置かないものもありますよね。置いてって言われて、いやって断ることもある。
ー常連さんと常連さん以外というか、初めて来た人というか、これから常連さんになるかもしれないみたいな。そういう人の割合っていうか、何人ぐらいそれぞれいるのか…というか。
あ、でもちょっと面白い質問だね。僕は常連さんって思うのは、1回来たらもう常連さんっていうことを思ってて。もう1回来て、2回目来たらもう常連さん。過去に1回来たことあるならもう常連さんかな。例えば旅行で尾道に泊まって、その中で本屋さんに来て、その人がもし仮に1年後また来たときにはなるべく覚えていようと思ってて。だから名前はちょっと厳しいかもしれないけど、来たことはなるべく覚えたくて。だから1回来たら、2回目はもう常連さんですって言うようにしてます。
ーへぇ。
うん。で、割合とかはちょっと考えたことないかな。でも、もう1回来ちまえば常連って言ってるから。俺の定義で言えば、ほぼ100%、ほぼほぼ常連なんじゃないかとかって。だからやっぱり、お客さん、なんか喜んでもらいたいから。まぁ、毎週来てるような人、ある意味常連さんだけど。そういう人はさ、もうもはや本を買いに来てるっていうか、ただ逃げ場所を探してるようなものだから。そういう人もいては欲しいんだけど。そういう人たちはね意外とお金を落とさないからね。
ーあはは。
でもお金を落とさないから悪いってわけでもないしね。お金だけではもちろんないから。
ーはいはいはいはい。
だけどお金出し…ってとこもあるからね。
ーそうですよね。
そこは、まぁバランスで。だから冗談で、たまには本買ってよとかって、ね。正直買いなよ、本、たまには。そういう人が本じゃなくて、たまにジュースくれたり、これ、はい缶コーヒー。毎週なんかそういうお金じゃないもので。それはそれで僕は好きだから。嬉しいかな。
ー面白いなー。
だから最近、俺、嗜好品、お酒とか買ってないもんね。お客さんから貰うからさ。減らないんだよ。
ーすごい。
家にたまりまくるんだよ。お菓子とかさ、買わなくていいんだよ。いいよね。
ーしかも普段自分じゃ買わんかったかもしれんものとかも貰えたりするかもしれん。
いらないものを貰うんだよ。いらない鞄とか、これなー…みたいな。新品だからって、いらないんだよ。まあでも何でもね、頂けるものは貰う。


~トイレ休憩~


質問しっかりしてるよね。
ー最初の方は、会う前というか、最初名前だけでこの人に会いますって決まってたんですけど、その時点でいまいち質問湧かなくて。何考えてるんですかって質問、あとは適当にやってたんですけど。
何考えてんだろうね。
ーだいぶ気になったんで聞いてみたんですけど。
何考えてんだろうね。割と挑戦的な質問だけど。割と悪くない質問だけど。何考えてるんですかって。
ー僕の聞きたいことをまとめたら、こうなってしまって。
大丈夫、いいよ。もしまだ続きがあれば、どんどん。
ーじゃあ、もう一個。どういう感じでここに辿り着いたのかっていうのが気になって。
僕は高校までは、隣の福山市。大学は…向上心がないのでまったく。いい大学に行こうとかまったくないんですよ。そこそこの大学に行けばいい、みたいな。そのときに、京都面白いんじゃないって兄貴に言われたのかな。兄に、お前京都とか似合いそうって、京都の大学に行こうか。で、僕真面目なんだけど、勉強できないんですよ。真面目なんだけどね。めっちゃ授業真面目に受けてるけど、点数そんなに良くないみたいな。そういうやつだったから。自分の学力で、かつ親に怒られなさそうで、親に負担の少なそうな大学みたいなの探して。たまたま行きたい大学が見つかって、そこでまんまと滑り込めたから。それで京都の大学に行けたのね。入っても、別に就職したいなんて考えたことないから。文学部、日本文学科っていう、いかにも本好きが行きそうな、就職なんてまったく考えていないから。だから勉強がしたい、文学の研究がしたい、でまず入ったから。大学って勉強しに行くってことだから別に就職するために行くとかじゃないので、っていうことをずっと言ってて。でもどうしようかなと思ってたけど。結局4回生途中で大学院まで行こうかなってその時ちょっと思ったんだけど、それは真面目な選択ではなくて。なんていうのかな…逃げたかった。就職活動とかしたくなかったから大学院まで行こうかなって思ったんだけど。だけど、4回生くらいのときに、ちょっとね、やべぇ女に引っかかって。この人と、俺は結婚しなきゃいけないんだと思って、就職活動を1回したんだよね。付き合ってはいないんだよ。いつか経験するかもしれないけど、やべぇ女っているんだよ。手玉に転がされちゃって。それでさ、就職活動して。本当だったら就職活動遅いんだよ。大学3年生くらいからみんな始めてんだよ。俺4年生の夏くらいだったから。めちゃめちゃ遅いんだけど、口が立つからうまいこと言っちゃうんだよね。
ーすごいですね
口だけ立つんだよ。京都の老舗みたいなとこに、1個内定取れちゃったのね。だけど、本当だったら内定取れない方がおもろいんだよ。取れなかったですって周りに言って、やっぱ俺はダメだ、社会不適合者なんだって言えるはずだったのが、内定取れたことでね。あれってなっちゃって。卒業する前にね、研修みたいな感じで入ってたんだけど、途中でもうしんどくなってきて。なんか向いてないなやっぱりと思って。そのときに、結構大好きだった実家に住んでたおばあちゃんが亡くなったりとか、あとそのやっちもない女と何も進まないから気持ちが沈んじゃって。で、もう色々ダメになっちゃって。そのとき本が読めなくなっちゃったりとかして、結構気持ち的に沈んじゃって、ダメダメだったんだよね。どうしようかなって、親とか相談して、じゃあもう会社行くのやめたら?無職で1回卒業。卒業は何とかギリギリできそうだから。卒業して、1回地元帰ってきてゆっくり考えたらみたいになって。で、もう会社も辞退して。で、もう無職で卒業。卒業して地元帰ってく。(ここに長くなってごめんね。)卒業して帰ってく。でも帰ってきてさ、奨学金借りてたから、金は返さなきゃいけないんだよ。クソみたいな制度だからね。金返さなきゃいけないから。どうしようかな、働かなきゃいけない。普通のバイトしててもラチも開かないしって思ってたら、なんとなく尾道が…昔、子供のときからなんとなく好きだったのね。尾道なんかでないかな、なんか尾道変な人多そうだしいけるかなと。っていうときにバイト、それがゲストハウス、宿のねバイトスタッフ募集してたから、じゃあそれやろうかな。でも英語が必須って書いてあったから。英語できないんだよ、俺本当は。英語できるって嘘ついて入ったから。でもできるんだよ、誰でも英語なんて。中学英語でなんとかできるから。だから英語できますって言って。本当に?日常程度の英語はできるの?って言われて。できると思うって。嘘じゃないから。入ったからはね大変だったけど。でも数こなせばなんとかなるから。
ー経験の方が。
それで入って真面目にやってれば。ふざけてるけど、ちゃんと一個ずつ、こういう風に言い方するんだな、こういう仕事をするんだなって覚えて。1年経って、2年目になるぐらいのときに(自分の)店を始めてたから。すぐだったね。店も別にね、すごいしたかったことないんだよね。あの場所、物件が空いてたから何かやろうかな、やってみる。ダメだったら引き返せばいいやと思って。やってたら上手くはまった。自分に向いてて、楽しくて、だんだん軌道に乗って。今はもうそれだけで生きていけるみたいな。だからなんて言うんだろうね、そんな真面目じゃないんだよ。
ー言ってしまえば、空いてたところで偶然始めたことが安定したってことですね。
そうそう。あとはもう諦め。悩むとさ、選択肢がある人は悩むじゃない。だから、例えば3つぐらい会社が受かってて、どこにしようかって悩むかもしれない。1個しか受からなかったら悩む人はないじゃない。選択肢がそもそも僕にはなかったから。選択肢がないなら、ないなかでどうにか上手くいく方法を考える。そういう感じ。選択肢がない方がいい。
ーすごい。
諦める。諦めたらなんとかなる。
ーどんな経緯を辿ったのか気になっていたんですけど、急に想像もしない…
長いな~って。話長いな~こいつって。
ーいやいや。面白かったんですけど、想像もしない…文学部みたいな話は聞いた気がしてたんで、関係あるのかなと。全然関係なかった。
でもね、文学部行ったのは意味があった。
ー役には立ったんですか?
逆に言えば、文学にとって社会が役に立たない。文学部なんて行って就職どうするの。社会なんの役も立たない。(と言われるけど)いやいや、文学にとって社会が役に立たない。逆に。まぁそれは冗談ね。
ー話聞いてて思ったんですけど、文学部の他の人ってどういうところに行くんですかね?
就職とか?
ーはい。
真面目な人たちと不真面目な人がいる。ご存知のように、不真面目な人は僕みたいな人間。真面目な人は、国語の教員、学校の先生、教員の資格を取って中学校、高校、それこそ先生たちみたいな学校の教員になる人もいるし、狭き門だけど、図書館の職員さんとか。もっと狭き門になると大学の先生とか。で、不真面目な人たちみたいなやつらは、もう不真面目だから。農家やったり、俺みたいな店始めたり。
ーいやでもすごい。
でもね、就職した友達もいるけど…まぁなんとかなるのよ。なんとかなる。なんとかなります。どこ行こうとも。それこそ、バイトしながらずっと文章書くことやってる人もいるし。いろんな人がいます。


~ちょっとBreak~


ーやばいどこ行ったかな。
何が質問?
ー1個聞きたいことがね、もう1個湧いたんだけどね、どっか行ったかもしれない
また思い出したときでいいんじゃない。たぶんいつか思い出すよ。大事なことなら。忘れたら…まぁ。
ー思い出せるかな。
いいんだよ。そんなもんだよ。そうは言っても結構ちゃんと考えてきてるね。
ー最初は本当、この1個目の質問だけ書いて適当にやってたんですけど。1回(お店に)来てみて、そしたらなんか色々聞いてみたいって。
ありがとう。一番嬉しいじゃない。
ー思い出した。
えらいね。
最初は、そこそこの大学に行ってみたいな…のときに、高校から就職するっていうのは、もうなかったんですか?
それはねいい質問ですね。バカだったんで、バカだったから。大学失敗したら、受験失敗したらどうしようかな。失敗じゃないんだけど実際は。大学受験どこも引っかからなかったらどうしようかって考えたときに、そのときは近所にパン屋さんがあったから、パン屋の働いてパン職人になろうと思ってた。いや本当にそんなもんなんだよ。だから近所で好きなパン屋があるから、もし大学に進学がうまくいかなかったら、ずっと考えてた。パン職人とかパン屋さんになることが楽とは思ってないんだよ。大変だと思うんだけど。そんな程度にしか考えてなくて。子供の…小学生のときは、学校の近くにガソリンスタンドがあって、そのガソリンスタンドがなんか好きで、ガソリンスタンドで働くのいいかもしんないと思って。あんま夢ないんだよ。何者になりたいがあんまなくて、子供のときに。学校とかには聞かれるじゃん。中学生、小学生、将来になりたいもの何ですかって言われたら、いいこと言うじゃん。それらしいこと。
ー聞こえがいいような。
でも実際は思ってない。働きたくないんだけど。だからそのときは、大学もダメだったら、パン職人になろうと思ってた。パン屋さんになろうと思ってた。パン屋さんで働きながら、暇なときに本読めたらいいやみたいに思ってた。そのときはね、本当に真面目に。ずっと言ってた、あのパン屋で働くんだって。
ー僕自身が、もう決まってて、内定というか。僕はもう就職志望なんで。小さい頃から、大学まで行くならちょっと自分でお金出してくれんと厳しいよみたいな。兄弟が多いんですよ。
何人くらいいるの?
ー僕含めて5人います。弟が4人います。
じゃあ自分が一番上なんだ。だから就職をお前はしてくれと。
ーそういうわけじゃないですけど。全員(は難しい)。それを言われてた当初は、私立も厳しい…今はそうでもないんですけど、私立の高校の学費の話とかが、今みたいになってなかったんで私立は厳しいよってなってて。僕、勉強好きじゃないんで、でも高校はさすがにちょっと行った方がなんかいいような気がするけど…でも高校過ぎてからなんか勉強したくないなって思ってて。で、結構前から高校卒業したらどっかで就職するみたいな風に決めてたんですよ。で、今はそんな感じで進んでるんで。(藤井さんは)高校卒業した後の就職って頭になかったのかなと思って。
それはね、すごくね切実な話で。月詩くんの話が切実っていう意味で。自分は、多分これはね本当に、もう正直に言うと、自分は多分恵まれてたんだろうなとは思う。つまり、さっき言った選択肢がないと思ったって言ったけど、それは本当に嘘で。嘘じゃない自分の言葉だけど。今考えると、なんて言うんだろうな、僕の家庭環境では大学に行かないといけないみたいな感じがあった。うちも兄弟が多いんだけど、4人兄弟なんだけど。うちの女性、家庭の話で込み入った話になってくるんだけど、これもまた問題がある話なんだけど、うちの女性人は、全員国立に行かないといけないみたいな、すごい男尊女卑みたいなね。クソみたいな話なんだが。僕は僕で、私立の大学でもいいと。だけど奨学金は借りてくれと。自分で返すお金としてね。だから高校生の時に就職っていうところを、僕は逆に選択肢で考えてなかった。とはいえやっぱり、4人いるうちの少数派だから。少数派ってのは変なやつだから。俺はもうあんまり大学...って思ってたから。ただ大学行くなら自分の勉強したいことをやりたいなと思って。自分の勉強したいことがあったから行ったかなって感じがある。就職のためじゃなかったから。ただ落ちたなら、じゃあパンの学びを。そういうことを考えて。それはそれで結構面白い人生かな。パンについて学べたらそれはそれで面白い。
ー文学部目指してたけど、落ちたんでパン屋やりました。
本屋がパン屋にね。
ーおもしろい。
あんまりそういう風に本気で捉えてないのかもしれないけど。会社員ってことは、ずっと考えてないんだよね。会社員は考えてないんだよ。向いてないんだよね。耐えられないんだよ、自分がね。1回就職決まったときに、何がダメだったかというと。朝礼があるんだけど、朝礼っていうのが、社員が集まって、接客業みたいなところもあったから。読むんだよ。昭和じゃないけど、会社のルールみたいなのを読むんだよ。声合わせて。会社の人がみんな顔色が元気ないんだよ。暗いんだよ。そういうのも耐えられない。手鏡を渡されて、一分間笑顔で。きついじゃん、向こうが決めたルールだから。そういうことでお金を稼いでる人たちを僕は全く否定するどころか、むしろ尊敬してて。そういう人たちがいないと、こういう小商というのは成り立たないわけだから。でもやっぱり自分には向いてないんだよね。朝寒いときに鏡見て、自分の顔が粉吹いてるんだよ。汚い顔して。笑うのは苦手、作り笑顔は苦手だから。チラッと周りを見る。みんなどんな風にやってるんだろう。みんなやっぱりちょっと元気ないじゃん。これはちょっときついなと思って。元も向いてないから。
ーちょっとしんどいですね。
しんどいでしょ。そういうので無理だなって。そういうのが重なっちゃって。そもそも向いてない。会社に勤めたことが自分はないから。バイトしてそのまま店を始めちゃったから。知らないんだよ。ごめんなさい。
ーすごい。
でも、店やってたらいろんな人に出会えるからね。それでなんかいろんな人の人生を垣間見えるから。それはそれで結構面白い。
ー作り笑いよりもね、本当の笑いが多い方がいいですよね。
嘘がつけないっていうのが、これいいように聞こえるけど、これはね結構問題があってね。全部正直に言い過ぎてしまう。
ーめっちゃわかります。
それでねお客さんに喧嘩になっちゃいます。喧嘩になるほうが、でもいいんだよ。喧嘩になるぐらいのほうがいいんだけど、ただそのほうがお互いにめんどくさい。めんどくさいんだけど、でもやったほうがいい。だから、お客さんに言われた一言。普通だったら、はいはいって受け流してさ、帰ってもらったらいいじゃん。帰ってもらったらいい。1回店に来たお兄さん、ユーチューバーやってるって言ってた。結構割と頑張ってる人だった。ユーチューバーで来てるってお兄さんが来てくれて、何歳ぐらいかな、40何歳ぐらいの人。
「ずっと来たかったんですよ。この店。」
「ありがとうございます。」
「すごいですね。いやいや、なんか売れない本ばっかありますね。」
って言われて、なんなんこいつって。
「売れない本ばっかだなってなんですか。売れると思ったうちに置いてるんですよ。」
「こんなの…だってブックオフには置いてあって売れないじゃないですか。」
彼なりの表現だったんだけど、売れない本ばっかありますねって引っかかっちゃって。その人も話が長いし。
「売れない本じゃないですよ。」
みたいな。その人もなんかこう…来るから。
「もういいじゃないですか。帰ったらいいじゃないですか。」
「帰れってことですか。」
「そうですよ。」
「おう。何だ。」
って。それで喧嘩になっちゃって。それで夜中2時3時まで、ずっとその人と喧嘩、ずっと口論。その人も尾道がずっと好きで来てたんだけど、久しぶりに来たときにうちの店に来て、そのときに僕の店を発端にしていろんな思いが噴出したんだよね。尾道の街の変わり様とかね。なんかそういうのがバーって俺に向かってきて。俺もそれでもう歯向かうから。東京ではどうのこうの…東京の話なんかいいんだ。結果的には、その後一緒にタバコ吸うくらいになって仲良くなったから。外でタバコ吸ってると、まぁまぁまぁって。仲良くなって。結果的にその人が、何ヶ月後に旅行で立ち寄ってくれて、お土産のキャンドルみたいなのをくれて。藤井くんこれあげるって。なんかちょっと気に入ってくれたんだよね。それはやっぱ嬉しい。ムカついたとこから始まっても。ちゃんとやりあったから。愛想笑いでぺっぺってしたら、何もなかったから。それはそれで良かった。その間、喧嘩してる間、他の女の子が帰っちゃってた。帰っちゃった。俺だって可愛い女の子と喋りたいよ、おじさんと喋ってないで。だけどこれもいい話で、帰ってた女の子2人、もういいやと思ってたんだけど、その子から、2人組から手紙が届いて、うちの店に。喧嘩してたときにいたものですって手紙が書いてあって。そこにさ、「喧嘩の内容聞いてました。でもなんかああいうのは間違ってないと思います。」書いてくれてて。俺は勝ったぞみたいな。それはでもいい方に転んだ方。全部いい方に転ばない。喧嘩して後で、もう二度と来るもんかって言われることある。
ー喧嘩そのものは、そんないいことじゃないですもんね。
本当は避けたいんだけど、耐えられないから。嘘が言えない。思ったこと言いたくなっちゃう。こっちも対等だと思ってる。お客さんと対等だと思って、ある程度は対等だから。言い返したくなっちゃう、言葉じりに。
ー売れない本がっていう言い方が…ねぇ。
もっと浅いとこもあるけど、浅い部分で俺がちょっと言っちゃうみたいな。めんどくさいじじい、古本屋のじじいみたいになってる。仕方ない。もう諦めてる。ある程度は仕方ない。ある程度は。それを味としていくしかない。
ー受け入れてくれる人が一定数いるうちは大丈夫ですよ。
でもある程度の修正は必要だね。そこもバランスだね。お客さんに言われたことも正しいから。お互いに、お互いにいいリズムを探して。そんな感じ。
ーすごい面白かった。何の話から始まったかさっぱり覚えてないけど。
小説を書いて…小説家になりたいのか。俺の話聞いても仕方ないけどね。
ー僕ちょっと…こう言ったら失礼かもしれないけど、僕変な人好きなんで。
ありがとうございます。
ー高校入って、中学校一緒の友達が何人かいたんで別に話す人に困るほどではなかったんですけど、一人すげー変なやついたんで、面白そうだなって話しかけて。今は結構凸凹っていう感じではありますけど、結構仲良いと思いますよ。仲良いと思います。
大事だと思うよ。そういうの大事にした方がいい。
ー変な人はね。面白い人が多いから。
変な人は自分のこと変だと思ってないから。普通だと思ってる。
ーそういう節あるな…ちょっと。主観で言ったらみんな正しいですもんね。
うんそうだね。でも、客観的にみたらみんなおかしいから。ちょっとどこかしら何か。ちょっとずれてる。
ー高校で、何回か普通って何かなーって思ったことがあるんですけど、結局答えれなかったんで。
普通は相対化されたねマジョリティーではあるけど。
ー何言ってるかわからん。よく考えたらみんな、みんな変だなって。


~尾商の先生が到着~


文章書くのが好きなの?
ー書くのっていうか、文字が好き。文字が好きはなんか変だけど、教科書とか読むの好きなんですよ。
活字が好きなんだ。文章、文字読むのが好きなんだ。あーやばいな。だいぶやばいな、それ。なんか文字を読んじゃうみたいなこと。教科書でもなんでも。
ー教科書だったら、授業聞くのは楽しくないんですけど。
文章書いてあったら読んじゃう?
ー物語じゃなくてもいいんですよ。
やばいね。
ーやどかりの実験でも、国語の教科書でも。なんか読むの面白いな。
素晴らしいね。いやー生きづらいだろうね。就職が決まっているところはどういう関係の会社になったの?
ーそもそも、一番最初に行きたかったところは、仕事内容はほぼ関係なく待遇が良かったんですよね。自分的に。そこが落ちてしまって。落ちたんですけど、その会社から関連企業を紹介してもらって。今回の結果は残念でしたが、こっちどうですかって言われて。こっちの事務やりませんか、みたいな。なんていうんだっけ、あれ…求人票か。一緒に届いて。そこを受けて。そこはもう最初から、前向きに検討する予定ではありますが、一応面接みたいな感じで、面接して。
何の事務なの?
ー最初に受けた会社が○○○○っていうペットボトルと缶とか容器作ってる会社でそこの関連(会社)、それの運搬。
あーなるほどね。
ー話を聞いた感じ、一般的な事務、あと多分配車。このトラックはこっちに行ってもらって、みたいなやつが仕事になるかも。本は欠片も関係ないです。
僕の友達、みんな就職した子は転職してるから。もう無理なくね。あ、ダメだ、しんどいとか、すぐやめたらいいから。全然人生終わらないから。
ーバイトもしてるんですけど、コンビニの接客なんですけど。お客さんは、だいたい対応して終わったら、すぐ終わりじゃないですか。いっぱい来る人の中の一人だし。どちらかというと、店員側の人が結構いい人が多くて。それがやりやすかった。
職場の人は結構大事だよね。それはどこ行っても同じだと思うし。
ー好奇心は割と旺盛の方だと思うので。
すごい。偉いね。
ー楽しめてしまえば大丈夫かなと。
楽しくなっちゃうからね。文章を書くときには、割としんどいときの方が書けたりするんだよね。まぁ難しいよね。
ーそれはやりたいときでいいかなみたいな。
大丈夫?(質問)なきゃ、ないで僕はいいんだよ。
ーそろそろね、用意したもの(質問)がなくなって。
結構喋ったよ。割と面白い質問を用意してくれたから話しやすかった。しっかりしてるわ。
ーもう1時間ぐらい経ってますね。
結構ボリュームある。大学生の子がこういうインタビューとかすることがあるんだけど、もうね全然だめだよね。空っぽだね。
ー形式的にな感じに?
結構ね…難しいよね。逆に、何考えてるんですかって言われた方が嬉しいよ。最初は何考えてるんですかって。何も考えてないよ。わかんない。日によって違うし。ー言ってしまえばそうですよね。
本当にね…元気ないです。世の中のこと見たらね。あんま考えすぎないようにしているけど…情勢的にはね、ちょっと元気ないんだけど。仕方ないそれは…仕方なくないけど、考え続けなきゃいけないけど。まぁ、文章は、誰にでもできる最後のあれ(残されたもの)だから。
ーそんなことない…
本当に本当に。小説とか文章書く、小説でも文章書くのは誰でもできる。医者であろうと…日本はギリギリ識字率は高い国だから、下手したら路上でいる人たちも文章は書けるから。だからどんな立場でも書けることはあるので…書いてね。

ー変わった立場の方が面白いかもしれない。
いやいやいや。そんなことないよ。その人にしか書けないことが絶対にあるから。全員にね。ただ書き方のコツとか、書き方とかはいろいろあるだろうけど。そんなのはもう後々で、書かないと残らないから。まあ書いてください、何でも。それが売れる売れないはまた別の話だから。本になったりするとか、なんかすごいベストセラーになったりするっていうのはまた別の話だから。書くこととか、伝えることは誰にでも残されているから。まあやってください。続けてください。


〜アフタートーク〜


なるべく無理なくいきたい。おひたしみたいに。
ー無理したらしんどいですもんね。
僕が好きな人に、山田ルイ五十三世。お笑いのさ、ルネッサンスってわかる?お笑い芸人知らない?一発屋のさ。
ー顔は出てきます。
髭男爵。山田ルイ五十三世。あの人がすごい好きで、あの人の書く文章めちゃめちゃ面白くて。お笑い芸人で一発屋たまたま当てただけだって言ってるけど、その人が「おひたしみたいに生きていく」って。つまりアクティブでなくてもいいみたいな。向上心がなくてもいいみたいな。ありあわせて食べていくみたいな。生きていくみたいなをの言ってて。俺すっごいそれね、同じだと思ってて。だからもうしんなり。明るくキャピキャピしてないといけないわけじゃないから。別にね、趣味なくても。
ー結果的に必要とされてる人もいるわけですよね。
と思ってくれるならラッキーぐらい。こんなんでもよかったら。冷蔵庫の中でたまたま、これこれあったら助かったなみたいな。それぐらい思ってもらえたらラッキー。(古本屋自体がおひたしみたいな感じ。)しんなりしてる。別に世の中になくても困んない。けど俺がないと困るからやってるぐらいのもんだから。別に声高にそういう言わないけど、あったほうがよくないと。なんかあったほうがよくないぐらいの感じ。頑張ろう。頑張んない。頑張らずに頑張ろう。ほどほどに。頑張らずに頑張るみたいな感じ…ちょっと恥ずかしくなってきた。1回逃げよう。タバコ吸おう…とか言ってね。


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