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五月晴れと心地よい風

五月晴れだ。
鯉のぼりが空を泳いでいた。

風があるので心地よい。
少し暑すぎるけれど。
このまま夏もこのぐらいの気候ならいいんだけどなぁ。
今なら直射日光を避けて薄めの上着をひっかけても暑くない。

少しだけ臆病になっている。
誰にも迷惑なんか掛けたくないのに。
何かをやろうと考えれば誰かを巻き込んでしまうもんなぁとか。
そんなことばかり考える。
人を利用するような人もいるしさ。
そういうのをみると途端に厭になってくる。
利用じゃなくて、一緒に楽しみたいだけだとしても。

心地よい風も気分次第さ。
追い風にもなれば、向かい風にもなる。
気分で変わるなんてどうなんだと思うこともあるけれど。
いやいや、気分で変わるから面白いんだよなぁと思ったり。

まるで夢のように。
いつか記憶にすら存在しなくなるのかな。
なにもなかったことになっちゃうのかな。
あの瞬間を僕は今も思い出せるし、夢ではなかったと思うけど。
共有してきた時間だって、どんどん昔になっていく。
振り返るのはそんなに好きじゃないけど。

なかなかじゃない?
なかなかだったと思うの。
僕は君の才能に惚れ込んでいるよ、今も。
たくさんの正解の中から不正解だったとしても唯一を選べる。
そんな君はなかなかだったのだよ。
五月晴れ、心地よい風の中にあの瞬間が蘇る。
その才気だった緊張感に今でも鳥肌が立つ。

小さな問題が溢れてる。
大きな問題も溢れてる。
何もかもが不安定の中で確かなものを探せば。
いつだってそれは輝きを放つ。

大丈夫、大丈夫。
小さな声でつぶやきながら。
足を前に動かし始める。
風の中で。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。