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情シス、アイスアートやります!氷華®造りに挑戦してみた!【#9 小野田商店100+ 】



情シス広報、アイスアートに挑まんとす!

さて皆様は、花氷あるいは氷中花という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
氷の中に造花や入れ物を閉じ込めたアイスアートの一種で、様々な名称で呼ばれていますが、小野田商店ではこれを「氷華®」という名称で製造、販売しております。

さて、この氷華®なのですが実は小野田商店の社員でも、僅かな社員しか製造スキルをもっていないのが現状です。
そのため、現状では少しでも作業を手伝える、そしていずれは継承していける人材を育てるのが急務となっています。

そこで小野田商店の情報シス兼広報でもある自分が、小野田商店100年の節目に改めて氷華®を知って、広めていく意味もあり、製造にチャレンジすることになりました!

氷華®造りは大変なんです…!

氷華スタジオ搬入時の、「氷華マシン」と呼んでいる製氷槽。
元々飲食用の透明な氷を製造する装置でアメリカから輸入、調整して使用している。

さて、食品としては「異物」である入れ物をする氷華®は衛生上、飲食用の超純氷®と同じ製造ラインでつくることはできないため、専用の製造装置を用いて作られています。

一見して造花などを氷に閉じ込めているだけに見える氷華®ですが、実は気泡やクラック(ヒビ)などが無いようにするのは大変難しいのです。氷に入れものをして凍らせるには丁寧かつ長時間に及ぶ製造管理が必要です。

通常、氷の中に入れ物をすることは、氷の結晶が発達して凍結が進んでいく過程での障害となり、気泡やヒビの多くなる原因となってしまうのです。
これを防ぐためには、ゆっくりと製氷を行うことで氷の結晶を大きく成長させることがポイントです。
ただ凍らせるだけではありません。とても手間と時間をかけて作っているのです。

また、入れ物には多くの場合、小さな異物が付着していることが多く、造花であれば特に塗料などが長時間水中に入れておくことで剝離して細かな片になるケースが多いです。

そのため、結氷するまで一週間ほどは入れ物から出た小さなゴミや空気中から入る小さなホコリ等を除く作業が必要になります。

また温度管理などにより製品の完成スピードを制御してスケジュール組みを行っており、単純なようで非常に手間のかかる工程となっており、季節にもよりますがだいたい一回の製造に8~10日ほどかかります。

その手順を一通り筆者が体験することになったので、以下にお伝えしていきます!

せっかくだから少し変わった作品に!

※ちなみに筆者の私物です

今回まず、サメの模型を入れてみることにしました!。
なんというかこう…現代美術家のダミアン・ハーストみたいな作品を氷華®で作ってみたいという構想が以前からあったんですよね!

ダミアン・ハーストの「生者の心における死の物理的不可能性」
厨二心くすぐるクールな作品名。

他にもカメラフィルムや紫水晶、墨田区のガラス工場で作られていた古いペン立てなどを氷華®にしてみました。

また造花を使った比較的スタンドダートな氷華®も同時に作成しています。
一体どんな作品になるのでしょうか…?

さて、氷華®の入れ物が決まったらいよいよ製造を行っていきます。
入れものを水槽に固定していくのですが、まずその前に、丁度良い厚みの氷をあらかじめ作っておかなければなりません。
もちろん入れものをする前の氷も、氷華®の一部となるので品質管理が非常に重要となります。

このとき、誤って氷を入れ物をする位置よりも厚く凍らせてしまうと氷華®を適切な形にカットすることができなくなるので、都度の調整が必要です。

氷華®を製造する水槽に、入れ物を沈めた様子。
小野田商店が氷華®の製造用に自作した器具で、水槽に入れ物を固定していきます。
小物には氷が直接張り付くようにそのまま置きます。

氷はもちろん凍ると体積が膨張するので、あまり水槽に多くの水を入れると思いがけず大きすぎるものができてしまうことがあるので、この水量の調整には経験が必要です。

あとは結氷まで欠かさず、凍ってない部分のゴミ取りなど品質管理を行っていきます。

ほとんど凍ってきている状態の水槽
水槽内に水を循環させるモーターの前に置いてしまったため、
造花が傾いた形で凍ってしまった。

やはり始めての挑戦で完璧なものを作ることは出来ず、筆者は幾つかミスをしてしまったため、造花が傾いてしまったり、気泡が目立つものができてしまったりなどミスがありました…。

さて、こうして凍らせた水槽の氷は大きな氷柱となるので、冷凍機の電源を切ってしばらく置き、少し周りをとかしてからクレーンで水槽から抜き出します。

安全だとわかっていても、パイプのしなりがなんか怖い…!

氷柱の取り出しは、両端に予め埋め込んでおいたフックに金具を引っ掛かける形で行います。
100キロを優に超える氷柱を持ち上げるのは、手慣れた方でないと危険なこともあり、ここはベテラン社員の方が対応しました。

前述の通り、少し周りをとかさなければ水槽から氷柱を引き抜くことはできませんが、とかしすぎたり、氷にヒビが入っていたりすると氷が折れてしまう可能性があります。
今まで何度も安全を確認して行ってきている作業といえど、この瞬間は毎度緊張が走ります。

取り出された氷柱はここから形を整えていきます。

こうして水槽から取り出された氷柱を形を整えてそれぞれの規格サイズにカットすることで、氷華は完成となります。

このとき、切断するときにそれぞれの氷華の寸法がカットする際に干渉しないよう、初めから計算した上で入れ物をしておかないと、この最後の工程で非常に困ることになります。

水槽の氷をまるごと使った氷華®をLLサイズとして、ここから各サイズに分割します。
一回の製造で一つの水槽から氷華®Sサイズを最大12本製造できます。
今回の氷華®は全て特注品に該当するので、かなりスペースに余裕を持たせて凍らせて、
出来上がってから適宜形を整えて完成させました。

このようにして、人生で始めて筆者が挑戦した氷華®が完成しました。
果たしてどんな仕上がりになったでしょうか…?

透明な氷のかがやきを伝えたい!

さて、ここからは筆者がつくった氷華®を紹介していきます。
まずこちらはカメラのフィルムを入れてみた氷華®になります。

例えば映画のプロモーションなどで、こんなフィルムを入れたものがあっても面白いなぁ…
と思ってつくりました。
角度によって違った味があると思います。

また、サメの模型を入れた氷華®は以下のようになりました。
理科室のホルマリン漬け的な雰囲気…?

完成したとき周りの社員たちが微妙な反応をしてました…。
後ろから見ると普通にサメが泳いでるみたいで綺麗…?

また紫水晶と、ガラスのペン立てを入れた氷華®はこのようになりました。

こういった小物の氷華®を一つテーブルに置くだけでも、なかなか特別な雰囲気が演出できると思いました、小さくても存在感があります!

紫水晶の表面に沢山の気泡ができて、濁ってしまったのは想定外でした。

このようにちょっと変わった氷華®もいくつか作ってみましたが、やはり普通に造花を入れたものが一番綺麗だったかもしれません。

造花が傾いたり、気泡が入ったなどミスはありましたが、透明な氷の輝きに似合うのは、やはり花なのかもしれません。

結局シンプルが一番⁉

レジンアートなど、今の時代はもっと長持ちする透明な作品はいくらでもありますが、やはり温度などで屈折が変化していく、独特な氷の美しさは他のものでは再現できません。

氷は被写体としても難しいとされ、食品の撮影などでも、レジン製のフェイクの氷が使われることも多いそうです。
しかし、是非とも透明な氷の魅力をもっと皆様に知って頂けるよう、小野田商店では今後も多くのアイスアートを紹介し、実際に触れていただく機会も増やしたいと思っております。

これからも笑顔を彩る氷を目指して

造花を入れた筆者の氷華®は入院中の祖母に贈るつもりでしたが、
祖母はその前に旅立ってしまったので、お盆の送り火でとかすことにしました。

長い歴史の中で、氷は実に様々な方法、側面で人々を楽しませてきました。
ホテルでパーティーなどに設置される氷の彫刻は、実はシェフによって作られていることも多いのですがシェフはもちろん飲食のための氷も扱います。

同じように小野田商店では、飲食用の氷を製造するのはもちろん、それ以外の可能性でも皆様に喜んでいただけるサービスを提供したいと考えており、氷のアートはその一つの可能性でもあります。

その可能性の一つでもある氷華®は、レジンやガラスとは異なる、氷ならではの光の屈折が生み出す輝きがあり、その魅力は実際に見て頂けないと伝えにくかったりします。
そのためにも、少しでも皆様に氷華®を見て頂ける機会を今後も増やしたいと思っております。

さて、創業100周年という節目に、様々な小野田商店の挑戦をご紹介させて頂きました。
これからの小野田商店はもっと大きな変化をしていく予定がありますので、引き続き注目と応援を宜しくお願いします!


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