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水原一平さんの事件から考える”人がリスクを選択する”瞬間について①

ども!すけです。

今回はのテーマはリスクの選択です。
ちょっとトレンドからは遅れていますが、メジャーリーガーの大谷翔平選手の通訳である水原一平さんが銀行詐欺の罪と、うその納税の申告をした罪という2つの罪で起訴された事件から考えたいと思います。

あなたもこの事件について、
「なぜ大谷翔平の通訳という立派な地位があるのにそんなことをしたのか」
みたいなことを思ったことがあるんじゃないでしょうか?

今回は人がリスクを見誤ってしまう理由について2つの謎を提起し、行動経済学の視点で解説を書いてみます。
これは今回の事件のように大きくなることもあれば、気が付かないうちに損してしまっていることもありますので、自分ごととして読んでもらうがおススメです!

謎① なぜバレないと思ったのか

突然ですが、内容に入る前に1つの質問からこの章を始めてみましょう!
これは有名な問題で「バットとボール問題」と名前がついていますので、一度考えてみてください!

バットとボールの合計金額は1,100円で、バットはボールよりも1,000円高いです。ボールの値段はいくらですか?

バットとボール問題

さていくらになるでしょうか?



100円!!
と答えた人は多いんじゃないでしょうか?

ありがとうございます。
不正解です。
この場合、ボールが100円だとバットは1,100円になり、合計金額は1,200円になるので計算が合わないですね。

これは「最小努力の法則」を示す問題であり、人間がいかに考えることをサボっているのかを示しています。
ちなみに、この問題はハーバード大学、マサチューセッツ工科大学などの世界でも有数な大学に通うエリート学生でも正解者の数は全体の50%を切る結果となっています。

ちなみにボールの値段の答えは50円です。
バットはボールよりも1,000円高いのでバットは1,050円。合計は1,100円になります。

この手の問題を間違えないための簡単な方法が1つあります。
それは確認をすること。

おそらく今この記事を読んでくれているあなたも、確認さえしておけば100円と思っていた答えが間違いであることに簡単に気が付いたはず。
でもあなたは100円という答えが正しいということから抜け出せなかった。だから確認をするという判断ができなかったことになります。

このような時、人は自信過剰になっているんです。
この謎は、自信過剰という現象を理解することで、バレないと思ってしまうことも理解することができます。

さて、前置きはここまでにして、まずは今回の事件の詳細を見てみましょう。

アメリカ司法省は8日、水原一平元通訳が違法賭博による借金を返済するため銀行にうそをついて大谷選手の口座から無断で1700万ドル近くを不正に送金した銀行詐欺の罪と、うその内容の納税に関する書類に署名した罪で起訴されたと発表しました。

NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240509/k10014443921000.html#anchor-05

世の中の犯罪者もそうでない人たちも「そりゃいつかバレるやろ」って思ったと思います。
大谷選手を装って銀行へ24回の電話、違法賭博の胴元側への不正送金は少なくとも41回と、わざわざ靴の裏にペンキを塗ってから空き巣をしているくらいわかりやすい痕跡を残しています。

これも自信過剰の状態であると言えます。
さっきのバットとボール問題と同様、ちょっと確認をすればそのリスクに気が付くはず。
しかし、基本的に人は無意識的に自信過剰であるので、自分の選択が正しいことに疑いを持てなくなるんです。
そして、1回目、2回目、3回目… と、バレなかったという成功体験がより自信過剰を加速させてしまったことによってこれだけの回数になったとも考えられます。

様々な状況が合わさって起こった犯罪ではありますが「バレないと思った」原因の1つとしては、この自信過剰というバイアス(≒偏見、先入観)が存在していたことは間違いないでしょう。

ニュースを見ていると「なんでこんなバカなことを」って思う瞬間は多いと思うのですが、この自信過剰は案外身近なところにも潜んでいます。

「でも私、普段から自信ない方だし良かった」
って安心している人も中にはいるんじゃないでしょうか?

それは大きな間違いです。
自信過剰は自信の有無に関わらず起こり得る現象だからです。

間違って解釈をしている人は、自信過剰と聞くと自信があることによって慢心が生まれ、本来見えていたはずのものが見えなくなってしまうこと、と解釈します。

しかし、自信過剰の本質は都合のいいことばかりを受け入れて、自分に都合の悪い情報は排除してしまうバイアス(≒偏見、先入観)にあります。

僕たちの身近な現象で考えると、貯金の計画ではよく自信過剰が見られます。
1年間で50万円貯金しよう!って計画を立てる時に自動車税や自動車保険の支払いを計画に入れ忘れていたことはないですか?
その他にも、誰かの誕生日プレゼント、生命保険料の年払い、お年玉、など本来決まっているはずの支払いが抜けていたことによって、苦しい1ヶ月を送らないといけなくなったことはないですか?
計算していた食費や交際費が思っていた金額より余裕でオーバーしていたことはないですか?

少し考えればわかることですが、その少しの考えを忘れてしまったり、抜けてしまうことは僕たち人間にはとても多いんです。
その原因の根本には、こうなってほしいという目標があるあまり都合の悪い情報が見えにくくなってしまうという人間らしい性があるからなんです。

まとめ

バットとボール問題は僕たちに多くのことを教えてくれます。
正しいと思った瞬間に自分に都合の悪い情報は頭の中から急にいなくなってしまうんです。
貯金、ダイエット、応援しているスポーツチームなど、それは日々の小さいところで頻繁に発生するものなのですが、これに気が付けないと知らないうちに大きな自信過剰を育てているかもしれません。
そしてそれは自信があると認識しているかどうかは関係ありません。
僕たち人間は基本的に自信過剰であり、怠けた考えをしていると理解して生きていくことが大切なんだと思います。

次回の謎

2つ目の謎は「なぜ現在の地位を捨ててまで犯罪のリスクを選択したのか」ということについて考えてみたいと思います。
もちろん、こちらの謎の他人事ではなく最終的には僕たちの身近なところに焦点が合ってくるお話ですので、ぜひ読んでみてください!

それでは!

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