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2−0は危険!? 『利用可能性ヒューリスティック』で見てみる

代表的な理由

何でそんなこと言うの?
これは監督やコーチが選手たちへのマネージメントとして、「油断するな」「気を抜くな」みたいな要素がありますし、相手はリスクを犯して攻めてくるはずなので「1点取られてしまった時の心の準備をしろ」みたいな要素もありますね。
私たち視聴者は、実況や解説からもう少しソフトな捉え方で耳にする「2-0は危険」というワードですが、果たして本当なのか?そしてなぜそう言われるのか?
W杯はもうすぐ決勝ラウンドへ進みますが、これから行われる試合を少し変わった視点でも楽しんでもらえればと思います。

実際はどうなのか?各サイトが出すデータで見てみる

2018年ロシアW杯で日本は後半2点リードの状況から、最終的には2-3と逆転でベルギーに敗れてしまい『ロストフの悲劇』と呼ばれました。
2-0は日本人にとっては嫌な点差。
サッカーが好きな人(特にリヴァプールサポーター)にとっては、2022年5月に行われたイングランドプレミアリーグにおいて、1位マンチェスター・C、2位リヴァプール、勝ち点1差で迎えた最終節が記憶に新しいのではないでしょうか?
どちらかが勝ってどちらかが負けると、負けた方が優勝を逃してしまう重要な一戦。
(※ちなみにプレミアリーグは優勝賞金だけで69億円もらえます)
マンチェスター・Cはアストン・ヴィラに対して76分時点までは0-2と、リードを許す展開になっていました。
同日開催だったリヴァプールはこの時リードを奪っていて、優勝を目前にしたサポーターたちは大興奮。
(ちなみに僕も)
しかし、結果的には76分からマンチェスター・Cが約15分間で3点を決めて奇跡の逆転優勝を果たしました。

重要な試合ほど2点差からの逆転が多いサッカーですが、ここは既に色んな人がデータを出してくれているので、皆さんに任せてリンクを貼っておきます。

結論、
データで見ると、2−0はほぼ確実にリードしているチームが勝つということ。笑

え?
90%を超える勝率があるのなら、ロシアW杯での敗戦やマンテェスター・Cの優勝は僕にとってさらにショックに思えます。。。

ちなみに以下のサイトでは2021年度のJリーグにおけるゴール状況を解説してくれています。

首位の横浜Fマリノスでも平均すると45分に1ゴールのペースなので、1試合に換算すると平均2ゴールの計算になります。
首位でこの数値だと思うと、2-0がいかに安心していいデータなのかがわかりますね。

行動経済学で見てみる

ではなぜ私たちは2-0という点差を恐れてしまうのか?
今回は『利用可能性ヒューリスティック』の視点で見てみます。
行動経済学におけるヒューリスティックの概念とは「思考の近道」というような表現をします。
基本的に人間の脳は「サボる」「だらける」ことが前提で、常に近道思考であり『利用可能性ヒューリスティック』は、ある情報を無視して、ただ近くにあるだけの情報を正しい情報として採用し、そう認識してしまうもの。
有名な代表例を挙げるならば飛行機事故ではないでしょうか?
実は、飛行機は電車や自動車よりも死亡事故の確率が低いのですが、飛行機事故があった後では乗客が減ってしまいます。
その事故が起きた便と次に自分が乗る予定の便では事故が起きる確率に対して無関係であるのにも関わらず、どれだけ確率論を話されても飛行機に乗ることが怖くてためらってしまいます。
もっと身近なところでは、◯◯な男性(女性)は浮気しやすい、などの経験談から基づく考察も同じ効果が働きます。
直前に起きた大きな出来事は、確率や統計の概念を無視して「何となくそういうこと」にしたくなり、この効果が私たちに対して、2-0を実際のリスクよりもはるかに大きなものに感じさせるということになります。

結論

  • 過去の試合と現在の試合に相関関係はない。今を見よう!

  • 前半のうちに2点リードから1点を返されると再び2点差にするのはかなり難しい。前半の2点は無理せず死守しよう!

  • 2-0は1-0より安心。サッカーは45分に1点入れることだけでも難しいスポーツだ。精神論よりも具体的な技術論で逃げ切ろう!

ということで、今回は『利用可能性ヒューリスティック』で見てみました。
この概念は世の中のあらゆるところで多く見られますので、大げさな情報ほど一度『利用可能性ヒューリスティック』に立ち返って、それは適当な標本を集めた確率の中で考えられたことなのか?発信手が最近得た情報や出来事だけに左右されているだけではないか?
と、あらゆる情報を「疑ってみる」だけでも、1つの事象に対して異なった考え方を持てるようになると思います。

それではまた次回も新しい発見をお届けします。

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