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映画館でポップコーンが売れる理由

何で売れるの?何で買っちゃうの?

Twitterのタイムラインが時々『すずめの戸締まり』で埋まっている今日を送っております。
早く見に行きたい。。。

そんなところから今回のトピックは、どこの映画館にもある原価率が高くて、回転率の予測が立てやすく、腐りにくく、味付けのバリエーションも豊富な最強の利益商材「ポップコーン」について考えたいと思います。
(ちょっとうるさいですね)

映画館でポップコーンが売れるのはなぜなんでしょうか?
マーケティングやビジネスが好きな方は一度は目にしたことがある内容かもしれません。
そんな人にも新しい視点をお届けできればと思います。

ちなみに皆さんは「普段からポップコーンを買いますか?」
普段から買って主食にしてるよ!って人には僕はまだ出会ったことがありません。

では「映画館に行ったらポップコーンを買いますか?」
これは往々にしてありますよね。
他を見渡しても映画館に入る半分くらいの人たちが買っている印象すらあります。

では本題に入ります。
「映画館でポップコーンが売れるのはなぜだと思いますか?」
考えたことがない人は少し考えてみて、答えをスマホなどでメモしてから以下の2つの記事を読んでみることをお勧めします。

①個人的に好きな横山さんの記事↓

②個人的にわかりやすく感じた記事↓

要は「みんな買ってるから私も買おう(同調性バイアス)」「その場の文脈や環境によって価値が変わる(文脈効果)」ということ。
このように、人はその場の環境や条件によって選択の基準が変わることがあります。

今回は、他の記事ではあまり掘り下げられることのない視点で考えてみます。

時間軸を少し遡ってみましょう。
ここまで見てもらったような、選択をする瞬間「現在」という局面ではなく、選択に遭遇するまでの「過去」の認知や思考から見てみようと思います。

プライミング(先行刺激)効果

自らの意思??

まずはこちらの2つの単語を見てもらいましょう。

『バナナ』  『げろ』

どうでしょうか?
恐らくこれらを見て気分が良くなった方はいないと思います。
まずは申し訳ございません。
この単語を見るとどうなるのか?
多くの人は自らの意思とは別で、ぼんやりと嘔吐の想像をし、何となくその原因はバナナのようなものからくる、と感じたのではないでしょうか。
人間の脳は自らの意思とは別で連想し、記憶し、何らかの評価を与えています。

このように前情報(バナナ、げろを知っている)によって無意識に連想が働くことをプライミング効果と言います。

弊社従業員でプライミング効果を体験してみた

脳は自らの意思とは別で動いていることを書きましたが、これを従業員に教えるために実験型の研修を行いました。

(もし良ければこの先は結果がどうなったか考えながら、ゆっくり読み進めてもらうといいと思います)

AとBの2種類のチームを作り、マーケティングの課題としてそれぞれのチームには異なった場所へ調査に行ってもらうことにしました。
Aチームはスーパー
Bチームは百貨店
実際に行った場所がどのような販売戦略をとっているのか、またそれはうまくいっているのか、それともうまくいっていないのか、理由を含めてチームとしての意見を提出してもらうというもの。

そして事務所へ帰ってきた従業員たちには、「◯◯わ」という文字を見せて、思い浮かんだものをそれぞれ相談なしで個別LINEに送ってもらうことにしました。

結果は、Aチームの80%は「ちくわ」と答え、Bチームの60%は「ゆびわ」と答えました。
1日中スーパーにいたチームはちくわを連想しやすく、百貨店にいたチームは指輪が連想しやすかったことに加え、私たちの記憶がいかに安易でプライミングに左右されるのかを物語っています。

その日の研修はこの説明の10分で終了し、その後僕は「調査は何だったんだ」と従業員からめちゃくちゃ怒られました。

認知容易性

こちらはロバート・ザイアンスによるミシガン州立大学の学生新聞による有名な実験から。
数週間にわたって新聞の一面にトルコ語(トルコ語風)の単語を数種類、回数はランダムで掲載し続けた。
(多いものでは20回以上登場し、少ないものでは1回のものもあった。)
そして掲載期間終了後には学生に対して、あるトルコ語(トルコ語風)の単語が「良い意味」だと思うか、「悪い意味」だと思うか、という問いを与えたところ、登場回数が多いものほど本当の意味に関わらず「良い意味」だという回答が多くなった。

ザイアンスの実験は、
【接触回数が多い→認知容易→好意的・信頼できる】
という思考が働いていることをわかりやすく説明してくれています。
このように、対象者に害がない状況で接触回数が多くなったことによって認知容易性が働きやすくなることを『単純接触効果』と呼びます。

テレビCMで好感度が高いタレントを重視することや、会社名を連呼するようなものは認知容易性を活用したものと言えます。

良いものかどうかは関係ない

僕たちが様々な選択をする時には、良いか悪いかを全て合理的に判断できるわけではないということがよくわかりますね。
映画を見に行くと決まった時点から自らの意思とは別で既にポップコーンを連想しているし(プライム)、幼い頃から映画館にはポップコーンという情報が染み込んでいる(認知容易性)。
僕たちにとってはポップコーンを回避する方が難しいと言えます。

いかがだったでしょうか?
今回はポップコーンが売れる理由をプライミング効果から見てみました。
マーケティングにおいて認知が重要と言われる理由がよくわかるので、良ければ皆さんのビジネスや生活にもプライミング効果を活かしてみてください。

それではまた次回も新しい発見をお届けします。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。



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