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ひざまくら←頭を乗せているのは「もも」だよね?

下の画像をご覧ください。
女性が男性にしている行為をなんと言いますか?


(photoAC)



ひざまくら・・・・・」です。
異論ありませんね?



下の画像をご覧ください。
女性が手を当てている部位は、なんという名称でしょうか?


(photoAC)


「もも」または「太もも」です。
小学生にもわかりますね?



さぁ、あなたは、強烈な問題・・・・・に気が付いてしまいました。



「さっきのは、『ひざまくら』ではなく『ももまくら』じゃないか――」



他の例です。
ネコちゃんが、座っているあなたの足に乗ってきたとしますよ。


(photoAC)

こんなとき、

「ネコがひざ・・の上に乗ってきた」

と言いませんか?


決して、

「ネコがもも・・の上に乗ってきた」

とは言いません。



そこで、あなたに問いかけたい。


この『オモシロ・オカシイ日本語』について、一緒に考えていきましょう!



この記事について👇👇


❶「ひざ」は、どこなのか?


「ひざ」は、どこを表す言葉なのでしょうか。


例文をいくつか挙げて考えます。

◆歩きすぎてひざが痛い
◆プールの深さは、ひざくらいまである
◆ひざを曲げる運動

どれも、イメージするのは下記の画像の部位ではないでしょうか。
(関節が曲がるところ)

(photoAC)


念のため、日本最大の辞書『日本国語大辞典』(第二版)で「ひざ」の意味を調べてみましょう。

ひざ【膝】
ももとすねを連結する身体部位の一つ。

小学館『日本国語大辞典』(第二版)11巻 p240


やはり、「ひざ」とは、


(illustAC)


ココのことでしょう。
(以下、『ココ』を「関節が曲がるところ」とします)


❷「ひざ」が他の言葉と合体すると――


「ひざまくら」は「ひざ」と「まくら」が組み合わさってできた言葉です。

もしかして、「ひざ」が他の言葉と組み合わさると、意味が変わるのでしょうか。

例を挙げます。

◆ひざ小僧
◆ひざ蹴り
◆ひざ当て

どれも、「関節が曲がるところ」をイメージされましたね?


柔道に「膝車ひざぐるま」という技があります。
この技は「自分の足の裏」を相手に当てて投げる技です。


足裏を当てる位置は、ひざ・・(関節が曲がるところ)です。


illustAC)
イラストでは、やや上に当てているように見えます。
が、実際は関節が曲がるところに当てます。


つまり、「ひざ」は他の言葉と組み合わさっても、意味が変わるわけではないのです。


答えはカンタンに出そうにありませんねぇ。
しかし、わからないからこそオモシロイのが日本語です。


❸他の部位は、どうか?


視点を広げて、「ひざ」以外の部位について考えてみましょう。


「腕時計」という物がありますね。

(photoAC)


さーて、どこに身につけるものですか?







・・・・・・そう、手首・・です。
どう考えても「手首時計」の方がふさわしいでしょう。





実際に、疑問に思った人もいます⬇️




次は、飲み会のシーンを思い浮かべてください。

(photoAC)


同僚が、

「仕事が残っているから、歓迎会には顔を出したらすぐ帰るよ」

と言ったとしますよ。


この人が、飲み会の会場に顔だけ出していたら実に恐ろしいです。


顔だけ出す同僚
(※ホラー映画ではありません)



「顔を出す」とは「顔だけ出す」のではなく、全身を出す(会合などに出席する)ことを意味します。






『平家物語』の「木曾の最期」という場面にも注目してみましょう。


【※】
なぜか、多くの高等学校の国語教科書に掲載されている。
英雄のあっけない最期に、97%の生徒は『ぽかん』と口を開ける。



とある武士が、木曾義仲きそよしなかを討ち取り、高らかに勝ち名乗りを上げるところです。

「つひに木曾殿のをば取つてんげり」



ここでの「首」は、

ではなく、


ですね。

「首」が「首から上(首と頭)」を意味しているわけです。



今までのことを表にまとめてみました。



さぁ――ここから見えてくるものは何でしょうか。






日本語における「身体部位を表す言葉の範囲」はおおざっぱ・・・・・、ということが見えてきます。



「顔」
→「顔」だけを意味するときもあり、「全身」を意味するときもある。


「首」
→「首」だけを意味するときもあり、「首から上」を意味するときもある。


「腕」
→「肩から肘」を意味するときもあり、「肘から手首」を意味するときもあり、「肩から手首」を意味するときもあり、「手首だけ」を意味するときもある。



意味が「おおざっぱ」というか「曖昧・・」というか・・・・・・良くも悪くも日本人(日本語)らしいなぁと思います。


日本人でたった二人だけのノーベル文学賞受賞者「大江健三郎」氏が、「曖昧な日本の私」と題するスピーチをするのも納得できるほど、「曖昧」です。




英語と比較すると、「意味のおおざっぱさ」が顕著です。


※簡単にまとめたものです。
明確には、場面によって定義が違うことがあります😅




❹結論!そして・・・・・・


日本語における「身体部位を表す言葉の範囲」はおおざっぱ・・・・・である。

この真理にたどり着けば、「ひざまくら問題」は解決できます。


「ひざ」は「関節の曲がるところ」も意味するときもあれば「もも」も意味するときもあるのです。




というわけで、答え。



ふー、スッキリ。
しかし、「知れば知るほど謎が増える」のが日本語です。


❺新たなる疑問


実は、「ひざ」が「もも」を表すときには、条件があります。


以下の4つの文は、すべて「ひざ」が「もも」を表しています。
共通することは何でしょうか?


ひざ・・まくら
◆ナフキンをひざ・・に乗せる
◆パソコンをひざ・・に乗せて仕事する





ヒント
その人の姿勢はどうなっていますか?






では、答え。

共通することは、座っている・・・・・ということです。


ひざ・・まくら←座っている
◆ナフキンをひざ・・に乗せる←座っている
◆パソコンをひざ・・に乗せて仕事する←座っている


(photoAC)



「座っている状態」に限って、「ひざ」が「もも」を意味します。
(座っているからといって、必ず「もも」を意味するわけではありません)



なぜ座っているときに限って、「ひざ」が「もも」を意味することもあるのか?
それは、わかりません。


まぁ、このミステリーがあるからこそ日本語はオモシロイのですが・・・・・・。
もし解明できたら、またnoteでお伝えしますね。

(5年以内に解明したいなー笑)



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