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年上の彼の余裕が見慣れなくて、真夏のような年上の彼に恋した

私は帰り電車に揺られながら
恋愛はタイミングだ
と強く思ってしまった。


いきなりの誘いだった。
中高時代仲良くて、高校卒業後もよく遊んである友人。
巷では親友というのだろうか。
その親友に男女5:5でのビアガーデン飲み会。
つまり、「合コン」に誘われたのだ。

親友は私に彼氏がいることを知っていたし、私が合コンというもの自体に”興味”があることも知っていた。

”興味”というのは男性との出会いではなく(全く出会いを求めていないと言ったら嘘になるかもしれないが、タイプの人がいたらそれはそれで考え込んでしまう)、そのような男女が交わる環境に置かれた場合にわたしはどのんな女になるのか、また、合コンとはどのような雰囲気なのかということに”興味”があったからだ。

親友は
「イケメンはいないと思うよ、みんな年上だから、タダ飯が食べられると思って行こ~」
と言っていた。
その心持なのかと、ある意味の安心を持った。
私は合コンへ行くことは彼氏には伝えずに、行くと決めたのだ。

当日は心臓が鳴りやまなかった。
緊張は合コンへ参加することだけではなく、初対面の人間が多すぎる事にも影響していた。

会ったことがあるのは親友のみであった。
男性陣はもちろんのこと初対面、そして、女性陣は親友の勤務先の同期であって女性陣5人中3人もが初対面なのだ。
私を除いた、親友と親友の同期等は4人で海に行ったり、ほかの合コンにも参加してたり、旅行にも行ったりととても仲睦まじげであった。

尚更だった。

親友が男性陣の誰かと上手くいって、見捨てられたら私はどうなるのか。
今夜は親友の家に泊めてもらう予定なのに親友が持ってかれたらどうしようか。と、不安であった。
しかし、親友はそんなことは絶対にしない。
お前もすんなよ。
と、2人で騒ぎながら目的地向かった。
私はこの夏、一番といっていいほど高揚感に包まれていた。

最寄りの駅に到着すると、女性が一人居た。
親友の同期の一人だ。
同い年でとても話しやすい背が高くて美人な子だった。
最寄り駅から会場までたくさん会話をして気軽に話せる関係になれた。
目的地に着くともう2人の親友の同期にであった。
それはRPGみたいで、どんどん仲間が増えていったようで、心強かった。
軽い自己紹介をした。

少しして入り口付近それっぽい男性が3人いるのが見えた。

正直有り得なかった。人は見た目で判断してはいけないと、知っているけれど今だけは言わせてほしい。
3人のうち2人がヒゲロン毛にアロハシャツにデカ黒リュック。合コンに誰が、デカ黒リュックで来ていいと教えたんだ。だめだろ。
と思った。まぁ、わたしは合コンを知らないのだけれど。
もう1人は保育士とか言ってたけど、派手髪派手パーマだったので本当のところどうかは謎に包まれている。

そんな男性3人と女性5人。

あぁ、そうか、今回は仕方ないな。
今日は人脈を広げにきたと思っておこう。と女性陣で誓い合ったのだ。
合コンってこういうものなのか、と腑に落ちたりもしてみた。
わたしは美味しそうなお肉をひたすら焼くことに徹した。
男性等は、後からもう2人くると言っていたけどそんなことに耳も傾けないくらいひたすらに肉を焼いて食べて、呑んだ。

『遅れてすみません』

と、遠くから声が聞こえ、わたしは肉を焼く手を止めた。
(やっと来たか、どれどれ。髭ロン毛だけはやめてくれよ)
なんて思いながら、顔をあげた。

すると、スマートカジュアルな男性2人が走ってきた。

1人は塩顔イケメンで、もう1人は醤油顔イケメンだった。

わたしはその塩顔イケメンに一目惚れしてしまったのだ。

最悪なことに、塩顔はわたしの対角線上に座った。わたしの正面に醤油顔が来た。
(おまえじゃぁないいいいい!!!)
と全私が騒いだ。
ひたすらに肉を焼いて、彼を見て肉をひたすらに食べた。

一軒目が時間となり、店を出た。
わたしはここだと思った。

店を出た瞬間、塩顔の隣を奪った。

二件目では塩顔の隣を狙いつつ、均等にみんなと話した。
楽しんだし、みんながいい会だったと後に思うような行動をした。

たくさん話しをした。たくさん歌ったりもしてみた。
いい雰囲気を醸し出している男女からは離れるようにした。
そして、わたしはわたしの中にはあるあざとさと天然さをに出した。

二件目も時間になり、店を出た。

みんながコンビニ向かって歩く。

塩顔とわたしはみんなの最後尾を歩いた。

誰が1番だなって思った?と聞かれて

塩顔の名前を答えた。

神様、わたしの頭に鳴り響いているLove so sweetを彼の頭での響かせて。
願った。

彼は笑顔だった。
彼は連絡先を聞いてくれた。
本当に嬉しかった。かっこよかった。
彼はコンビニでお水を買ってくれた。

そして、彼は他の女と深夜4時、横浜の街に消えていった。

ん?

あれ?

理解が及ばなかった。
わたしは親友と始発で帰った。
親友の家に着くの吉野家で牛丼を食べながら、合コンって何をもって成功とするのかと、真面目に話していた。
ただの負け組の話だった。
結論としては、楽しめたらそれいいのではないかという話に固まった。

後日、親友から話を聞くと
塩顔は女の消えていったけど、何もなかったらしい。
本当か?疑ってはいるけど、信じた。

連絡先を交換したから、お礼の連絡とだめ元でご飯に誘ってみた。
彼からの返事は2日に一回のペースで、既読はつくのに返信はこない。
これが当たり前だった。
話は進みに進む、数週間後にご飯に行くことになった。

あっ、ん?

え?

“他の女と消えた男とご飯”これは果たして健全なのか??
いろいろな思いがあったけれど、塩顔であるしタイプであるし一目惚れをしてしまったし。
感情で行った。

集合場所の浅草駅に1時間前に着いて、心臓が弾ける飛びそうだった。
気づいたら本屋のメンタルヘルスだとか、人は見た目がどうのだとか
自己啓発と呼ばれる、そんな本のコーナーにいた。

本当に彼は来るのだろうかとすごく不安であったけれど
彼は来た。
彼とお好み焼きを食べに行った。
彼とスタバで甘い飲み物を買った。
彼とスカイツリーを見ながら終電まで話した。
沢山話して楽しかったし、趣味や考え方、好みも合っているように感じた。
時間を忘れて話し、相手も楽しかったのではないかと思っていた。

終電で帰って、また会って下さい、と連絡をいれた。
数日後に返信が来て、予定が分かったら連絡をするとあった。

それから3か月が経つ。

彼は爽やかだった。
彼は7つも年上でそれはとてもスマートであった。
彼は私がお手洗いに行ったタイミングでお会計を済ませていた。
彼は私にスターバックスのマンゴーの美味しい飲み物を教えてくれた。
彼は私が勧めたスターバックスの抹茶の甘い飲み物を飲んでくれた。
彼は公認会計士を目指し、また試験勉強を行うといっていた。
彼は私が勉学に励んでいることをあり得ないくらいに褒めてくれた。
彼は私が頑張っていることに寄り添ってくれた。

彼のすべてが年上で、私が出会ったことのない存在であったからより一層、ときめいてしまったのかもしれない。

年上の男性の懐の大きさとスマートさを知ってしまった。
すごくいい経験であった。素敵な思い出をありがとうございました。

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