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建築ビジュアライズにおけるゲームエンジン(UE5)について

 こんにちは。STUDIO55 技術統括の入江です。
 今日は今話題の Unreal Engine について触れたいと思います。

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 1 年前の 2023 年初頭、 『新時代の制作キーワード』 と題した社内勉強会を行ないました。
 建築ビジュアルの分野でこれまで親しんできた CG ソフトウェアとは異なるソフトを、“新時代のキーワード” として特徴を挙げる中で紹介したもので、キーワードは以下の 4 つ。

  1. ゲーム

  2. リアルタイム

  3. 無料

  4. ボーダーレス

 それぞれの特徴と、それによって何が変わり、また何が問題となるかについて等、詳細に報告をしました。

 特に、1 番目に挙げたキーワード 『ゲーム』 は、ここ数年における急速なハードウェア、ソフトウェアの進化が、ゲーム業界の発展によって CG 業界全体を大きく牽引してきており、もはや非ゲーム系の建築ビジュアライズにおいても看過できないものとなっています。
 中でも、Unreal Engine と UNITY のどちらが良いかは、長年にわたって制作者の間では議論されてきたものでした。といっても、ほぼ雑談レベルですが(笑)

 ● UE と UNITY の違い

 Unreal Engine と UNITY はどう違うのですか? と聞かれることがあります。端的な答えは次のようになります。

UNITY → スマホゲーム向き
Unreal Engine → PC
ゲーム向き 

リリースされているタイトルからも想像できるかと思います。

UNITY → Pokémon GO、League Of Legends など
Unreal Engine → Fortnite、ドラゴンクェスト、ストリートファイターなど

 また、UE は美しいグラフィックでのタイトルが多い事からも、“UE 制作はクォリティが高い” といった印象があります。UE5 公開当時の『マトリックス』の大都市表現の実写レベルの圧倒的なビジュアルが世界的に発信され話題になりました。

 これまで UNITY が良い、Unreal が良いと、その時々で話題になりましたが、最近では UE が注目を浴びている傾向を制作現場(非ゲーム系の現場)では感じています。

● Unreal Engine 有料化

 昨年(2023 年)10 月初旬にニューオリンズで開催した UNREAL FEST 2023 のキーノート(14 分過ぎから)で、エピックゲームズ社のティム・スウィーニー氏が 2024 年のどこかのタイミングでエンタープライズ分野のユーザーが UE を利用する際に有料になると発表しました。

 そして今年(2024年)3 月半ば、次の Unreal Engine 5.4 リリースと同時に有料になるとのお知らせがついにきました。

出展:https://www.unrealengine.com/ja/blog/we-are-updating-unreal-engine-twinmotion-and-realitycapture-pricing-in-late-april

 昨年 9 月の UNITY の新料金体系「Unity Runtime Free」のコミュニティの反発の騒動もありましたが、続く Unreal Engine の新しい展開にさすがに驚きです。まぁ、ここまでのハイエンドソフトがこれまで無料という方が、そもそも驚きだったわけですが(苦笑) 

 お家事情としては、昨年末に Epic Games は収益の悪化を理由に従業員の 16%にあたる約 830 人をレイオフしました。音楽マーケットプレイスの Bandcamp と、デジタルコンテンツのプライバシー保護で有名な SuperAwesome を売却し、レイオフの約 3 分の 2 は、コア開発以外のチームになっています。コンテンツをしぼり、今回の価格変更で収益の改善を図ったという形でしょうか。  

 STUDIO55 は昨年、最新の UE5 を使用したプロジェクトを制作しました。PC 視聴、また、話題の MetaQuest3 を使って実物に近いハイクォリティで内覧を行えるプロジェクトと評価をいただいています。

 UE5.3 では TSR の自動制御機能や LumenGI なしで使用可能な反射改善、建築系プロジェクトで御用達の正投影レンダリングなども搭載されましたが、次の UE5.4 は有料になるとはいえ、それ以上に、更なる進化と快進撃が楽しみなところです。