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顔や身体のパーツが肉親以外の親族の誰かとびっくりするほど瓜二つで、遺伝子の不思議に思いを馳せずにいられないことがある。
娘の鼻の形は義母、つまり彼女のおばあちゃんにそっくりだ。夫ではなく夫の母親の鼻がここに出現したか!と感心してしまうくらいよく似ている。

そしてこれは誰に似たのかわからないが鼻がよく利くので、台所から漂う匂いでメニューを当てるのが異様に得意だ。それがカレーや煮物ならまぁ分かるとして、「キャベツを炒めてる?」とか「肉じゃがでしょ」「この匂いは大根のお味噌汁?」というふうに、推察が詳細で的確なので「すごいね、あんた警察犬みたいだね」と笑ってしまう。
でもこれは嗅覚が鋭いのも確かにそうだけれど、本当にすごいのは、食材や料理の匂いを正確にファイリングしている頭の働きのほうなのかもしれない。
以前にも書いたが、人間の五感の中で唯一嗅覚だけが、記憶をつかさどる海馬という脳の部位に直接信号を送ることができるらしい。海馬は記憶の保管庫のような役割を持っているので、匂いを察知するとそれに該当するファイルを見つけ出し、過去の場面やその時に感じた感情などが呼び起こされる仕組みなんだそうだ。 
なるほど娘は小さい頃から食べたり作ったりすることが好きで、食べ物が印象的な絵本ばかりを繰り返し読みたがる子供だった。だから同世代の他の子たちよりも味や食事の記憶のファイルが充実しているのかもしれない。

もっと高かったら、もっと細かったら、と何かと見た目を気にする年頃になり、朝の身支度にやたらと時間がかかるようになった。たしかに鼻筋がスッと通っている人は男女問わずなんとなく知的に見えるし、横顔が綺麗なので羨ましい。
しかしおばあちゃんにそっくりのその鼻はあなたの顔に調和しているし、なにより機能性が素晴らしい。

そういえば『Dr.スランプ アラレちゃん』に、頭部がお尻でそこに触覚のような形状の鼻がついているキャラクターがいたのを思い出した。
小さい顔の中で、それぞれのパーツがそれぞれの機能を間違わずに発揮しながら収まっているのは、つくづくすごいことだなと思う。

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