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東京装甲少女 EPISODE 0  第16話  【 The Rose 】


カミーユは
ノートの隙間に挟まれていた、


薔薇の押し花のしおりの様な物を
畳に落してしまったので、屈み、手に拾い上げた。

手に取ったしおりを見たカミーユは


カミーユ
【   Des roses ? Très belles.  】



カミーユは、 バラ? とても綺麗と言った、

秋水には意味は解らなかったが、Roseという単語が出たので理解は出来たようだった。



秋水は徐に、窓際に歩き出し、障子を開けた。



スッ!!と開いた窓の先には、縁側があり庭が広がっていた

もう暗くはなっていたが、月明かりに照らされた、庭に
数輪だけ綺麗な薔薇が咲いていた。

カミーユ
【 Wow, c'est magnifique. 】

カミーユは、うわぁ、美しい。
と言った。


感動している仕草のカミーユを見て、秋水が話し出した。

秋水
【 好きだ!!、、、、、、、、、、、、、、、】


【 ったんだ、、、、、、、、
  母が、、、、薔薇を、、、、。 】


と、カミーユは、秋水が変な所で、


言葉を区切るので、少し【 ドキっ!! 】
としたが、



その後も、秋水が、たどたどしい口調で一生懸命
しゃべり始めたので彼の話を黙って聞いた。


亡くなった、お母さんが薔薇を一生懸命可愛がって育てていた事、
この庭に沢山の薔薇が、昔は咲いていて、

曲名は思い出せないがその歌を、よく嬉しそうに口ずさんでいたこと。

薔薇は母が亡くなってから自分が世話しているが、
うまく育てられず、今は数本になってしまった事など、
会話ではなく一方的な伝言の様に、秋水が話す形だったが、
一生懸命しゃべる彼を見て、

カミーユは、
なんとなく、この人は、
不器用なだけで本当は良い人なんじゃないかな
と思った。


そして、その話を聞いていく中で、


カミーユは自分が生まれてくる時、変わりに、
母が出産直後に亡くなり父に育てられたこと。

私のかわいい天使ちゃんという意味で母が、
自分がお腹にいた頃、【 カミーユ 】と
名付けたこと、


母も彼のお母さんと同様に薔薇が好きで、
昔、父とフランスのジェルブロワという
村の祭りに行って、喜んでいたことや、
なんというアーティストでどんな曲名かという
名前は忘れたが、

自分の母も、よく嬉しそうに口ずさんでいたという事を父から、子供の時に、聞かされた事の思い出が
フラッシュバックした、、、、、。


何だか、自分の母の話をされているような気分に
なったカミーユは、


秋水の一方的な伝言が終わっても、
予想外の記憶の邂逅により、


話し始める訳でもなく少し、唖然としてしまい、


二人の間に沈黙が流れた、、、、。


秋水も一方的に自分が話していた事もあり、
それで、カミーユが気を悪くして、
沈黙していると思い、


バツが悪くなった様子で、、、。

秋水
【ごっ、、、、、ごめん、、、、それじゃ       
 あ、、、、明日から、、、
 よろしく、おねがいし、、、、ます。  】


と言い残し、そそくさとカミーユの畳の部屋から
出ていってしまった。


カミーユは、秋水が出ていったあとも、


終始、呆然とした状態で立ち尽くしていたが、
気が抜けたのか、先程、自分が寝ていた
庭が見える布団の方まで歩いていき、


布団の上に、【 ストン 】と力なく
腰を下ろした。


フッと月明りで明るい窓に目をやると
布団から庭が見えた。

薔薇が先程と同じように綺麗に
何輪か咲いていた。


その薔薇を見ていると、カミーユはいつの間にか
子供の頃、母が好きだと言っていた薔薇の歌を、
父が自分に教えてくれたのを思いだし、
口ずさんでいた。


【 Some say love, it is a river、、。】

曲名も忘れ、この事を何年も忘れていたはずなのに、自然とこの曲の歌い出しの唄を歌うと、
すらすらと、カミーユは唄を歌った。

そしてそれと同じくして頬を涙が、

【スーっ】と流れた。


カミーユは思い出した。


小さい頃に母を思い
【Bette Midler の The Rose】という唄を覚えて、
良く歌っていたものだが、いつの間にか、
歌うのをやめた事を。


なぜなら、どんなに、母を思ってこの唄を
歌って泣いても母には写真の中でしか
会えないからだ。


初めは、寝物語に父に教えて貰い、
とてもきれいな曲で
幼いカミーユも、とても気に入って歌っていたが、
歌えば歌うほど、母に遭いたい気持ちが募り
感情が昂りいつの間にかこの唄を歌うと
泣くようになってしまったからだ、


困った父に、

幼いカミーユは【 泣き虫カミーユ 】だね
と良く笑いながら、おやすみ前のベッドで
揶揄されていたものだった。

この唄の、歌詞の中に

【 Some say love, it is a hunger,
  an endless aching need.  】


【 愛について人は、飢えのようだと言う
  求めても満たされることがない  】


幼い、カミーユが、その意味を、理解したとき、
このまま、愛という存在があることで、


私は、母を求め続け、泣き続け、
こんな苦しい日々を過ごさなければならないのか、


ならば、母を想うことをやめることで、この苦しみから解放されるのなら、自分が、それを捨て、
新しい強い自分になることを彼女はいつしか、
心に決めた。

言うなれば、彼女なりの苦しみからの逃走であり、解放であった。


そして、その後の、新たなカミーユは、
強くなりたい一心で、愛というものとは相反する
現実的な強さや実利的な物に惹かれるように
成長
していった。


多くの物事を知る事で、自分の心の想定を越える事が無い壁を作れることを學び、更に勉学に励む事で多くの知識の壁で幼い彼女の本心を閉じ込めていったのだった。


だが、人よりも、多くの知識に理論武装された
彼女ではあったが、
その壁のなかにはあのときのまま変わらない
【泣き虫カミーユ】がそこにはいた。

カミーユは唄を歌い続けた。

逢いたいよ ママ!!逢いたいよ ママ!!と
声を押し殺しながら、、、。

カミーユ
【 Tu me manques, maman.  
  Tu me manques, maman.  
  maman.、、、、、、、、、、、、、。 】


むせび泣くようにカミーユは大粒の涙を流した。



一頻りカミーユは泣いたところで、落ち着きを
取り戻した。


だが、本当につくづく日本という国は鍵もないドアで襖という木と紙で出来たドアという物はプライバシーも何もないなと困ったものだと痛感したが、
そんな事を思ってもしょうがないと思い


そういえば、先程、秋水が案内してくれた中に
風呂場があり、

大善が宴席の際、湯を沸かしたので後で入ると言いと勧められたのを思い出した。


大善
【 お嬢ちゃんの国ではどうかはしらんが、
  日本にはな、夜は必ず、風呂に浸かる文化が
  あるんだわな。
  今日は疲れただろうからよ、よもぎ風呂
  沸かさせたからな入りな!!
  嫌な事も、疲れも全部ぶっ飛ぶからよ!!
  ガハハハッ  】


と言っていたが、
フランスではバスタブはあるが、基本は
寒い日以外はシャワーで湯船につかることは
滅多になかったが折角のもてなしを
無下にする
ことも失礼に当たる事もあるが、
何より自分の心の防壁の回復が可能であるのであれば、あの豪快な家主の一計に乗ってみるのも
手かと思い、気持ちを切り替え浴室に向かった。


浴室のガラガラと木製のまた鍵もないプライバシーもへったくれもない扉をスライドさせると

水色の古びた陶器の小さな洗面台と鏡があり、
自分の顔を覗き込んだ


カミーユは、目が真っ赤で、腫れぼったくなった瞳の自分を想定外で恥ずかしく思い、すかさず
脱衣所で脱衣し

浴室へ行き、青色のタイルが敷き詰められた、
フランスの陶器の白色のバスタブとは違うスタイルの水色のバスタブに身を沈めた。

湯の上には、不織布のティーバックのようなものが数個浮かべられていた。


臭いを嗅ぐと青草のような、とても良い香り
湯の水、浴室に広がっていたことに気づいた。

カミーユはアロマのような何とも爽快でまさに、
あの豪快な家主の言うように、今日あった
全ての嫌な事も、疲れも全部ぶっ飛ぶからよ!!
ガハハハッと

言っていたことは本当だったんだなと
湯船の中で フフッと笑みを浮かべた。


カミーユは、爽快な気分で、風呂を上がり
脱衣場の上の方にバスタオルがあると、
木偶の棒がそういえばさっき言っていた事を
思い出し、タオルがあるラックに全裸で手を
掛けようか否かという所で


浴室のガラガラと木製の、また鍵もない
プライバシーもへったくれもない扉が何故か
カミーユがあけたわけでもないのにスライドされた、、、、。


それと同時に木偶の棒が、脱衣場に入ってこようと半歩、歩を進めた所で、、、、。

裸のカミーユの存在気付いた。

お互い一瞬、目を合わせ、放心した形だったが、

秋水の方が、状況が読み込めなかったが、刹那、
理解し謝ろうと。

秋水
【 あっ、、あっ、、ご、、ご】

と言う所で、電光石火

カミーユは、掃除のときのような人間離れした

神速で

秋水の頬目掛けて、思いっきり

【 バチーン 】
という


平手打ちをお見舞いした、、、、、、。


東京装甲少女 EPISODE0  第17話へ続く、、、、、。



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