見出し画像

モノへの愛着と折り合うツール ~メルカリ考~

モノへの愛着 捨てられない

モノへの愛着が強く、捨てることに抵抗がある。
特に「捨てる」判断が難しいのは、本と服である。

もう読まないだろうな
もう着ないだろうな

そう思いながら、ゴミ箱に入れることができない。
モノへの愛着を持ちやすいたちであり、必要がないということは分かっているのにゴミにするのは忍びない。

メルカリだと手放せる

メルカリは、不用品の売買を行うCtoCフリマアプリである。
利用者数は1,7501万人にのぼり、日本屈指の有名スマートフォンアプリケーションであろう。

モノを捨てることに強い抵抗を覚える私は、メルカリでは躊躇いなく、モノを手放す=売ることができる。

なぜだろうか。

理由1:自分で価値を定められる

モノに対して愛着をもつのは、モノと私にストーリーがあるからである。関係性をもったモノに対して、赤の他人に価格を言い渡されるということは意外に大きなストレスである。古本屋や古着屋で売り手に言い渡される価格は大抵の場合想定を下回り、時として売り手の心を傷つける。
メルカリでは、売り手が価格を自由に設定できる。
高い価格で設定しているモノのなかには、ずっと売れ残るモノもあるが、それでよいのだ。モノとの関係性を保ったまま、売り続けられる。

理由2:モノとの「お別れの儀式」がある

買い手がつくと、買い手とのメッセ―ジのやり取りや商品の梱包作業が発生する。モノとの別れの儀式である。モノの持ち主として、手ずから次の持ち主のもとに送り出すことができる。
古本屋や古着屋に持ち込んだ品物は、次の売り手の手に渡り、どんな買い手がついたのか知ることはできない。もしかしたら、ずっと倉庫にしまわれてしまうかもしれないし、売れ残ればいつかは捨てられてしまうのかもしれない。モノとの物理的な別れは素早くできるが、心理的な別れはしづらい。

メルカリは循環の起点を生み出すプラットフォーム

株式会社メルカリのGroup Missionには「あらゆる価値を循環させ、
あらゆる人の可能性を広げる」と記載があり、メルカリはこれまでになかった循環を生み出すフリマアプリだと定義していることが読み取れる。

循環を生み出すには起点が必要だ。

メルカリは、モノを手放したいという思いを押しとどめるモノへの愛着の堰を上手に壊して、循環の起点を生み出すプラットフォームである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?