【エヴァ考察】ゾフィーの行方
今回はアダムスに関するちょっとした考察になります.『シン・ウルトラマン』のネタバレありますのでご注意ください.
1.破のアダムスたち
(1)光の戦士
お馴染みの画像から始めましょう.
2つの絵に共通するのは4体のウルトラマンです.2つで異なる点は2枚目にゾフィーはいなくて,代わりにエースがいることです.
1つ目の画像は破のセカンドインパクト回想シーンのもので(以下「回想アダムス」)、2つ目は破における次回予告です(以下「予告アダムス」).いずれも破に収められたもの.
さて、事前情報の出し方に細心の注意が払われていることで有名な庵野秀明氏.この2つの画でアダムスが5体いることを仄めかしていた、と今から思えばですが読み取ることができます.
破の次回予告は長らく偽予告でしたが(空白の14年であることが判明)、予告通り13号機もといエースが続編に登場したことになります.
ちなみにこのアダムス5体はシンエヴァで1つの絵にまとめられました.
空白の14年と分かった現在、偽予告は考察ネタの宝箱です.が、謎が多すぎて取り上げようにも手のつけようがなく、現在に至るというのが考察界隈の実情.
(2)アダムスとインパクト
脱線になりますが空白の14年とアダムスついでに1つ.ミサトいわく、フォースインパクトとセカンドインパクトは儀式の方法が似ていました.おそらくアダムス4体が用いられた点を指して言っています.
実際はフォースの前にアナザーが起こされたわけですが、そこで用いられたNHGとなったアダムスたち.その主機であるアダムスの器のパイロットはご存じアドバンスド・アヤナミでした.それではセカンドのアダムスたちにパイロットはいたのでしょうか.
ここで思い出したいのは、序で目覚めたカヲルの棺の左には蓋の開いた棺が4つあったことです.
新劇の世界には、序で目覚めたカヲル以外にすでに4人のカヲルが存在していた.この”4つ”という数は意図してのことです.というのもこの絵のレイアウトでは左の棺は3つでした(貞本義行氏作成.序全集326頁).つまり、庵野さんがわざわざ4つに修正したということになります.
ここから4人のカヲルが何かに利用(消費)されたと推測できます.そしてそれはセカンドインパクトを於いて他はないと思うわけです.
ちなみに他のインパクト、例えばサードインパクトは方術が異なる可能性があり,アダムス4体が用いられたかわかりません.もっとも予告で4人のアヤナミレイが登場します(コンテ).どうなんでしょうか.
4人のうち1人はQ以降の別レイと思われます.
(3)「俺の名前はウルトラマン…タローーーー!!」
さらに脱線です.エヴァンゲリオンはウルトラマンと巨神兵、とは有名ですが(キャッチコピー自体は鈴木敏夫さん)、以上に見てきたように新劇であからさまなウルトラマン要素が指示される場合、それはアダムスに関連するという印象をもちます.
推しの改8.「オーバーラッピング」の元ネタはウルトラマンタロウです.アダムスのニオイぷんぷんしますね(6体目のアダムスか.例えば下記記事).
(改8、早くRAHかthreezeroロボ道で出ないかな)
2.ゾフィーどこいった
(1)問題の所在
話を回想アダムスと予告アダムスに戻します.先ほどは予告アダムスの絵を5体目アダムスの情報解禁と解釈しました.
視点を変えて、今度は予告アダムスの画像でゾフィーがエースに代わったこと、言い換えればゾフィーがいなくなったことに注目したいと思います.
というのも、予告アダムスについて、エースが13号機としてQで再登場、さらに他の3体のアダムスたちもNHG戦艦としてシンエヴァに再登場(あるいは再利用)したと仮に考えます.再登場というのは、すでにセカンドインパクトで登場しているためです.すると予告アダムスは空白の14年以降にそれらが再登場することを告知するものだったとも捉えられます.
つまり、あそこにゾフィーがいなかったのは、彼がすでに再登場を果たしていたからということにならないか.以下この仮説について検討していきます.
(2)Mark.06
すでに再登場していたとなれば、破の最後に登場した「真のエヴァンゲリオン」ことEVA Mark.06こそゾフィーアダムスではないか、ということです.
そう推認させる事情の1つが制作資料にあります.これまでも何度か触れてきた、序の最後、月で目覚めるカヲルのシーン.その脚本です.
これに加えて、破では月面基地タブハベースのMk6建造場所は「6号蘇生現場」(破全集94頁)という呼称でした.
つまり、序脚本の「墓」ということから、Mk6の素体は既存の巨人の亡骸を流用していることがわかります.そしてそれはセカンドインパクトで利用されたアダムス、そのうちのゾフィーというわけです.
ちょっと待ってどうしてそうなる、とお思いでしょう.アダムスの亡骸は残っていたとしても南極にあるはずじゃんというわけです.
これには持論がありまして、旧作同様、南極に存在した白き月が新劇ではセカンドインパクトの際、宇宙に飛び出しそのまま衛星になったというものです(例えば「君の名は」等).アダムスの骸も月と一緒に運ばれた(もっともこうした突飛な前提をとらなくても、インパクトの際にアダムスが月まで吹っ飛んだと解すればこと足りますが).
ちなみにMk6=アダムス説と考える場合で上記と異なる説明、例えばMk6の素体は月で新たに生まれたもの、あるいはゼーレが地球から運んだものなどのように考えると、上記「発掘」・「蘇生」の説明でつまずくことになります.
この点、Mk6=使徒説にも少し触れましょう.この立場なら、生命の実を持つ生命体の本拠地である白き月に素体が存在することは当然のことなので以上のような議論は生じません.さて議論は尽きません.皆さんはどうでしょう.
(3)ウルトラマン第39話
さて、Mk6=ゾフィー説を裏付けるもう1つの事情は、ウルトラマンの第39話「さらばウルトラマン」です.この話ではゼットンに敗れたウルトラマンをゾフィーが赤い球体となり包む有名なシーンがあります.
このシーンについて.以前紹介した記事に、13号機が第12使徒に包まれるQのあのシーンはこのオマージュとの指摘があります.
オリジナルではウルトラマン=ハヤタ隊員がゾフィーの持参した命で蘇ります.エヴァでは第1使徒だったカヲルが第13使徒として新生.使徒の力を取り戻すということです.
そしてその第12使徒が出てきたのはMk6からでした.同機体がゾフィーならオマージュとして合点がいきます.
ちなみにMk6=アダムス説の場合、Mk6が第12使徒と認識されたことについて説明が求められます.空白の14年のどこかでMk6に取り憑いたと考えるのが一般的かと思います.
もっとも以上の結論を出すと、個人的な問題にはなりますが以前から説いてきた月の巨人=アダム説と衝突します(新劇アダムは「アダム新劇場版:再訪」).また、アダムスはNHGに用いられたがゾフィーも利用されたと考えるべきか等々、整合性が気になりだします.今後の課題とします.
このようにいろいろありますが、南極アダムスと,第12使徒とMk6,カヲル使徒化にゾフィーを絡ませた1つの説明を試みました.参考になれば幸いです.
3.ヴンダー
さて、ゾフィーどこいった問題についてのもう1つの解釈を示したいと思います.おまけです.
ヴンダー含むNHGは皆元々はアダムスたちでした.そこでゾフィーアダムス=ヴンダー(NHG Buße)の可能性を検討したい.
艦橋正面の赤い覗き窓?らしきものの数は18個です.そしてゾフィーさんは、
鋲のような突起部分が画像から18個あります(胸部6×2+肩3×2).
そういうことです.いやそんな無茶な!
とはいえ王蟲を彷彿とさせるあの赤い丸ですが数が合わないので(王蟲の眼は14つ)モヤモヤしていた方の気休めになればと.もちろんナウシカの王蟲も元ネタの1つではあると思います.青い地球を取り戻すヴィレの戦闘艦が、大地を清浄化するために大海嘯を起こす王蟲と重なりますから.つまり今のところヴンダーの元ネタは王蟲とウルトラマンゾフィー(とヤマト)といったところでしょうか.
ついでに辻褄も合います.劇中の時系列で考えると予告アダムスの映像はサードインパクト付近と思われます.したがってヴィレのヴンダー強奪に近いはずです.するとこの段階でヴンダーは未完成ながら最低限かたちになっていた.
そしてその他のNHGはヴンダーが未完成の一番艦であることから、さらに建造が遅れていたことが考えられます.これはシンエヴァでのリツコ「完成していたのね」という台詞にも合致します.
したがって,この段階でゾフィーアダムスを再利用したヴンダーだけが起動できる状態だった.この点が予告アダムスにゾフィーがいないことに表れていたのではないか.
それでは最後に…
『シン・ウルトラマン』のマルチバースという設定上、並行世界のどこかにエヴァとつながっている世界があるのかもしれません.なお加持が鍵を使って融合した話は以前「使徒の量産化?」の4で書きましたので気になった方は覗いてみてください.
今回は以上になります.ご感想等いただければ幸いです.
画像:©khara/Project Eva.
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