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「足立市場」取材のせいとん①

スコン!

と抜けた青空の下で、
ドッドッドッドッド…と心臓が早鐘みたいに鳴っている。

千住大橋駅を降りてすぐの『足立市場』の正門のすみっこで、胸に手を当てながら何度目かの深呼吸をしている。「だいじょうぶだいじょうぶ」「できるできる」とつぶやいたり、「かえりたい」と心のなかで叫んだりしながら「ええい!」と場内に一歩を踏み入れた。

午前8:00
まだ光がたっぷりとした10月末。少し肌寒いけれど、雲ひとつない青空からの陽光は頬に温かい。朝の空気と視界いっぱいの空に「遠足にきたみたい」と少し心は弾むのだが、「やっぱ引き受けるんじゃなかった…」と途端にしぼむをもう4,5回は繰り返している。つかれるこの繰り返し。相当なカロリーを消費している気がする。


どえらく甘いミルクティーを、買っておけばよかった。



OZ magazineの1月号で、北千住を特集するので、足立市場の取材をお願いします!と(ここでの表記はざっくりだが)とってもありがたい依頼を受ける。

脳で考えるより先ず「やります!」と言わないと、断る理由ばかり浮かんでしまうの法則に則り、喰い気味に「やります!」と返答をしてしまう。(ああ、もう…!と思う自分もいる)


足立市場内を北千住のオステリアのシェフと一緒に巡る、という企画と、仲卸のお店の紹介、市場内にある食堂の紹介、が主な趣旨である。

そして市場で買った食材でシェフに調理をしてもらい、
そのレシピを掲載するのだ。


とっても素敵な企画だ。


先ずは現地の下見をし、連絡窓口を探して企画書を送付し、取材依頼、OKであれば取材日程を決め、取材(と撮影)、その後執筆、校正…となる(ことを新宿特集で学んだ)。

下見の前調べで、足立市場についてネットで調べまくる。
さすが市場。稼働している時間が早朝5:00〜10:00、仲卸さんの手隙となる時間帯は8:30以降…食堂もほぼ同じであることを知る。

市場の取材には申請がいることを知り、運営側へ早々に手続きをとりつつ、各お店へは個々に依頼をかけるよう指示を頂く。できたらメールで取材依頼をかけたいのだが…市場という特性なのか、HPとか先ず手始めの気軽?な受付窓口がない(あるお店はあるのだが…)。

「ひぃ…(白目)。」

そらそうだ。
市場はあくまでプロ向けの場所であるのだから。

普通に電話をするのでさえ、私にはハートが破裂するくらいプレッシャーなのに、メールでの問合せが不可なんて…。

「やっぱムリだ」
でも断ることもできない。泣きたい。

一方で、コレは凸るしかないんじゃない?と心に長年住みつく不遜な私が、ニヤニヤと鼻をほじりながら提案してくる。コイツはいつも妙に強気だ。


「ぐぅ…!」

いや、でもその通りで。
モヤモヤ言ってられるほどの時間的余裕はない。
依頼〜取材完了まで土日を含めて一週間ちょっとの期間しかないのだ。
躊躇ってる時間はない。メールや電話で企画趣旨を説明して…返事を待って、日程調整して…なんてやりとりしてたら、終わるのだ。


「終わる訳には…!(白目)」

企画書コピーして、直接お渡しして、必要なことを話して…
取材日程もそこで決められれば、それが最高で最短です。
怒られたらどうしよう。
相手も人だよ!?謝ればいいじゃん!
本気でヤバかったら、走って逃げればいいんだよー。
何年接客業やってきたんですか、ヨユーでしょう?

「オロオロしている私」「自信だけある不遜な私」「事務的で淡々とした私」の3人の存在を感じつつ、鼓舞なのか蔑みなのかわからい状態の「励まし」を散々と自分に浴びせる。


当の本人はもうフワフワ混乱した状態になっている。


「明日いこう…!」


とギュッと拳を握り、グッと下唇をかんで近所のコンビニへ企画書のネットプリントの手続きをした。




②へつづく…


-20230102-
※私のこころの整頓のために書き連ねますのです…。


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