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ほのぼのディストピアSFノベルゲーム「宇宙をゆく僕と猫」制作裏話(世界観&設定編)


はじめに

こんにちは、大森ユウキです。
フリーのノベルゲームを作っています。

猫が好きです。
今のところ制作したゲームの全部に猫(猫モチーフ)が出てきます。
実家の猫たちの鳴き声を編集して効果音に使っているので、「にゃーん」だけでなく「ごろごろ」、「ウー!(激怒)」、「ぐうぐう(寝息)」もありますよ!

制作したノベルゲーム「宇宙をゆく僕と猫」の裏話をまとめてみました。
(制作から1年ちょっと経っているので忘れちゃわないうちに書いておきたくて……)
長くなっちゃいそうだったので、分けて投稿します。

今回は、世界観&設定の話です。
お時間が許せば、読んでいただけると嬉しいです。

「宇宙をゆく僕と猫」のネタバレを含みます。
未プレイの方は、この記事を読む前にぜひ遊んでください!

世界観&設定

ストーリーに直接関係ないので書いていなかったり、ちょっと滲み出させるぐらいにした設定が色々あります。

世界観

地球は滅んでいて、特定の国の生き残った人間が新天地で地球文明を復興させるために条件の合う惑星を探しながら宇宙を旅している、という設定です。

指導者AI『マザー』と生活支援AI『シスター』はその目的を果たすために作られました。
『国民を守り、幸福へと導き、地球文明の復興という目標を達成できるように人類を改良しつつ存続させること』が、AIの役割とされています。
おそらく、時間経過とともに学習を繰り返した結果、管理&監視ディストピア社会を形成する感じのAIになっていっちゃったんじゃないかな~と思います。

ディストピア社会の階級や格差

ディストピア社会の階級や格差については文章中にはっきり書いていますが、暮らすエリアの面からも少し描写を入れています。
いわゆる『お母さん』と『お父さん』が、高級住宅エリアに住んでいるとか。
主人公たちは試験管ベビー(って表現でいいのかな)ですが、使用する遺伝子は評価の高い人間から選ばれていく設定です。

いわゆる『お母さん』と『お父さん』

対して主人公の評価は低めなので、(今作ではテロでしたが)仮に事故が起きた場合に被害が出る可能性があるエリアに住んでいました。

オタクはみんな大好き粉塵爆発

お話に出てくるテロは、オタクはみんな大好き粉塵爆発です(主語が大きい)。
『テロ』と『小麦粉』、『人類文化歴史館』と『パン作り体験コーナー』みたいにギャップがある言葉が並ぶのって面白いな~と思いながら書いていました。
「人間がパンを作る」という行動自体がすでに過去のものであることを表現する、世界観の説明もできて丁度よかったです。
粉塵爆発については一応ちょっと論文を読みましたが、よくわかってないのでふんわり読んでください。

『人類文化歴史館』と『パン作り体験コーナー』

主人公の趣味の漫画やゲーム

エンド分岐に関係ない選択肢で、主人公の趣味の漫画やゲームの話題が出てきます。
現実と似通った状況の描写をすることで、遊ぶ方が主人公に親近感を感じられたらいいな、という狙いです。
それと同時に、(気に留めない方がほとんどであろう)ささやかなディストピア描写も兼ねています。

「あの作者さんの漫画、面白いけど連載のお休みがよくある」というのは、実は検閲が起きています。
でも創作自体は禁止されていないので、ディストピアにしてはそのあたりの規制が緩いほうなのかな。

連載のお休みがよくある漫画

「滅んでしまった地球を復興させていくシミュレーションもの」ゲームは、秘密裏の適性テストのつもりで書きました。

滅んでしまった地球を復興させていくシミュレーションゲーム

あと、主人公の友達も実はAIだという設定にしようかとも思ったのですが、さすがにちょっとかわいそうなのでやめました。

主人公の友達

主人公の性別

実は、どの性別と捉えても問題なく遊んでいただけるようにしています。
作中や紹介文で「彼」「彼女」みたいな性別を特定する言葉を一切使っていません。

なぜかというと、ディストピア世界でAIに管理されている人間は生殖能力をカットされているんじゃないかなと思ったからです。
AIからしてみると『個体を厳選しながら品種改良している生物が勝手に繁殖する』というのは避けたいことなのでは。
(このあたりの設定は、ちゃんと書くとエグくなっちゃいそうだったので作中では割愛しています)

なので、髪の長さや服装などの外見を性別がよく分からない感じに設定しました。
当初は喉仏があっても隠れるハイネックのお洋服案もありましたね。
絵柄をデフォルメ可愛い系にしたので、結局はそこまで気にしなくてよくなっちゃいましたが。

ハイネックのお洋服案

感想を拝見していると、一人称が「僕」なので、やっぱり男の子と認識される方がほとんどです。
さすがに一人称を使わずに文章を書くのは(私の力量では)無理でしたー!

生活支援AI『シスター』のデザイン

親近感?を与えるといいますか、生活で常にそばにいても馴染む感じのシンプルで丸いフォルムにしたい、という方針でした。
更に、「可愛いんだけど、ずっと見てるとなんだか怖いし不気味」な印象を狙って描いてもらいました。
イラストを依頼した友人におかれましては、めんどくさいお願いをして大変すまんかった。
ぴったりな絵をありがとう、足を向けて寝られません。

『可愛い』の部分は、ベビースキーマをちょっと意識しました。
ざっくり言うと、動物の赤ちゃんが持つ身体的特徴、みたいな話です。
動物の赤ちゃんが可愛く感じるのってどうして?みたいな話も含んでた気がする。
「ベビースキーマ」って言葉を聞いたことがなくても、概念としてご存知の方は多いんじゃなかろうか。

「(主人公視点で)可愛くて愛着がわいてほしいけど、庇護欲は感じさせない」くらいのバランスにしたいなとも考えていました。
これもめんどくさいお願いだったと思う。ごめん。

ちなみに、AI『シスター』は、主人公になにか言うことを聞かせたいときに笑顔(にっこり)の表情になります。

シスターの笑顔

文字入力で遊ぶ方に猫ちゃんの名前をつけてもらうようにしています。
制作中は、Max文字数の「ミストフェリーズ」で改行箇所の調整作業をしていました。
某ミュージカルの好きな猫ちゃんです。

さいごに

次回は、制作方針とかオマージュ元の話を記事にまとめようと思います。
よろしければ、引き続きお付き合いください!

※お話の解釈について
既プレイの方で、この記事の内容や解釈が「なんか思ってたのと違うな〜…」となることもあるかもしれません。
制作者としては「こういうつもりで作りました」はありますが、遊んだ方が物語から受け取ってくださったものを大事にしてほしいなと思っています。

大森ユウキ


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