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ミュージシャンの小沢健二はかつてこう言った。

「誰もが知っていることだけど、夜が明ける朝は必ず来る。」

そう、夜は終わり朝が来ることを、僕たちはいつでも知りすぎるほど知っている。それなのに間抜けな僕たちは、夜が来ないものと決め込んで日中を喰らい尽くしたり、永遠のような夜に絶望したりする。永遠なものなど無いということは、希望だ。『さよならは悲しい言葉じゃない』これも昔のポップスの歌詞にあったような気がする。

思い出は、それが終わって思い出したときに初めて再帰的に美しさが色付くものなのかもしれない。あなたを愛した記憶が少しずつ輪郭を帯びていって、最後には今のぼくのもとに戻ってくる。追憶の糸はまるで円を描くように僕と、遠くのあなたと、世界を包んで、すべてを抱きしめてくれる。

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