【短編小説】バベルの糸 第9話
カシワとリュウは、鉄道等の製鉄部品を作る工場団地を歩いていた。内戦時、此処は武器を作るための工場として国が管理していた。今は、限られた機械しか動いていない。此処で製造していたものの大部分は、糸で創られるようになっていた。
カシワは無表情で工場の様子を眺めていた。編み人ではないリュウには、カシワの心境を推し量る事は出来なかった。
「あの日、お前もあの戦場に居たのなら、兵士達がどれだけの殺意を持って銃を構えていたか覚えているだろう。当時俺達は新米だったが、奴等を殺したい気持