温かくて冷たい、甘くてしょっぱい。

季節は秋。
まさに、秋本番。
我が家のベランダで育てているナデシコは、真夏の光線で枯れてしまいそうになっていたが、秋の涼しさに元気を取り戻し、ついに1輪の花を咲かせた。
根気強く、水をあげ続けて良かったと思った。

私の人生は四季のように廻っている。それも、穏やかな四季の移ろいなど感じる余裕はなく、昨今の厳しい天候事情と似ている。
長い長い冬を乗り越えて、ようやく訪れた春は一瞬で過ぎ去り、うだる夏によって、ようやく咲いた花も萎れてしまう。そして、秋にひそひそと鋭気を養うわけだが、時に嵐が訪れ、気がついたらまた冬がやってくる。
四季を切り抜けるのは大変だ。

でも、花は咲く。水をあげ続けることを忘れてはいけない。


今日は、思い切り甘いものが食べたくなった。
糖分は正義だ。
シロップいっぱいのホットケーキを作ることにした。アイスも乗っけちゃおう。
近所のスーパーへ行き、ホットケーキミックスゾーンへ。
今時は多種多様のホットケーキミックスが売られている。
スフレのような生地が作れるもの、米粉を原材料としているもの、価格帯もピンキリだ。
ここは専門家の意見に委ねるしかないと、私が絶大な信頼を置いているTBSテレビ「ラヴィット！」より「超一流スイーツ職人が選ぶ！1番美味しいホットケーキミックス」を拝借し、ずばり第1位の昭和産業「ケーキのようなホットケーキミックス」をチョイス。

TBSテレビ「ラヴィット！」（2021年7月20日放送より）

こちらは、2種類の小麦粉と米粉を使用しており、表面はカリッ、中はしっとり食感。まるでスポンジケーキを食べているような満足感が味わえるという。
全力でホットケーキと向き合いたい、今の私にピッタリだ。

本商品裏面によると必要な材料は、卵2個、牛乳1/2カップ。
我が家の冷蔵庫には、いつも有り余るほど卵のストックがあるし、今朝封を開けたばかりの豆乳があるので（気持ちヘルシーに豆乳を使うことにする）、あとはホットケーキをさらなるハイカロリーに仕上げるための材料を用意するだけ。
ホットケーキとマブダチのバターとメープルシロップはマストだし、今日はアイスを乗せるので、乳脂肪分の高いアイスクリームを買う。

るんるんで帰宅。さっそく調理に取り掛かろうと、冷蔵庫を開けると、、

た、卵がない。

嘘だろ。2人暮らしの平均卵摂取量を異常に超えるストック量を誇る我が家の冷蔵庫に、今は卵が一つもない。
うん、すぐに買いに行けばいいのだが、これが究極に面倒臭い。
なんだろうこの面倒臭さ。極度の引きこもり体質の私。ただでさえ外出には気合いが必要なのに、再び外に出るなんぞHPが底尽きてしまう。

ということで、
卵を買いに行く＜ホットケーキは後日に持ち越す
という最良の選択をして、話は後日に。

突然、完成！

何度もアイスを食べてしまいそうになる欲望を抑えて（早く卵買いに行け）、中央に鎮座させた。
そして、卵の無念を晴らすべく、これでもかとバターとメープルシロップを染み込ませた。
そう、糖分は正義なのだ。

ということで一口。
表面はカリッ。ぬくぬくの生地によって冷たいアイスが溶け出す。
やはり生地の中はスポンジケーキのようにしっとりしている。そこにバターとシロップが思い切り染み込んでいて、ジューシー。
アンバランスなはずのバターの塩味とアイスとシロップの甘味が、それぞれ合わさるともう太刀打ちできないほどの旨味に。

温かくて冷たい。甘くてしょっぱい。
人生は厳しい。けれど、たまには温かさや甘さに溺れたい。

さて、今日も生きていく。