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デザインを知らない素人が、デザイナーになって、早々にやめるまでの話②

前回。鬱々とした高校時代を変えるべく待望のマンモス大学に入学した私。
enjoy lifeを夢見ていたのですが、現実はなんだか高校時代と変わらない日々。
そこで出会った1冊のフリーペーパー。そこにはキラキラしたものが詰まっていて、私は躊躇わずにメンバーになるべくメールを送ったのです。


自信となったフリーペーパー

数回のミーティング見学を経て、イケてるフリーペーパー団体のメンバーになった私。
これまでとはまるで違うイケイケ↑コミュニティに入った私は、自身の容姿や立ち振る舞いのダサさを痛感すると共に、果たしてここで自分の居場所を見つけることができるのか大変不安を感じておりました。

そんな中、このフリーペーパー、実は廃刊危機に直面するのです。
私が加入した辺りから、なぜか次々とメンバーが辞めていき、新しい号を発刊できるような体制ではないと次号の制作は打ち止めとなります。
残された我々は、次号制作のためにメンバー募集を始めます。
まずは、チラシ配りだ!と私に初めての仕事が舞い込んできました(デザイン担当が皆いなくなったので、試しに私が作ってみることになりました)。
新メンバーとなって約3ヶ月、右も左も分からない新人が早々に次のメンバーを集めるためのチラシを作るという緊急事態に、私は必死に取り組みます。
そして完成した1枚。
「すごい」と、このデザインが高評価。私は初めてこの団体にとって自分の必要性を感じることができたのです。
(後日談ですが、当時のメンバーによると、その頃の私の容姿があまりにもダサかったため、チラシデザインのクオリティを大変心配していたそうです。しかし、出来上がったブツを見て、これなら私にデザインを任せても良いと思ったそうです。)

こうして、自分の武器や特技など何もなかった鬼ダサの私が、フリーペーパーと出会ったことで、自信をつけていき、だんだんと調子に乗っていきます。
最初は興味のなかったフリーペーパーにいつの間にか魅了され、大学時代にはこの団体内外で、合計5冊のフリーペーパーを作ることとなります(フリーペーパーの魅力については、また別の機会に語らせてください)。

デザインを仕事にしたい

デザインによって自信をつけた私。
調子に乗った私は、デザインを仕事にしたいと思うようになります。グラフィックデザイナーもしくはエディトリアルデザイナー(出版物のレイアウトデザインをする人)になることを目標の一つとします(まだ、完全に覚悟を決めたわけではありませんでした)。
しかし、前述のとおり、私は大学でデザインを学んでいるわけではありません。その知識や技術は、すべて独学です。

どうすれば、その道に近づくことができるのか。

まずは働いてみる

私はまず、グラフィックデザイナーのアルバイトを探します。
コネもツテもないので、よくあるアルバイトサイトで検索をかけて、片っ端からデザイン事務所に応募しました。
しかし、そのほとんどが、フルタイム勤務で学生が働ける条件に当てはらないものや、条件に当てはまっても即戦力を求めるものが多く、私のような素人を育てていく体力のある事務所とはなかなかマッチしません。
なんとか面接に漕ぎ着けた事務所があったかと思えば、骨董品や木彫りの虎で埋め尽くされたオフィス。これは社長の趣味なのか、事務所は事務所でももしや○事務所に来たのか。組員、、失礼。社員全員がオールブラックコーデの制服?を来ている。宗○団体の可能性もある。こういうとこに限って採用をいただくわけですが、丁重にお断りして振り出しに戻る。

それでも、私は諦めることなく応募を続け、ようやくまとも?な事務所から採用をいただくことができました。
そこは、長年別の事務所で働かれていたデザイナー(社長)が立ち上げたばかりの小さなデザイン事務所でした。ワンルームマンションを無理やり仕事場にしたオフィスで、窓もなく薄暗い手狭な部屋に大きなMacBookのデスクトップPCが窮屈に3台並んでいて、私が思い描いていた理想のオフィス(自然光に照らされ、余白のある空間に等間隔で並んだMac、、)とはかけ離れた場所ではありましたが、私のような素人が作った作品にもじっくり目を通していただき、私の将来に対する思いにも理解していただいた社長。
さらに社長は、私と同じように美大や芸大ではない一般的な四年制大学を卒業しこの世界に飛び込んだそうで、そうした方の元で働くことは将来に向けて参考になることが多いのではないかと思いました。

結局、私はここで大学2年から卒業するまで約2年間働くこととなります。
仕事の内容は、使用画像の選別や写真の切り抜きのような基本的なものから、簡単なレイアウト、時にはロゴ作成やブックカバーのデザインまで幅広く様々な経験をさせていただきました。
ど素人ですから、完成した広告のレイアウトがまるっきり修正されていたことは何度もあり、この事務所の戦力になっているのかなと不安に感じることも多かったです。
しかし、約2年間で一度も自分のデザインに対するお叱りを受けたことがなく、むしろ褒められることもあり、これが自信につながるとともに、私の勘違いをさらに加速させていきます。

アルバイトからインターンへ

次に私は、より自分の理想のデザインを仕事にするために動き出します。
そこで出会った同じ大学出身のデザイナーさん。
この出会いもまた、私の人生を大きく揺るがすこととなります。

③に続く。

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