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金曜のうどん、牛肉がいないこともまた人生

私、現在、人生の迷子になっている。
 
その大きな要因は仕事。
今年、人生で初めての人事異動を経験したのだが、これが思った以上に私の自律神経を乱している。
人間関係に大きな問題もなく、むしろ以前の職場より落ち着いた環境で仕事はできている。しかし、異動先の仕事内容が驚くほど特殊で、驚くほど興味が持てない。
私は向上心が人並みにはあると思っていたのだが、どうした?というくらいどこかへ消えてしまった。ただ、そこに居て、ごまかしながら仕事をし、終業までの残り時間を数え続ける毎日。

以前いた部署の仕事も、やりたい仕事という訳ではなく、むしろ、厄介な案件が多く、社内でも「異動したくない部署ランキング」ベスト5に入るほどの過酷な仕事ではあった。
しかし、いきいきと働いていた気がする。きっと自分にとって分相応であったのだろう。

ごまかしながら仕事をする日々にも限界が来るだろう。
なんとかしないといけない。なんとかしないといけないのはわかるけれど、何をすればいいのかわからない。
出口の見えない現実に、すっかり迷子になってしまった。

出口を求めて直走り、1週間を終える頃には、体というより心がくたくたになっている。

そんな疲弊した体を労わる最近のルーティーンが、金曜のうどん。

職場から自宅までの帰路、乗換駅のすぐ近くにある商業施設1階に、はまなまるうどんがある。はなまるうどんは、いわゆるセルフ式うどんのチェーン店。失礼な言い方だが、どこにでもあるチェーンのうどん屋さんと言えばそうなのだが、この空間、そしてこのうどんが私の癒しになっている。

セルフ式のため、テーブルに店員さんが注文を取りに来ることはない。客層はおひとりさまが多く、店内でゆっくり過ごすというより、手軽に食事する目的の方が多いため、客は皆、目の前のうどんに食らいつき、長居することもなくさっさと出ていく。この無干渉な空間が居心地良い。

そして、そこでいただくうどん。優しいおだしとコシのある麺。情けない私を何も言わずに受け入れてくれる。

はまなるうどんでいただくメニューは決まっている。牛肉温玉ぶっかけ(温かい・中)と北海道男爵のコロッケ。
私はこれが最強のバディだと思っている。

牛肉温玉ぶっかけは、ぶっかけうどん、その上に甘じょっぱい味付けの牛肉煮、半熟たまご、ねぎが乗せられている。 
私はそこに、セルフでおろし生姜を乗せるのが好き。

北海道男爵のコロッケは、じゃがいもだけのシンプルなコロッケ。お芋がほくほくしてて、甘いの。素朴な味なので、ソースでいただくも良し、おつゆに浸しても、おだしがじゅわっと染み込んでたまらん。

半熟たまごに牛肉煮をくぐらせて、うどんと共に一口。
二口目はおろし生姜のアクセントも加えて。
コロッケほくほくしてる。おだし良い匂いだな。

このために生きている。そう思った。

9月の某金曜日。
いつものように、「牛肉温玉ぶっかけ(温かい中)」を注文。
今日は気分を変えようと、海老とわかめのかき揚げをお皿に乗せて、うどんの仕上がりを待機。
るんるん気分で待っていた私の元にやってきたぶっかけには、牛肉がいない、、あれー(´・ω・`)
咄嗟に「牛肉追加で」と言いかけたが、やめた。
今日は温玉ぶっかけの日なんだ。抗ってはいけない。牛肉がいない温玉ぶっかけをいかに楽しむか、それが人生なんだ。

私は、私の人生を抗わずに生きていきたい。
だって、疲れちゃうよ。人生長いんだから。


さて、今日も生きていく。

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