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家族と精神障害15 関わらない自由と家族が支援するときのあり方

こんにちは。
私の姉には統合失調感情障害という精神障害があります。
そして、精神障害の本人を支える家族の側にも、自分の人生を生きる権利や関わらない自由があると思っています。
こんな風に私が思えるのは、母が私をなるべく巻き込まないように努めてくれたおかげだとも思います。
最初から強いられていたら自発的に関わろうとはなかなか思えない気がします。
そもそも、この関わらない自由とは家族が支援するときのあり方とも関係していると思います。

まず、他人の前に自分の人生が最優先だと思います。
助ける前に自分は人を助ける余裕があるのかということを確認します。
余裕がないのに、無理をして誰かを助ける必要はないと思います。
「逃げてもいい」とはよく言いますが、私は逃げですらなく、自分で自分の身を守るという当たり前の選択だと思います。
自分にはできないと認めるのは勇気のいることですが、精神障害の対応というのは非常に複雑で自分で病気について勉強したり、本人との繊細なコミュニケーションに気を遣ったり、予期せぬトラブルに振り回されたりととにかく大変なことも多いです。
いかに使える支援サービスを駆使して、家族の負担を減らせる限り減らし、それぞれが人生を楽しむか、ここにかかっていると思います。
自分の体勢が整っていないならまず自分を整える。私は最近やっとそれができてきて、家族と向き合うために戻ってきた気がします。

私が家族を支援するときに最も大事だと思うことは2つあります。
1つ目は「巻き込まれないこと」
交通事故が起きて助けに入る時、まず最初にしなければならないのは「自分の安全の確保」だそうです。
これって人を支援する立場となった時に、共通して言える一番重要なことなんじゃないかと思います。
被害を拡大させないために、自分も巻き込まれて助けを待つ立場になることをまず避けなければと思います。
また、精神障害の治療は長引くことも多いので、長引いても維持できる範囲で自分のできる支援を考える必要があると思います。
とにかく無理をしないこと。疲れたら休む。嫌になったら離れる。
全くそのことを考えない時間を作る。
本人から連絡が来ても、答える余裕がないときは無理にすぐ返信しようとしない。
近すぎず、遠すぎない距離感でできる範囲でやれることしかやらない。
そう決めてしまうと、先々の不安もそこまで気にならなくなりました。
家族会などの支援団体や、役所などの公的機関、グループホームなど頼れるものや使えるものは全部使って、本人の意向を踏まえながら、家族なしでも回る状況を作ることがゴールになると思います。

2つ目は「本人が主体であること」
本人がどう生きたいか、本人にとって何が幸せかを周りが決めることはできません。
本人に考えてもらうしかないです。
本人にできることは本人がやるのは大前提だと思います。
そうやって考えると、家族が代わりにできることって案外限られている気もします。
急性期や発症してすぐの頃は、どうしても丸ごと色んなことを代わりにやるしかない時も多いと思います。
ただ、症状が落ち着いてからも病気だからと先回りして助けたり、先回りして心配をし過ぎると、本人の意欲やできる力を衰えさせてしまう可能性があります。
こういう施設がある、こういう団体がある、こういう仕事があると色々我が家も本人にアドバイスをしてきましたが、ほぼほぼ家族の空回りで本人が期待に応えようと無理をして体調を崩すばかりでした。
本人がやる気になって見つけてきたことのが大抵上手くいきます。上手くいかなくても、それはそれで本人の経験で、家族まで落ち込むこともなくなりました。
本人にも「何かやりたいことがあったら言ってね」「家族は勝手に本人のことを決めたりしないけど、本人から言ってくれたことはみんなで応援するよ」と声をかけています。
本人が何かやりたいと言った時は「いいね。きっと上手くいくよ」と背中を押すようにしています。
こうやって本人が伝えやすい空気を作ることに専念した方が家族としても負担が少ないし、本人も少しずつ自発的に考えたり、調べるようになった気がします。
家族からすると本人のペースはゆっくりに見えますが、長い目で本人の自立を考えたらこの方向が良いんだろうなと思います。たまに歯痒い時もありますが、本人の気づきを大切にしようと母とも話しています。
依存ではなく、自立に繋がる支援こそ、本当の意味で助けるということなのではないでしょうか。

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