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【物語】君じゃないけどアンドロイド

君じゃない
君じゃないんだ
所詮はまがいもの
だけれど
たとえ
偽物だとしても
愛するよ
君を愛しているから
これからは
君のかわりに


あの日から
君はもういない
だから創った
創りあげた

君の代わりの
君そっくりの
アンドロイド

艶やかな流れる栗色の髪
優しい眼差しは深く
白く華奢な手足

いつもそばに置いた
朝食を作らせた
寝る時もいつも共に

僕を呼ぶ声は
君そのままに

しかし
君じゃない
君じゃないんだ

時間が経つにつれ
生まれる亀裂

所詮
人形は人形だということ
流れるものはあたたかな血液ではない

君の
あたたかな笑顔
時に叱咤するやさしさ

愛する君よ
なぜ僕の前から消えてしまった
神さま
なぜ奪ったんだ


ふと気づくと
アンドロイドから
涙がこぼれていた

ああ
いつのまにかアンドロイド
ああ
いつのまにかアンドロイド


僕を愛してくれていたんだね

気づいてはいたけれど
与えてくてる微笑みは
日々はにかみを増して


あの人じゃないけれど
たとえ偽物でも
アンドロイド

アンドロイド
君を愛すよ

今度は
アンドロイド
君を君として

アンドロイド
君を愛してる