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【作詩】祈るだけじゃない、願うだけじゃない、愛したいだけなのに

主よ 万能であるはずの主よ

今の僕にできる唯一抵抗できることがあるならば
もうあなたさえも黙殺し
ただ独り 安寧を生きること

僕は幼いころから愛されなかった

そんな僕は醜いんだ
そんな僕は歪んでいるんだ
そんな僕は人間足り得ないんだ

だから僕にとって当時
より愛される『善良な』人々への服従を選んだ
人々の言いなりとなり道化となり自分として生きることを諦めた

けれど 神様
『善良な』人々とはさも軽薄で醜いものなのだったのですね

僕は人間になろうとすることを
諦めたくなかった
しかし僕は人間となろうとする自分を愛し
人々にやさしみを向けようとすることで
自分の存在を守っていたのです

ここに見誤りがあるのです

人間になれば僕の人格の欠落が満たされ
悪魔となった人々から
守られると信じた
人々から愛されると願った

しかし神様
このような僕は人間にはなれません

それに
多面的にできた人間社会
ありとあらゆる全てをもった『人間』が
どこにいるというのでしょう

だから 神様 
あなたさえもが『万能』ではないんだ
戦争を起こし『災厄』をふるまう あなたは

醜い悪性をさらし惰性に生きるほど
僕は生きていくことに貪欲にはなれない
その人は醜い

しかし 神様 
あなたこそをも不完全だが
あなたならその人を愛するでしょう
全人類の『愛』であるあなたは

それに対し僕は醜い
『愛せない』んだ

神様 僕は人を愛せないという
劣悪であるのです

他者に完全を求めるものじゃない
誰しも完全にはできていない

全人を愛する不完全な主よ

僕は人格を諦め 
少しの世の楽しみも知らず
ただ死を待望するという
醜い生涯を送るのでしょう
それが人を愛せないという
僕に与えられた運命なのでしょう

主よ あなたを愛しています
あなたを愛するように人を愛せたなら

今 僕にあるのは冷えた感情
人々を侮り 
自分を棚上げし
人間となろうとすることに迷う敗北者

神様 本当は あなたをもう一度 愛したい
人々を もう一度 愛したい
もう一度 人間を己に求めたい
今度こそ 偽善ではなく

自分を騙すことはできない
主よ 
どうか
運命に翻弄され 
惑い苦しんでいる僕を 
お救い下さい

僕の劣悪は
誰か真に愛せないこと

主よ
人を愛したいのです