見出し画像

名古屋城木造復元 23/6/12全体整備検討会議にバリアフリー案示さない方針と中日新聞報道

23/6/10中日新聞によれば、名古屋城木造復元に関し、23/6/12に開かれる名古屋城全体整備検討会議に昇降機設置の案を示さず、先送りにする方針を決めたとのこと。
https://www.chunichi.co.jp/article/706982

23/6/3に市が開催した「バリアフリー市民討論会」で差別発言があり、その対応を優先するとのことです。


市民討論会の差別発言はとても許せるものではありませんが、名古屋城木造復元の現状に多くの市民が関心を寄せるきっかけになったことも事実です。

ほとんどの市民は、市が名古屋城をどのように復元しようとしているかを知りません。

講師の麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「国宝で世界遺産の姫路城は、鉄骨で耐震補強し、消火設備、スプリンクラーをつけている」と写真で説明したうえで「名古屋城でも史実に忠実な復元をすると同時に合わせて、こういう防災設備も今設計しております」と述べています。

・23/6/3「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」 
 名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(差別発言を消しています)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230603-4.pdf
・世界遺産姫路城 防火設備
 https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000015668.html#index-1-14

※2019/11/6 22:15産経新聞によれば、姫路城には「天守を中心にスプリンクラーが1078カ所、感知器などの自動火災報知設備を669台、屋内消火栓を46カ所、大天守の最上階まで届く放水砲も設置しているとのこと。
https://www.sankei.com/article/20191106-YSNNQYTFNZJRVPYLOJJH4NBG3I/

しかしながら、そのような大前提を知ってか知らずか、「電気も水道もエレベーターも昇降設備も必要ない」と主張する層が一定数いることも判明しました。

23/6/3市民討論会では市は説明しませんでしたが、日弁連は22/10/24に「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは、憲法第13条及び第14条第1項並びに障害者の権利に関する条約第5条第1項及び第2項、さらに、憲法第13条及び第14条第1項の趣旨を具現化した障害者基本法や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

また、「エレベーター、昇降機をつけず、全員立ち入り禁止にすればよい」という意見も一定数あることが分かりましたが、現在の名古屋城木造復元事業は、建築費だけで505億円。管理・運営費を合わせると1000億円近い事業です。それを入場料収入でまかなおうとしています。
・平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF

外からの見た目はほぼ現状と変わらず。人を入れなくてもスプリンクラー等は必要。
それで年間360万人が50年間名古屋城を訪れるのでしょうか。
入場料収入でまかなえなければ、市の税金が投入されますし、最悪木造天守閣を取り壊すことも考えられます。


さらに、23/6/3に開催された「名古屋城バリアフリー市民討論会」ですが、無作為抽出された5000人市民アンケートが届いた人のうち、参加希望する人が参加出来るはずでしたが、「当日の会場入口では本人確認していなかった」ようです。
当初100名定員で、大きな部屋(中区役所ホール)で予定していたものの、参加申し込み者が少なく(38名)、別の部屋に移動した経緯があります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230526-1.pdf
・5000人アンケートの対象と、参加申込書記載氏名は同一か
・参加申込書記載氏名と、参加者は同一か
・差別発言をした人は具体的にだれか。本当に5000人アンケートの対象か
などを調べる必要があります。

名古屋市は、自民・民主・公明市議団に「名古屋城昇降機は23/3/20には『上からの指示』で1階以上に設置しないと決まっていた」と説明したとのこと。
https://ombuds.exblog.jp/29594920/

なお21/3/18名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に『木造復元』の許可がされた後に執行すること」という附帯決議が可決されているにもかかわらず、木材を約40億円購入済です。
(まだ文化庁から『木造復元』の許可は受けていません。木造復元申請書類も提出していません)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318.pdf

市議会は、今こそ100条委員会を開き、どうしてこのような市民討論会を開くことになったのか明らかにしてもらいたいです。


また、ほとんどの市民は知りませんが、2011年2月に名古屋市は現天守耐震診断概要書をまとめており、十分な耐震強度であるIs値0.75以上にするには、大天守小天守合計で13億5047万0205円。現在5階までのエレベーターを最上階(7階)まで改修する1億6000万円をあわせると、15億1051万9605円と試算しています。
(内部の柱に鋼板を巻いたり、RC増設壁をしたり、炭素繊維を巻いたりして耐震補強する。外観は変更しない。外壁に×型の鉄筋がむき出しになることはない)。
https://ombuds.exblog.jp/29105934/

差別発言をした人は「この城は『家康が作ったそのものを作る』と名古屋市から聞いたので寄付をした」と述べています。
だれがいつそのようなことを言ったのかわかりかねますが、少なくとも、現在の法律に基づいて7年間名古屋市と竹中工務店が検討してきた案をきちんと市民に示して、再度今後の方針を問うべきではないでしょうか。

①木造復元+5階まで大型エレベーター+外部スロープ
②木造復元+5階まで小型昇降機+外部スロープ
③木造復元+1階まで小型昇降機+外部スロープ
④木造復元+昇降機無し 人を入れない
⑤現天守を耐震改修+最上階まで大型エレベーター


今後の予定
・23/6/12(月)13時~ 名古屋国際センター 別棟ホール
 第56回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kankobunkakoryu/0000164397.html
・23/6/13(火)10:00~12:00 名古屋市役所前
 差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(主催:名古屋城木造天守に EV設置を実現する実行委員会)
 https://www.dpi-japan.org/blog/workinggroup/traffic/nagoya-city-hall-protest-meeting/
・23/6/14(水)13時~ 名古屋市議会総務環境委員会
 本市における人権に対する認識等について(スポーツ市民局関係)
・23/6/15(木)9時半~ 名古屋市議会財政福祉委員会
 障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
 23/6/15(木)15時半~ 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
 https://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-1-0-0-0-0-0-0-0-0.html

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm




2023年6月10日 05時05分 (6月10日 10時44分更新) 中日新聞
名古屋城天守、昇降機の結論先送りへ 名古屋市は討論会の対応を優先
https://www.chunichi.co.jp/article/706982

Barrier Free Japan JUNE 8, 2023 BY MICHAEL GILLAN PECKITT
Nagoya Castle ‘Hate Speech and Barrier Free Debacle’: A Timeline
https://barrierfreejapan.com/2023/06/08/nagoya-castle-hate-speech-and-barrier-free-debacle-a-timeline/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?