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ロサンゼルス・ニューヨーク旅行記  その4 ロサンゼルス滞在後半

 さて、ニューヨーク往復旅行を終え、子供が仕事しているロサンゼルスに戻りました。ここから、日本へ帰るまでは、丁度1週間。この間にしたことを列記してみますね。
 泊まっていたホテルから急な登り坂はUberに乗ってズルしたけど1日で3万歩以上歩いたピクニック、パサデナにある図書館(残念ながら覗く時間がありませんでした)・植物園(じっくり回りました)・美術館(素敵でした)という最高のコンビネーションのハンティントン(The Huntington)訪問、アカデミー博物館訪問、子供とのアメリカンビーフステーキのディナー(このためだけに、子供に指示されて、日本からワンピースとパンプス持参)、ホテルから7㎞離れた子供のアパートメント徒歩訪問(帰りは送ってもらいました)、日曜日に子供が連れて行ってくれたユニバーサル・スタジオ・ハリウッド訪問、LACMA(ロサンゼルスカウンティ美術館)訪問でした。
 行って後悔したところはひとつもありません。敢えて言えば、映画に全く詳しくないので、アカデミー博物館は、省けたかもしれませんが、他のところはどこも、心から行って良かった、楽しかったという感想です。
ここでは、普通、人がしそうにもない、ロサンゼルス市内三万歩ハイキングについて、書かせてください。この日は火曜日で、子供は働かなければなりませんから、単独行動でした。
 泊まっていたホテルはミッドウィルシャー(Mid Wilshire)というところだったので、ハリウッドの南側にあたります。先ずはとても有名なハリウッドを目指して、住宅地の中を、街路樹や、歩道にはみ出している高級住宅の庭の植栽の花を写真に撮りながら、不審者の様に左右に歩道を替えつつ、ウロウロ歩きました。この辺りは、個々の住宅にそれぞれの担当警備会社の立札が立っているばかりでなく、道路わきの立て看板に拠ると、地区全体がビデオカメラで撮影されているそうで、住宅にカメラを向けることだけは、厳に避けました。
 途中で偶然に通りかかったスーパーで、間違えて出口から入ろうとして警備員さんに優しく注意されつつ、果物・ハムチーズクラッカーおつまみセット、ジュースを購入したのは、後から考えると、非常にグッジョブでした。背負っていたデイバックに入れて、どこでもランチ可能状態にして、歩き続けました。
 街中の公園は、とてもよく訓練された犬が、リードを外されて遊んでいます。公園以外では必ずリードに繋がれているので、多分公園だけは外していいルールなのではないかと思われます。ある公園で、丁度2頭のパグを遊ばせているアジア系のご婦人に、挨拶して、二頭は親子ですか?と話しかけたら、雄雌のきょうだいと教えてもらえました。ハリウッドに歩いて辿り着きたいんだけど、方向はこちらですか?と尋ねたら、あと20分くらい歩けば着くけど、治安が悪い箇所もあるから、気を付けるようにねと言われました。言い方に躊躇しながら、ホームレスの人も多いから、という感じでした。
 ハリウッドのメインストリート、例の有名人の名前を刻んだ星形が歩道に並んでいる所を歩いてみました。人通りが多く歩きにくいし、色々なコスチュームを付けて、観光客と写真撮影仕事らしきしている人もいるので、単独おば(あ)さんが楽しいところではありませんでした。それよりずっと感銘を受けたのは、有名人の星々が並んだ歩道の向こうに使われなくなったガソリンスタンドのようなところがあって、そこに幾人ものホームレスが、脚を投げ出してすわっていたことです。見つめたりはしませんが、華やかな道の向こうで、大きな体をした男の人たちが、脚を投げ出し、うつろな目と退屈そうな無表情で、てんでに座っているのは、対比が凄すぎます。光と影、希望と絶望、持つ者と持たざる者、どう解釈していいかわかりませんが、これもロサンゼルスなんだなあと思うしかありません。
 ハリウッドの北側には、丘があって、その頂上にグリフィス天文台(Griffith Observatory)があり、その周りにハイキングコースがあることをガイドブックで知っていたので、Uberアプリで車を頼むことにしました。既に2時間半歩き続けていたので、登り道はズルをしようとしたのです。やってきた運転手さんは、若い男性で、いきなり車中で文句を始めました。ガソリン代でちょこっとだけ口座をマイナスにするというトラブルをクレジットカードで起こしてしまい、そのせいで今は一か月に6ドルの手数料を取られる銀行口座条件に二年間甘んじなければならないと言うのです。ごく最近起こったことらしく、愚痴をこぼしたかったみたいです(わたしの英語力でよくわかったと自分を褒めたい!)。それはお気の毒、二年間なら合計144ドルもの手数料を払うんだね、わたしゃ日本人なので、暗算が得意(嘘)なんだとお愛想を言ったら、僕もカレッジで経済と数学を専攻したんだと言い出しました。うーむ、大学に行っても生活は厳しいのだなあと思いつつ、先程のホームレスの問題について、彼の意見を尋ねてみました。彼によると、精神病院から患者を出したことが問題だということです。ホームレスの主な原因は、精神病と麻薬中毒で、彼も非人道的な強制入院には反対だが、治療や受け入れ機関の無いこの状態も問題だと思うとのことでした。相手(わたし)の英語力に合わせて説明できる人で助かりました。天文台の前で降ろしてもらいました。
 天文台の中を見学し、トイレも貸してもらい、有名なハリウッドサインも写真に収め、ハイキングコースを街の方向に決めて歩き出しました。結構な坂道を、両脇の野生の花々の写真を撮りながら、ブラブラと下っていきます。時間的にも昼下がりですし、背中のリュックにはスーパーで買ったものが入っているので、ベンチを探したのですが、カップルが占領しています。若い人たちの恋路を邪魔しては悪いので、離れた切り株でピクニックすることにしました。スーパーで購入したものを食べ、カリフォルニアンオレンジをデザートに、更に水分を十分摂って、景色も楽しみました。最後にこの切り株を、記念として撮影しました。

ピクニックをした切り株(ハートマークは無関係)

 ハイキングコースは、程よく人通りがあるので、単独でも不安を感じることはありません。むしろ、街中の住宅地の方が歩行者がまばらです。子供が、「ロサンゼルスは車社会。車を購入できない人が地下鉄やバスを使うので、言葉も事情もわからない人(わたし)の安全には問題がある。」と言っていましたが、街中の歩行者というのは、一定の危険性といつも隣り合わせです。しかし、流石にハイキングコースは、運動やレクリエーションに来ている人ばかりなので、自分が転んだり、道を間違えないように気を付けるのは当然ですが、不安度は街中より低かったですね。
 麓におりて、ハイキングコースは終わりましたが、ホテルまではまだ相当ありそうです。携帯の地図で確認すると2時間余の歩行。さっきズルしちゃったからなあ…と詰まらない意地で、ホテルまで歩き通しました。最後にホテル近くなってから、脇を歩くたびに満席だったメキシカンレストランが、休憩なしの体制で、夕方のガラガラの時間だったので、飛び込んで、タコス三つとピッチャー一杯のレモネードを頂きました。いやあ、どれも美味しかった!特にレモネードが疲れた老体に浸みわたりました。ホテルに着いた時には、物凄く安心し、口が軽くなって、沢山歩いたことを、思わずフロントのおじさんに自慢しちゃいました!おじさんは、のり良く、おおげさに驚いてくれました。
 携帯の記録によると、この日の歩数は31,730歩。歩行距離は21㎞。翌日は半日ホテルでのびてましたし、数日間脚に違和感ありました。
 でも、忘れられない思い出になりました。

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