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知識は重要ではない|自分を知ること

知っていること書こうと思っても、よくよく考えてみたらあんまりない。 そもそも「知っている」と、思い込んでいることすら、実際のところ本当に知っているかどうか、怪しい。その最たるものが「自分」ではないか。 ついこの間、ある脳科学者の本を読んでいて、問題の記述に突き当たり、しばらく悩んだ。そこには「短所は実は長所でもある」と書いてあったのだ。 ...で、ひとしきり思考してみたが、ついぞ短所も長所も分からずじまいだ。 結局この歳になっても短所すらよくわかってないことを知って情け

    • 「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(5)

      身体性の話に続き、「第6章 感受性と創造性」と続きます。冒頭で「知恵ブクロ記憶」について言及されます。 じつは第4章(記憶という不思議な仕組み)でも登場していた概念だったのですが、初出では脳機能を分解的に解説するためのパーツの一つとして紹介されていました。 以降、「うまく言えないけど、この世界を生きていくためのコツみたいなもの」とか、「スマートスピーカーや図書館の司書のような役割」とか、「社会的ルールが、経験となって知恵ブクロ記憶となって、世界のモデルを作っていきます」と

      • 「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(4)

        脳が運動によって鍛えられることは、いまやすっかり知れ渡るようになりました。 2010年代で、もっとも知名度を獲得することに成功した脳科学のベストセラーは「脳を鍛えるには運動しかない」(ジョン・レイティ著)ではないでしょうか。内容はタイトルそのまんまなので、詳細省くが、なにかありがたいって誰が読んでも解釈が一致する。一読すれば外に出て運動したくなる。 ジョン・レイティだけではなく、脳科学に携わる者なら誰でも。2019年に「スマホ脳」で一躍有名になったアンデシュ・ハンセンも、

        • 「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(3)

          2章から4章までは、脳の機能について解説的な記述が続きます。「第2章 注意しなければ知覚できない」「第3章 脳の働きがいいとはどういうことか」「第4章 記憶という不思議な仕組み」となっています。 そのひとつひとつをとりあげるとただのネタバレ全開になってしまうので、かわりに、毛内先生がわたしたちに何を伝えようとしているのかを考えてみたいと思います。 何につけても、わたしたちは物事を二元論的に捉えがちです。 人生訓、金言、蔵言などの格言が好きな人は少なくありませんし、「こう

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        知識は重要ではない|自分を知ること

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          「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(2)

          第1章は『「頭がいい」ってどういうこと?』ということが書かれています。 とはいえ、時代は加速主義ですから、なんだかんだ「答えがあることに素早く答えをだす能力」に長けている人の方が生き残りやすい。 答えがないことに応えを出そうとする営みが、とっても尊いことは理解できるし、ありのままに実行できればよいですが、他方で、はたして世間様はそれを許すのだろうか?という疑問もあります。 読んでいる最中、「天才柳沢教授の生活」に登場する”文学部の出口くん”のことを思い出しました。6年間

          「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(2)

          花村

          序 わたしの一族が、いつごろから”あの家”に仕えるようになったのか、知らない。なんでも、祖父はとうにも満たない子供のときから丁稚奉公していたらしい。戦時は特別年少兵として海軍にいった。戦役を終えてすぐ、軍のツテで乗り込んだ捕鯨船の上で約10年間を過ごし、大金を稼いだあと、帰郷してまたあの家に仕えなおして頭角を現した。憲兵や兵隊たちも、金をもっている人間にはやさしい。金にものをいわせて結婚したのが、あの家の者の血筋をひく祖母である。長男は町長、その孫、つまりわたしの従兄は陸軍

          「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(1)

          脳科学の本だけはまめに読むようにしている。 いわずもがなワイの知的好奇心を裏切らないからだが、それ以上におののライフスタイル(研究)と抜群に相性がよく、有益なヒントを与えてくれるからだ。わたしには「夢を持って生きる」「目標を達成する」「勝負に勝つ」といった純粋に自己啓発的なmasculine志向はあまりない。 たぶん多くの人には共感を得られないのだけど、どこかしら、自分のことを”被験体”だと考えてるふしがある。あえて対比させる形で述べると、夢を持って生きるのではなく、仮説

          「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(1)

          小説家とIQ

          君らIQの話題ほんとに好きね。 以前、某掲示板で「作家とIQ」の関係についてのスレッドを見たことがある(今探したが、もうない) 俎上にあがっていたのは筒井康隆、中島らも、谷崎、芥川、太宰などで、作家たちのIQとその根拠が列挙されていた。もちろん限界集落と化していた某掲示板における”嘘を嘘と見抜ける人”のための文学板のお話である。けれども、やっぱり作家のIQを気にする人は多いのかもしれない。 Googleを探索しているといろいろな情報が目に飛び込んでくる。 各情報にはソ

          小説家とIQ

          『90年代邦楽』はなぜ懐メロにならないのか?

          いまだに90年代を引きずってる奴なんて、ろくでもない老害に決まってるじゃないですか。ひろゆきなんかも、あれは遅れてやってきた90年代表象みたいなものですから、最近は老害の代表格としてバッシングされてますね。とはいえ、ここまでいっといてなんですけど、わたし自身、こころは90年代キッズなんですね、はい。パンチラを見るとおもわず「ワンダフル」って、同名のエロ深夜番組のアイキャッチ叫んでるくらいですから。元号こそ変われど、実態は昭和の最終形態だったでしょう、90年代。豊かだった時代の

          『90年代邦楽』はなぜ懐メロにならないのか?

          彦坂尚嘉論(8)

          とんでもないフロウに戦慄。美術が滅んでいく。猿でも写真を撮り、絵を描き、コドモでも現代アーティストを名乗る。そしてキチガイでも美術評論を書く、と。彦坂の怒りがスパークする。 ここで補足しておきたいが、彦坂には、藝大を筆頭とする美術業界人にありがちな、神経質なプライドの高さや、尊大にふるまって他人を貶めるというような歪んだ願望は少ないのである。 その芸術判断の手続きが(後者のそれと同等かそれ以上に)独裁的であることにおいて、悪名高いだけである。 40歳までに彦坂は成功した

          彦坂尚嘉論(8)

          ぬいペニボーイの憂鬱

          渋谷東口のタクシー乗り場はいつも小さなドラマが起きている。 ”彼女”と109の近くにあるウィスキーバーでしっぽりして、そのあとタクシーに乗り込んだものの、すぐに降りて、道玄坂のラブホにはいった。 ここまでは完璧だった。 ところが。彼女がゆるしたことと言えば、ソファのうえでキスをして、一緒にお風呂にはいったこと、たったのふたつだけだった。 風呂から出ると突然、それまでの彼女はスルリとどこかへ飛んでいってしまったようだ。 ソファで愛撫をしたときに、彼女のストッキングを破いてしまっ

          ぬいペニボーイの憂鬱

          人生が不安定になる理由

          禍福は糾える縄の如し 人生は不安要素だらけよって話です 以前より、社会のあちこちに棲息している「側近」稼業には用心しろと、警鐘を鳴らしているワタクシでありますが、 長年つれそったパートナー それも文字通り、物心両面で支えてくれたビジネスパートナー でも裏では「よく今までバレなかったよねぇ」というような、とーんでもねえ悪事をやらかしてた… (”善人”日本代表のイメージが秒速で熔けていく…) あー、なにも「先だしジャンケンしたからドヤ顔させてください!」的なことを言

          人生が不安定になる理由

          ジム・オルークを聴く陰キャ高校生

          ジム・オルークの「Eureka」 このアルバム 初めて聴いたのは2000年の秋でした。 じつはその頃、小生、えぐい時期を過ごしておったんです。一歩間違えれば浜名湖の底に沈んでいたか、コンクリートの下に埋もれていたか。 いじめに恐喝にのグラグラな日々を送りながらも、なぜかポスト・ロックの金字塔「Eureka」だけはちゃっかり聴いてる。 われながら、この”聴き意地”にはあきれるというのか、かんしんするというか。 そういえば、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や、映像

          ジム・オルークを聴く陰キャ高校生

          彦坂尚嘉論(7)

          …最初は名もない原っぱだった。 地図にも、記録にものこっていない場所で。わたしたちは(”たち”といっているのは、そのころは、みんなビンボーで、一緒に身を寄せて暮らしていたからだ)ただ生きるためだけに生きていた。 内心では軽蔑していても、わたしたちはただ生き残るために、エライ人のいうがまま、ふたつ返事に受け入れていた。それが、わたしたちがつつがなくくらすための唯一の方途とおもわれた。 やがて、わたしたちによく似た者が一つに集められていき、そのゲマインシャフトの意思は村から

          彦坂尚嘉論(7)

          また学校に通う|夢をかなえるということ

          先週、とある専門学校にいっていろいろ話を聞いてきた。 この2年くらいかな。なるべく週6シフトで働き、なるべく節約してきた理由は、おもにはこれであった。 「人生をやりなおす」って、いうのは簡単だけど、やるのは本当に大変である。 30代前半で脱サラをした。 あれから5年以上たった。 人生をやりなおすつもりで、いろいろ頑張ったが、ことごとく、ダメだった。 現実というやつに、バーン!と、見事にはねのけられてきた。 リーマンだった頃、ルンルンで銀座を闊歩していたが、脱サラ

          また学校に通う|夢をかなえるということ

          noteを続けるコツ、というか奥義?

          できれば楽をしたい。 たのしく書いた文章で、インプレ稼ぎたい。承認欲求を満たしたい。noteにいる人の大半が、実際そういうタイプの人なのではないかと思う。 かくいうわたしも、もちろんそうだ。 しかしかたや一方で、検索機能が発達した今日、自分と同じような方向性で、しかもはるかに次元の高いことをやってのけている人を見つけ出すのは容易になっている。 アルファ・アカウントとされている方々の記事を読んでみれば一目瞭然である。とてつもないコストがかかっているのが分かるだろう。

          noteを続けるコツ、というか奥義?