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筑豊炭田、サキヤマとアトヤマ、人類の敵

昨年末に私用で福岡を訪ねた際、空いた時間を使って、筑豊地区にある田川市石炭・歴史博物館と、直方市("のおがたし"と読む)石炭記念館へと足を運んだ。 福岡県の北西部に位置する筑豊地区は、かつて日本を代表する炭田として栄え、繁盛期には国内の石炭採掘量の大半を占めていた。この地で採掘された石炭は、主に北九州の八幡製鉄所へと運ばれ、日本の近代化に不可欠な役割を果たした。 館内に展示された豊富な資料を前にして、この筑豊炭田で働いた炭鉱夫の方々の生活に思いを馳せずにはいられなかった。

    • ダム、ショートカクテル、ケッコンの女神

      「女性より先に服を着てはいけないって、これまで誰からも教わらなかったの?」 黒いボクサーパンツに右足を通す僕を見て、白いシーツに包まれたユリさんはベッドの上から言った。 「初めて聞きました。」と僕は答えた。 「それじゃあいま覚えて。男性は女性より先に服を着てはいけないの。私の言っていること、分かる?」とユリさんは僕に尋ねた。 「分かると思います。でも例えば今日みたいな日は、僕がこのあと実験をしに大学に行かなきゃならない日は仕方がないと思いませんか?」 「そんな日はね、女性を誘

      • 唯識、密教、2人の天才

        「日本史上最大の天才は誰か」という議論をすると、必ず名前が挙がるのが弘法大師、空海だ。 日本で初めてノーベル賞を受賞した故 湯川秀樹氏は、ダヴィンチやアリストテレスを凌ぐ万能的天才だと空海を評価していたらしい。 その空海と同じ時代を生きたもう一人の天才が伝教大師、最澄だ。 彼らはお互いに影響を及ぼし合いながら、現代の日本仏教の原型を作りあげていく。 僕は長らく、宗教というのはスピリチュアルなもので、科学とは相反するものだと認識していた。 これほどテクノロジーが発展した現代

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