【サバイバー体験談】(小児がん)〈性+生活〉と考えたときに気づいたこと
大切な体験談です。
この記事は、私が偶然知り合い、意気投合したサバイバーの方に書いていただきました。
高校生のときにALL(急性リンパ性白血病)を発症し、抗がん剤治療と骨髄移植を行って、現在30代の方です。すごく素敵な女性です。
日常的にセックスをする機会はないかもしれないけれど、性に対してどのように考えているのか
医療者にもサバイバーにも伝えたいメッセージが含まれています。
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発病当時は高校生でしたが、性に関する興味はほとんどなかったのではないかと思います。性=セックス=タブーのような気持ちも大きかったと思います。
発病前、まだ普通の女の子だった時に、お付き合いをしていた方はいましたが、そのときですらセックスはどこか他人事、自分にはまだ先のことだという気持ちのほうが大きかったです。
結局はセックスをしましたが、相手がしたがっていたから、した、という感じで、自分は興味もないし、あまり関わりのないもののような捉え方をしていたと思います。
発病した時も、お付き合いをしている方がいませんでしたので、「性生活」とは無縁の毎日を送っていました。
「性」というのは特別なことで、それが何も特別ではない日常を表す「生活」という言葉と結びつく不思議。
当時ほどではありませんが、いまだに私にとって、「性」は単体で、「生活」とは結び付いていないように思います。
発病後、初めて、単体の「性」について少し気になるようになったのは、恐らく、骨髄移植を受けてから女性ホルモン補充療法を始めるまでの無月経だった期間ではないかと思います。
ほかの病院で骨髄移植を受けた女性患者さんは女性ホルモン補充療法をしているらしい、自分はしなくていいのか?でも余計なリスクは負いたくない・・などと悩みながらも、インターネットの情報を調べていました。
その間にはっきりとは覚えていませんが、“無月経のままだと、痛みなどの何らかの原因でセックスができないのでは”となんとなく思ったような記憶があります。
相変わらずお付き合いしている方もいなかったですし、どこかで、結婚は難しいだろうし、誰かとお付き合いをすることすらもう無理かもと思っていたのに、なぜそんなことを心配したのかはわかりませんが、まだ諦められない、諦めたくない気持ちがあったのだと思います。
実際は、ホットフラッシュや骨密度の低下など現実的な問題が出始めたので、女性ホルモン補充療法を始めることになりました。骨髄移植を終えてから4年ほど経過していました。
闘病当時、医師や看護師から性に関する情報提供などは一切ありませんでした。骨髄移植をすれば不妊になってしまうことも、説明を受けたか記憶がありません。
思春期の女子の生理が止まってしまうのに、女性ホルモン補充療法に関する情報提供すらなかったのです。
私が当時高校生だったから、ではないと思います。ただ、血液のがんでしたので、闘病中に恋人がいたり、結婚されていたりしてセックスをする機会があったり、性に関する意識の高い人であれば違和感を覚えたりして、医師や看護師に相談する人もいたのかもしれませんが、そういうことがなければ、闘病中に性生活に影響が出ると気づく人はどれほどいるのだろうと思います。
少なくとも私は、闘病中は全く気付いていませんでしたので、相談をする必要性も感じていませんでした。
ただ、退院後、年数が経過した後になってセックスをしたときに、毎回ではありませんが、痛みが強いように感じ、女性ホルモン補充療法さえ続けていれば、何も問題はないと思っていましたので、何故なのかな、女性ホルモン補充療法をしているだけではだめなのかなと考えるようになりましたが、相談できる人がいなくて困りました。
そんな中で宮本さんに偶然出会い、相談にのっていただき、正確な情報を提供していただけたことは本当に自分にとって大きなことでした。
今、お付き合いをしている方はいませんが、今後もしご縁があった場合に、実際に「性+生活」という言葉が現実となったときに、自分の状況を理解してくださり、セックスの時に潤滑ゼリーを使ってもらえるのか、
例えば年齢とともに痛みがひどくなることはないのか、痛み以外の問題が生じる可能性があるのか、など不安はあります。
今回、宮本さんにご相談して、初めてセルフケアの必要性についても認識し、「性」はパートナーがいて初めて考える特別なことではなく、パートナーがいなくても、日常的に「生活」の中で考えておくことなのだと認識を改められました。
セルフケアについても、いつまで、どの程度すればいいのか、ほかのがんサバイバーはどうしているのかなど気になることはたくさんあります。
そんな時に、今回宮本さんが私にしてくださったみたいに、信頼できる医療者ががんサバイバーの悩みに対し、相談にのってくださったり、情報提供をしてくださったりしたらとてもありがたいです。
今なら、女性ホルモン補充療法を受けるにあたり定期的に通っている婦人科で、先生や看護師さんに相談にのっていただくことも出来たのかもしれないと思い至りましたが、
特にパートナーがいない状態で性に関する相談をするのはやはりハードルが高いですので、“性/性生活に関する相談にものります”などと表明してくださっていれば、相談しやすいかなと思います。
今回初めて気が付いたのですが、骨髄移植を受けて退院する患者用の冊子に、少しだけ性生活に関する記載がありました。
当時は性生活とは無縁でしたので、全く意識して読んでいませんでした。「性生活に不安があるときは主治医か看護師に相談ください」と書かれていますが、
退院して年数が経過し、当時の医師や話ができる看護師さんがいなくなってしまっていたり、自分自身が病院を変わってしまっていたりしたら、誰に相談すればいいのか分からなくなってしまいます。
退院後、年数が経過しても相談できるように、窓口を決めておく必要があると思います。
治療をしていた病院で相談にのってもらえないとしても、窓口だけは設けて、どこかに紹介してもらえたり、という仕組みがあればとてもいいと思いますし、
私のように、性について話すのに抵抗を覚える人もいると思うので、対面でなくても、メールなどで相談にのっていただけたら、なおいいと思います。
今回、認識を改めたとはいえ、自分はいまだに「性+生活」とは無縁な生活を送っていますので、ほかのがんサバイバーの方にアドバイスをできることは何もないのですが、
セックスのときの痛みに対しては潤滑ゼリーが有効であったことと、このnoteのサイトはおすすめしたいです^^
ここ数年、社会のがんに対する関心は高まっていますし、あちらこちらでがんサバイバーの集まりもあります。
自分ががんであることを隠さない人も増えてきています。せめてがんサバイバー同士の中だけでも、性に関する悩みも、気軽に話し合えるようになればいいなと思います。
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今回以前書いた記事を、この方の思いを伺って考え直し修正しました。合わせてご覧いただければと思います。
活動、研究資金とさせていただきます。