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句集『白熱灯』(東國人氏)を読む。-重厚な句集-

句集『白熱灯』(東國人氏)を拝読しました。


本の装丁

白熱灯の写真と黒い背景、ハードカバーであるなど、重厚感があります。

昭和から令和にかけての作者の俳句が収録されており、時間的な層の厚みも、デザインだけではない面での重厚感を生んでいるのだと思います。

本のスピン(栞紐)がオレンジ色である点が、白熱灯を連想させます。


五句選

良い句や面白い句が多いので選に迷いました。
今回は一言コメントを書きたい句をご紹介します。

マネキンの指さしている春の雨

13ページ

春の雨がさらに特別に思える景です。

マネキンに意志を感じるという物語感も面白いと思います。


テレビ消す万の蛙が蘇る

35ページ

音の俳句だと読みました。

テレビを消したら蛙の声がよく聞こえるという意味合いで解釈しました。

穴ぼこのぼこのところの春の闇

69ページ

「の」が三回出てくる事によって、
ぼこぼことした音のうねりを感じました。

葡萄棚一房ごとの小宇宙

190ページ

大きなものから小さなものに収斂していく句は色々あります。

この句は葡萄から小宇宙につながる点が面白いと思います。

短い言葉の中に宇宙がある凄みがあります。

冬の月人語操る虎となる

193ページ

『山月記』を連想しました。

人と虎の対比を超えた、「融合」を感じました。


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