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⑬中央アジア、モンゴル・ゴビ沙漠

 朝、目が覚めるとぐっしょり汗をかいていた。深く眠れた実感があり、自分の中に活力が戻って来ているのを感じた。ビニール袋とトングを持ったビャンバさんが「オムス!オムス!」と言いながらゲルに入って来た。何だろう?外について行くとゲル周辺に私がした下痢便を回収する作業が待っていた。水状だった便は乾燥して固体になっている。15個程回収した。

 遊牧民は、主に家畜の糞を燃料にして、火をつくり、料理をし、暖をとる。ビャンバさんがその燃料である糞を外で集めていたので、せめてものお礼でそれを手伝うことにした。犬も二匹、じゃれ合いながらついて来た。遠くに地平線が見える。少し風が吹いている。心は凪いでいた。こんな気持ちで生きていきたいと思った。

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