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【長編小説紹介(ファンタジー)】オリハルコレア 1 王都への遠路

異世界転生ものを書いてみたくなって、2023年8月頃に書きました。
最初は10万文字くらいで色々端折って終わらせる予定だったのに、途中の舞台である王都へすら全然到着しないため、「1 王都への遠路」を付け足しました。

元々は拙作「クレイジーサンセット」というファンタジー小説の、同じ舞台で千年前を描く「クレイジーサンセット:ORIGIN」を書き始めていたのですが、主人公を異世界転生者に変更したため違うタイトルを付けました。

全30話。95,666文字。

茂という男性の一人称による小説ではあるものの、本来の主人公はダークエルフのモナークです。そのため、茂は表紙絵に出てきませんし、多分彼の容姿についての記述もありません(どっかで間違えて記述してたかもしれませんけど)。

♪ イメージ曲 Coldplay : Humankind ♪

上記の曲を聴くと、なぜかドンドン書き進めることができました。
だからその曲が入ったアルバム「Music Of The Spheres」を永遠リピートしながら1日1話、1か月程度かけて書いた小説です。


あらすじ

ビルの中でひとりコンクリート検査をしていた三叉茂は、熱中症で倒れた。
気付けばそこは、どこかの森の中。

魔物とエルフの混血であるダークエルフのモナークと出会い、その世界が地球とは違う場所であることを知った茂は、先にこの世界へ来て命を落とした片瀬先輩の言葉を継ぐかたちで、オリハルコンを求めて旅立つ。

蜥蜴と人間の亜人であるミディア、ドワーフの血を引く大男ディロス、ひねくれた風の精霊などと出会いながら、最初の目的地である王都へ向かう。
しかしそれは、とてつもなく長い道のりであった。

登場人物


ポレイト / 三叉 茂 (さんまた しげる)

ビルのコンクリート検査中に熱中症で倒れ、異世界へ飛ばされた。
最初に出会ったモナークによりポレイトと名付けられ、現世の名前を失う。
突然訪れることとなった剣と魔法の世界に戸惑いつつも、伝説の鉱石であるオリハルコンを手に入れるため、旅を続ける。


モナーク・ディエラム

ダークエルフの女戦士。強く優しき心を持つ。
暇で暇で仕方なく、ポレイトこと茂の誘いに乗りオリハルコンを手に入れるため同行する。
たくさんの謎を持つ、この物語のもう一人の主人公。


ミディア・ヘリトス

ひょんなことから茂とともに旅をすることとなった。
蜥蜴と人間のハーフである亜人。土の精霊使いエレメンタラー
里に捨てられ、誰かの役に立ちたくて、立ちたくてしょうがない。


ディロス・インジェマ

元は王都の研究所に勤めていた理系の人族。ドワーフの血を引く。
その厳ついガタイに似合わず面倒見が良い。
その知識と、ありあまる体力で茂をサポートしてくれる。


風の精霊

神獣の腹の中でぼんやり過ごしていたが、茂に興味を持ち、一緒に旅をする気になった。
言葉はキツイものの、ピンチの際にその力をふるい助けてくれる。


ユーラ・フェスティバ

鍛冶屋のおっさん。
モナークの知り合いで、旅に必要な物品を用意してくれる良い人。


ランダ・グリコニア

盗賊の頭領。吟遊詩人に雇われて護衛をしながら旅している。
ある人へ渡してほしいと、茂に銀の腕輪を託す。


アレック・サンティマ

各地を旅して、見聞きした事を歌にする吟遊詩人。
彼が紡ぐ言葉は、千年先まで語り継がれる。


アーメル・ディーファ

怪しい水の精霊使いエレメンタラー
茂には優しく、色々な事を教えてくれる。
気になる表情と言葉を残していく。


ミドリ / ピュティ・イワナガ

日本人と思われる祖父をもつ。旅道具屋の店主。
茂にこの世界の地図を見せてくれる。
茂の旅に興味を持ち、そのうち王都へ行ってみようかなと思う。

各話あらすじ

全30話、詳細を書くのは大変なので、5行くらいにしましょうかね……。

第1話 ミスリルと熱中症と黒い翼

三叉茂はビルの中、ひとりでのコンクリート検査中に熱中症で倒れます。
気付くと森の中に全裸で倒れており、モナークと名乗るダークエルフに助けられることとなります。
それがふたりの、長い旅路の始まりでした。

第2話 糞と接着剤とドラゴン

近くの村への道中、茂はコンクリートに似た物質を見つけます。モナークによると、それは魔物の糞であるとのこと。
到着した村は、文明の発達していないと思われる場所。しかし、一部の壁が漆喰になっていることから、茂は違和感を抱きます。
村には、以前会社で茂の先輩だった人物の筆跡が残っていました。それを読んだ茂は、彼の跡を継ぎ、オリハルコンを探す旅に出ることを決めます。

第3話 引き戸と古びた剣とオーガ

茂は現世での知識を活かし、村長の家の入り口に引き戸を作ります。
その礼として、村長は茂に古びた剣をくれました。
他の町へ向かおうと山を登り始めてすぐ、茂とモナークは魔物である大きなオーガに出くわします。

第4話 コッカトリスと掛け声と大きな町

モナークはオーガと話すことができました。敵意のないオーガによれば、少し先にコッカトリスという見たものを石に変える鳥の魔物が棲んでいるとのこと。
茂たちはコッカトリスの巣を落とし、先へと進みます。
カナルスタ小国で一番大きな町ビランバティに到着した茂たちのもとへ、町の警護隊がやって来ます。茂は自分が建物を直す建計師であると嘘をつき、町に入り込むのでした。

第5話 地震と鍛冶師とベヒーモス

モナークは茂を連れて、知り合いの鍛冶師ユーラのもとを訪れます。話をしていると、魔物の接近を報せる鐘の音が鳴り響きました。
どうやら獣型の、ベヒーモスという魔物が街へ向かっているらしい。茂はモナークに、とある作戦を伝えます。

第6話 ハンマーと湯浴びと盗賊たち

茂の作戦とは、ハンマーでベヒーモスをかっ飛ばすというものでした。モナークにバッティングフォームを教え、待機します。
ユーラたちが持ってきた巨大ハンマーで、ベヒーモスを叩き飛ばしたモナークは、街の救世主となりました。
そして今度は、盗賊たちがやって来ます。茂たちが山から巣を落としたせいで、その住処をコッカトリスに襲われたようです。

第7話 精霊とセメントと茶色い光

大地の揺れで被害を受けた街ビランバティのため、盗賊たちに修復のための素材を取ってくるよう依頼した茂でした。
ここで、土の精霊の力を使うというミディアに出会います。
ミディアは魔物の糞から、セメントを取り出すことに成功します。誰かの役に立ちたいミディアは、茂に褒められ喜びました。

第8話 モルタルと洞窟の男と魔導具

土の精霊の力を使い過ぎたミディアはぶっ倒れます。モナークはミディアに対し、若干の対抗意識を持っているようでした。
盗賊たちが洞窟を探索した際に、大男に追い返されたと聞いた茂は、その男に会いに行くことを決めます。
モナークは火を起こす魔導具を使い、松明に火を付けました。

第9話 オークとアダマンタイトと天然水

洞窟へ踏み入った茂とモナークは、怒ったオークに襲われます。
茂が大ピンチに陥った時、大きな岩がオークの頭に当たりました。冷静になったオークをモナークが説得します。
ディロスという大男と出会い、話をしているうちに彼は乗り気になりました。なんと、仲間になってくれたのです。

第10話 夜中のトークと旅の準備と復興

ディロスは街の復興を助けてくれます。
しかし夜中、モナークはそろそろ旅を進めたいと言います。それについては、茂も同じ考えでした。
盗賊の頭領ジルに、数日後には旅立つと告げた時、ミディアは寂しそうにしていました。
旅に必要な物品が揃い次第、茂とモナークは再び旅に出る予定です。

第11話 溶鉱炉と変な名前とベリーニ

ユーラは、モナークの剣に特殊な鉱石であるミスリルを混ぜました。これで飛躍的に剣の強度が増すかもしれません。
ミディアは、一緒に旅に出たいと言いました。酒を飲んだ茂は、現世で彼女の高梨に言われた言葉を思い出します。
茂はミディアを連れて行くことにしました。

第12話 仲違いと別れの挨拶と涙

ディロスも自ら、旅に同行すると言ってくれました。
モナークはご機嫌斜めです。勝手にミディアを連れて行くことにした茂に不満があるのでしょう。
ジルや鎧の男など、世話になった人たちに別れを告げ、旅立ちます。
途中の川で、モナークは涙を見せました。茂はそんな彼女に、自分だけのための戦士でいてくれと言いました。

第13話 地割れと橋と大きな獣

道中、大きな地割れに行き当たりました。対岸へ行くにはかなりの労力を必要とします。モナークの黒い翼を使い、簡易な橋を架けることにした一行は、その準備を終えました。
モナークが翼を広げて飛び立つと、下から現れた神獣に喰われてしまいます。茂は彼女の後を追い、神獣の口内へと入っていくのでした。

第14話 小人族とベタベタと風の精霊

神獣の腹の中はとても広大で、そこにはかなり前に喰われてしまったホビットが棲んでいました。彼らの家でひと休みし、脱出する術を考えている時に、茂は風の精霊と出会います。
モナークと風の精霊の力を合わせる脱出劇を目論む茂でした。

第15話 大脱出と粘液と神獣の背中

モナークが黒い翼を広げ、風の精霊の支援を受け、茂たちは神獣の体内からの脱出を試みます。
精霊は、口は閉じているので鼻から出るよう指示します。その時、神獣がくしゃみをしたのか後ろから粘液が迫って来ました。
神獣の体外へ放り出された茂たちですが、息をつく暇もなく、神獣の背中を使い地割れの対岸へ渡ろうと走り出しました。

第16話 フカフカな背中と巨大な手と昔の夢

茂、モナーク、ミディア、ディロスの4人は神獣の背中に飛び乗り、対岸を目指します。天幕を広げ、風の精霊が起こした風圧でなんとか崖の上に辿り着いた茂とディロスは、落ちそうになるモナークとミディアを引っ張りあげようとします。
ミディアが土の精霊の力を使い、崖に巨大な手を作り出し、ようやく対岸へ渡ることができた一行。茂は風の精霊に体力を吸われ疲れ果て、意識を失いました。

第17話 小さな村と埃っぽい寝床と約束

以前ミディアが訪れたという村へ、一行は向かいます。
モザイという村長は、宿を提供する代わりに村の囲いを作るのを手伝ってほしいと言います。
夜、モナークは茂と話します。どうしても見張りしたいと言うモナークを、茂は抱きしめながら眠りに就きました。
翌朝、モナークと茂は、お互いに守り合うという約束をしました。

第18話 柵と荷車とケルベロスの住処

しばらく姿を見せなかった風の精霊と再会します。風の精霊は、人の心を読めるようです。さらに精霊は探し物を見つけ出す力も持っているということで、セメントをつくるため魔物の糞が大量にある場所を探索してもらいます。
荷車の修理をした茂は、モナークとディロスと共に、ケルベロスの棲む洞窟へと向かいます。

第19話 優しい武器と湖と運命

煙で洞窟からケルベロスたちを追い出し、洞窟へ踏み入る茂たち。足を怪我しているケルベロスと対峙します。魔物を落ち着かせるため、風の精霊に柔らかい武器を作ってもらいました。
荷台に大量の魔物の糞を乗せ、動けない茂をモナークとディロスは糞の上に乗せて荷車を押し、村へ戻ります。
体の汚れを落とすために湖に入った茂に、ディロスは、仲間はいいものだと言いました。

第20話 柱の施工と垂直出しとネックレス

ケルベロスたちが村に来ました。糞が欲しいだけだと伝えたところ、魔物たちの協力を得ることができました。セメントの抽出のため力を使い果たしたミディアの回復を待ち、村を出ることにしました。
村の囲いに使う柱の基礎を作った茂に、モザイは、風の精霊の加護が込められたネックレスを贈りました。

第21話 ワイバーンと飛翔と深い森

ワイバーンの巣で足止めされている一行、茂は自分が囮になると言い出します。
風の精霊の力で飛んだ茂に、ワイバーンたちが迫ります。追いつかれそうになったところを、黒い翼で飛んできたモナークが助けました。
ワイバーンを振り切り深い森に到達したふたりは、しばらく休むことにします。

第22話 病室と蜥蜴と告白

眠った茂の意識は、現世の病院にありました。高梨が声をかけます。
モナークのことが心配な茂は、もう一度モナークのもとに戻れるよう願いながら目を閉じました。
アシェバラド大陸へ戻った茂は、モナークのことを、自分の命より大切な人だと言いました。

第23話 賊と吟遊詩人としつこい奴ら

森の中から飛び立ち、周りを確認しようとしたモナークへ、弓矢での攻撃が向かってきます。
ランダという頭領が率いる数人は、吟遊詩人を護衛しながら旅をしていました。モナークはランダを信用できませんが、茂はランダと共に行動することとしました。
岩壁を登り次の街へ進もうとする一行に、しつこいワイバーンたちが迫って来ました。

第24話 緑の矢と決着と巨大な魔物

風の精霊を介し、ワイバーンたちを説得することに成功しました。風の精霊は平気で嘘をつくようです。
再び街を目指す一行は、遠くの空にドラゴンを発見します。一番小さいドラゴンであるはずのレッサードラゴン、それでもかなりの大きさです。

第25話 宿と酒場と火の精霊

風の精霊によれば、ドラゴンは鉱石を好んで食べるということです。その大きさに圧倒されながら、茂たちは街へ辿り着きました。
ミディアとディロスに再会したものの、疲れからかモナークが倒れてしまいます。
アレックが茂の持つネックレスに興味を持ちます。この世界では、精霊の力を使う者のことを精霊使いエレメンタラーと呼ぶようです。

第26話 サラマンダーと魔導石と水の精霊術士

ドラゴンのせいで山から下りてきたサラマンダーに、街が襲われようとしています。茂、ランダ、アレック、ディロスはギルドの戦士と共に、サラマンダーと対峙します。
炎を纏うサラマンダーに対し、風の精霊は何もできません。戦いが始まってすぐに劣勢となり、茂はミディアに助けられます。その時、水の精霊使いエレメンタラーが現れてサラマンダーたちを退けてしまいます。
彼女はアーメルと名乗りました。

第27話 合成と精霊術士たちと隠しごと

翌日、茂はアーメルと会い、この世界のことや精霊のことを教えてもらいます。彼女は、王都の修道院にこの世界について書かれた書物を納めた一室があると教えてくれました。
倒したサラマンダーから取り出した魔導石の合成を試します。いびつなものが出来上がりました。アーメルは、いつか役立つかもしれないから、石をもっておくよう言いました。
最後に儚げな笑みを浮かべ、彼女は去って行きました。

第28話 地図と日本人と謎の声

この街バンサレアにもう少し滞在することにした茂でした。
旅道具屋で、ミドリという赤髪の女性に出会います。彼女は茂に地図を見せ、王都への道のりについて教えてくれました。その昔、王都で起きたという内乱についても教えてくれます。
ミドリに本当の名前を告げようとした時、頭に男の声が響き、茂は激しい頭痛に襲われました。

第29話 頭痛と建設現場と教授

頭痛の原因は常闇の呪いであり、風の精霊の力に助けられます。茂はもう本当の名前を名乗らないことにしました。
ギルドで建設現場の仕事を引き受けた茂は、不十分な基礎の建物の傾きを直すために風の精霊の力を使います。
意識を失った茂は、大学時代の岩永教授の夢を見ます。教授は、ミドリをよろしくと言いました。

第30話 銀の腕輪と錆びた刀と出発

ランダから、王都に着いたらマーシャという女に渡してほしいと、銀の腕輪を受け取ります。
再びミドリを訪ねると、彼女は錆びた日本刀をくれました。岩永教授が置いていった物とのことです。
茂、モナーク、ミディア、ディロスの4人は、再び王都へ向かい、歩き出しました。

あとがき

初めて書いた小説である拙作「クレイジーサンセット」では書けなかった場面を書きまくる、というつもりで書いた小説です。神獣の腹の中に落ちていく展開とか、続編「2 レミルガムの回廊」での全編通してのドタバタすべてがそうです。

この小説「1 王都への遠路」を書き終わった時、小説を書き始めて1年ほどが経過していたわけで、書きたいことが書けるようになっているという満足感を得ましたし、素人ながらに随分成長できたような気もしました。

書き終わってすぐ日本全国周遊の旅に出て3か月、色々な場所を廻って、毎日それをエッセイみたく書きました。そしてその経験を「2 レミルガムの回廊」の描写に生かしました。

「クレイジーサンセット」から始まった僕のファンタジー世界における旅は、まだまだ続きそうです。……せめて「オリハルコレア」を完結させるまでは趣味の小説書きを続けていきたいな、そう思っています。

※見出し画像ほか、すべての画像をBing Image Creatorで生成しました。

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