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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」巴工業(6309) 2018/09/04

※このレポートは2018年9月に作成されたものであり、企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。

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      石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆


   ◇銘柄研究 巴工業(6309)
   ◇コラム 預貯金代わりの資産株に資金を振り向けることを検討


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◇銘柄研究 巴工業(6309)


 本日は、1941年(昭和16年)創業のデカンタ型遠心分離機の日本国内シェアトップメーカーである、中堅化学機械メーカーの巴工業を研究銘柄として取り上げます。


 巴工業は、遠心分離機のパイオニアである機械メーカーと、2万5千種類以上の化学工業製品を扱うニッチトップの専門商社という、2つの異なる顔を持つ企業です。創業から76年を超える歴史の中で培ってきた技術力とネットワークを駆使し、衣食住に関わる様々な工業製品からインフラ整備まで、人間の営みに不可欠な産業を下支えしながら、成長しています。


 機械製造販売事業(メーカー機能)は、デカンタ型遠心分離機を主力とした総合遠心分離機メーカーとして食品、水産、化学、製薬、造船、鉄鋼、電力などあらゆる産業分野各種分離機器を納入し、日本の産業界の発展に寄与してきました。

 また、1970年代の後半にはいち早く環境関連分野に進出し、下水や産業排水の処理を主体とした環境保全事業に携わってきました。

 近年は顧客のニーズの多様化・高度化に応えるため、機械メーカーとして永年培った経験を活かし、営業-技術-製造と一貫して顧客の問題解決を行うソリューションの提供を目指しています。


 化学工業製品販売事業(商社機能)は、戦後間もない1963年に敷設された太平洋海底電線の被覆用ポリエチレンを、米国ユニオンカーバイド社から本邦初導入した実績があるように、欧米をはじめ世界中から最先端商品を輸入し、さまざまな産業分野に供給しています。


 本日の研究銘柄として巴工業を選んだ理由は、8月31日に発表した2018年10月期第3四半期の業績が、前年同期比で増収増益だったことと、据え置かれた通期の予想が増収減益予想であり、業績上方修正の可能性が高いことです。

2018年10月期の第3四半期の決算短信です。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05360/2aa5d331/0cce/4696/9162/1d6ea38c5605/140120180817498574.pdf

 巴工業の2017年11月~18年7月までの9か月の業績は、純利益が前年同期比20.9%増の10億円でした。売上高は前年同期比3.5%増の304億円、営業利益は前年同期比17.9%増の15億円、経常利益は前年同期比18.6%増の15億円でした。

 売上高は、機械製造販売事業および化学工業製品販売事業の販売が共に増加しており、前年同期で3.5%の増加となりました。


 セグメント別の利益に関してもほとんどの部門で利益が伸びています。


 機械製造販売事業においては、売上高は前年同期に比べ9.4%増加しました。
 利益面については、収益性の良い部品・修理の他、機械、装置・工事の全ての区分において増収となり、営業利益は前年同期比197.3%増加しました。


 化学工業製品販売事業では、工業材料分野の自動車や住宅・建設用途向け材料、電子材料分野の半導体製造用途向け搬送用商材等の他、香港およびタイ拠点による販売の伸びにより、売上高は前年同期に比べ1.9%増加しました。

 利益面については、収益性の良い商材の構成比率が高い工業材料分野、電子材料分野の増収と機能材料分野の収益性が向上したので、営業利益は前年同期に比べて9.6%増加しました。


 通期予想に関しては5月に一度上方修正をしていますが、今回はその予想を据え置きました。2018年10月期は純利益が前期比0.9%減の14億円です。

 売上高が前期比4.6%増の430億円ですが、営業利益が前期比0.4%減の21億円、経常利益が前期比0.9%減の22億円の予想です。

 第3四半期時点の決算短信では、受注高や受注残高は開示されていませんが、第2四半期に開示された決算説明資料の18ページを見ると、完全な受注生産で製造する機械製造販売事業における受注予想などが、前期比で増加予想となっており、今後通期の利益予想はもう一度、上方修正される可能性が高いと考えたことが、研究銘柄として巴工業を選んだ一番大きな理由です。
https://www.tomo-e.co.jp/ir/pdf/prezen_18_2q.pdf

 つづいて、本日の研究銘柄として巴工業を選んだその他の理由も具体的に説明します。


1.このごろの日本株式市場では、企業の発表する業績予想が前年同期比で減益予想であるとか、従来の業績予想から減益修正されたりすると、どれほどPERが低い企業の株も、売り込まれて下がる傾向が強いです。その点では巴工業は、8月31日に2018年10月期第3四半期の決算短信を発表済みで、最初に確認したようにほとんどの分野で利益が伸びています。

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