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91冊目【本のはなし】自分の後悔、わが子に託していませんか?

人生で後悔したことってありますか?
それ、自分で解決できますか?

最低な私は、子どもに「自分の後悔したこと」を託そうとしていたようです。


先日の話です。私は、小学6年生の娘と大喧嘩をしました。はじめのうちは、お互いに言葉をぶつけあっていたのですが、最終的には大人の私のほうが勝ちました。たたみかけて娘から言葉をうばった結果、彼女は、だんまりを決め込みます。

大喧嘩の内容は、大まかにくくると勉強です。


「勉強しておかないと、人生をせばめるの!やりたいこともできなくなってしまうでしょ?勉強しなさいよ!動画、動画、動画ばっかり!あんたの見てる動画なんてくだらんゲーム中継でしょう!!」と私。

「ママだって見てるでしょ?スマホ見て、ばっかりで、夢中じゃん。私のことなんか言えないじゃん!」と娘。

「ママはやることやってます!料理も洗濯も掃除も、自分の仕事もおわらせてから余った時間で見てるんです!あなたは、逆でしょ?まず動画、まずゲーム。学校の宿題も、塾の宿題も、あとまわし!!!そんなに動画ばっか、ゲームばっかやりたいんだったら、学校なんてやめちまえ!」

「・・・どうしてそんなに、飛ぶの?おかしい」

この時点で、娘の言葉は口から出てこなくなります。調子がよくなってしまった私は、さらに言葉を重ねて、最終的にコントロールしている状態になります。今回の場合は、動画もゲームも取り上げて、私の思い描いた宿題をやり上げる子に仕立ててしまいました。

「仕立ててしまいました」と書いたのは、指摘されたからです。娘のオンライン英語の先生に、ほぼ毎日宿題をメールにて提出しています。その仕上がりがいつもと様子が違うと気づいたのでしょうか?先生から娘の様子について尋ねられたのです。

勘違いした私は、自分の手柄のように、アドバイスをしたことを伝えたのです。先生からは、「どうしても言いたくなりますよね、でもお母さんは違うサポートをしてください。」と言われてしまいました。そこでようやく子どもを操ろうとする悪い癖がまた出ていると気づいたのです。


言われなければわからない、愚かな母親。


では、こんな母親が立派に勉強をしていたのか?と問われると恥ずかしながら否定をしなければなりません。

その前に私の母について話します。母は、昭和23年生まれ。爆発的に子どもが生まれた第一次ベビーブームのころに誕生しました。時代的には、ある程度の年齢に達すれば結婚、それが女の幸せだと言われていたようです。ただ、一定数は仕事をする自立した女性もいたとのこと。

中学を卒業したら仕事をしてもよし、その先へ進むもよし。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を思い描いていただいたらいいかもしれません。

そんな時代、母は中学を卒業とともに高校進学をすべく受験、見事合格をするものの、心変わりをし服飾専門学校に進学しました。しかし、服飾専門学校に行ったものの、就職先は服飾関連とは程遠いものでした。30歳になるまで、ほどほどに仕事をし独身生活を謳歌していたようです。


彼女の自由さに私はあこがれました。しかし、いろいろ思うことがあったのでしょう。手に職をもたない母は、ことあるごとに「手に職を持て」と言ってきました。

「手に職は持っておいたほうがいい。なんだっていいから、とにかくこれと言うものを持っていなさい。だから勉強しなさい!」と母が言いました。

「じゃあ、私はこの身一つで勝負するから大丈夫!勉強はしません!」と勘違いはなはだしい娘の私がいいます。


その言葉を聞いた母は、何と思ったのでしょうか。たぶん「ダメだ、こりゃ」って頭をかかえたでしょう。

時には、喧嘩のような、喧嘩にならないような、意地と意地とのぶつかり合いをし続けました。何年もかけて「学べ、手に職を持て」と口説いた母も最終的にはあきらめの境地。猛反発してきた娘は、丸腰のまま社会にでました。


結果、母は正しかった・・・と思うほかありません。


「同じ苦労はさせたくない」それが母心だというのなら複雑です。娘だった私は、その気持ちがとにかく煩わしかったのです。でも今は、母になって「同じ苦労はさせたくない」と思い、娘をコントロールしようとしてしまっていました。


オンライン英語の先生からの「どうしても言いたくなりますよね、でもお母さんは違うサポートをしてください。」という言葉、違うサポートとはいったい何だろう。


手探りながらこんな本を読んでみることにしました。


魚を与えるのではなく、サカナの釣り方を教えよう 起業家の父から愛する子へ33の教え( 浦田 健 )


ここでいう魚は、財産などでしょう。残念ながら、財産はありません。

ただ私の場合、釣り方を教えているつもりが、後ろから羽交い絞めにして魚を釣れと強要しているのではないか、魚は私が見立てたものを狙えと耳元でさわぎすぎているのではないか、そんなイメージが膨れ上がってしまいました。

もう少し釣りに見立てて話します。私がやった行動は娘から釣竿を奪い「ママにやらせなさい!!」といって、娘の行動を制限していたのかと、顔から血の気が引いてしまいました。


娘に釣竿を返して、自分の釣りに集中するべきですね。小学6年生の娘はもうすぐ中学校へ入学します。それで張り切りすぎていたようです。


ところで本の内容は、人生を有意義に過ごすための「教え」が書かれていました。私は娘にぜひ読んでほしいと思っています。ただ、私がやるべきことはこの本を本棚にそっと置いておくこと。ただそれだけで十分でしょう。


未来を担う若者にこそ読んでほしい本ではありますが、今回私がお勧めしたいのは、自分の後悔したことをわが子に託そうとしてしまった親御さんへ。

その気持ちのストッパーになるのではないでしょうか。

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