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丁子とは ーお香の原料ー

お香の原料で使用されれる丁子(ちょうじ)についてです。

丁子とは、インドネシアのモルッカ諸島を原産とするフトモモ科の常緑樹の蕾で、開花する間際に摘み取り、乾燥させたものです。

英名はクローブ(英語:Clove)で、丁香(ちょうこう)や百里香(ひゃくりこう)、鳥の舌に見える事から鶏舌香(けいぜつこう)と様々な呼び名が付いています。また、開花して実になったものを母丁子と呼び、実も漢方に使われます。

日本には、5~6世紀ごろに入って来たとされ、正倉院に当時の丁子が残っています。

丁子は胡椒、桂皮、ナツメグと並ぶ4大香辛料のひとつで、様々な料理に使用されています。肉料理やお菓子、チャイなどの飲み物にも使われる汎用性の高いスパイスとして人気があります。

丁子や桂皮などは東南アジアの国々でしか手に入らないため、16世紀にヨーロッパの国々が激しい争奪戦を繰り広げることで、スパイス戦争がはじまりました。その希少性から、当時スパイスは、金や銀と同様の価値があるとされていました。ポルトガルやスペイン、イギリスなどの様々な国がこの戦争に参加して行きます。その中で株式会社の始まりとされる東インド会社が生まれ、香辛料の輸入が行われます。その後、フランスや、イギリスがスパイスの苗木を様々な植民地に移植して行くことで、自然とスパイス戦争が終結していきました。今ではアフリカのマダガスカル島など様々な国で生産され、原産地よりも多く作られています。

丁子の香りの主成分はオイゲノールで、丁子の精油の約70 - 90%前後含まれています。オイゲノールは殺菌剤や麻酔薬として医薬品にも使われています。虫除けにも効果がありますが、刺激が強いため昆虫や小動物などを飼育している場合、かからないように注意が必要です。

中国では古くから口臭を消すのに用いられ、口に含むとピリピリとした刺激があります。また、歯痛や歯肉炎を鎮めるとされ、歯科治療にも用いられています。漢方薬やアーユルヴェーダでは、体を暖め冷えを改善するものとして使用されます。

丁子はお香以外でも様々な用途で使用される原料です。
実際の香りを聞いてみたい方は、刻みや精油を手に入れて聞いてみてはいかがでしょうか。

※丁子の刻みはネットショップにて購入が可能です。


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