マガジンのカバー画像

OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

115
OKOCROSSING が運営する、香りにまつわる「わたしの物語」を編み集めるプロジェクトです。https://oko-crossing.net/okolife
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

「水際」 ~ 塩素と陽射しとちょっとハナミズ ~

「水際」 ~ 塩素と陽射しとちょっとハナミズ ~

余白の匂い
香りを「聞く」と言い慣わす世界に迷い込んで十余年。日々漂う匂いの体験と思いの切れ端を綴る「はなで聞くはなし」

土曜の朝のクリニックはすっきりと空いていて、窓の下の見慣れたアーケードも整然と開店の時間を待っている。待合室の棚から手に取ったコミックでは、高校生の帰宅部コンビが川沿いの階段に腰かけてとりとめのない会話で時間を潰している。やんちゃそうな方のモーレツな関西弁がページから溢れ出す

もっとみる
香木への招待

香木への招待

まさかこれほど愛しく思うものと深い付き合いになるとは、その時は思いもしなかった。今でこそ香木が持つ精神的な、そして経済的な価値は理解しているつもりだが、その時の私には悪魔の誘惑とも言える、あまり良い出会いではなかったかも知れない。

今から9年ほど前の、神楽坂の会員制Barが「香木」との出会いの場だった。もう終電もない深夜、仕事でご一緒させていただいている、高齢の強面に1対1で誘われて入った。映画

もっとみる
春は沈丁花の匂い

春は沈丁花の匂い

子どものつむじは甘い匂い − 太平洋側育ちの日本海側子育て記 −
抱っこをしたり、着替えをさせたり、歯を磨いたり。小さい子どもの頭はよくわたしの鼻の下にあって、それが発する匂いは、なんとなく甘い。
富山在住・1歳女児を育児中の湘南出身ライターが綴る、暮らしと子育ての話。

外に出ると暖かくて身体がゆるんでおもいきり息を吸い込めることと、その空気がなんとなく良い匂いがすることが同時に起きて、ああ春だ

もっとみる