結婚式とご祝儀事件と時が止まった同級生

少し前、中学・高校時代の同級生の結婚式に行った。

私は友達の結婚式に行ったことがなかった。結婚している友達はいるが、コロナのこともあり身内のみで済ませることが多かった。親戚の結婚式には出席したことがあったが、友達の結婚式は初めてだった。

以下、
仲の良い同級生をA
今回の話題の中心となる同級生をB
  と呼ぶ。

結婚式に呼ばれた

招待の連絡がきたとき、私はすぐにAに連絡をした。Aも同級生の結婚式に行くのは初めてで、2人で結婚式のマナーについてネットで調べ尽くした。

結婚式までにやらなくてはならないことは、とても多かった。ドレスは借りるのか、昔のものを着るのか。昔のドレスは着ることができるのか。ドレスに合う靴は?色は?白いものはNGで、白く見えるものもNG。これは白いのか白くないのか。ヘアサロンの予約もする必要がある。イヤリングも買わないと。あと、バッグはサブバッグも必要だし………

Aと2人で買い物に行き、必要なものを揃えた。ご祝儀袋に筆ペンで名前を書くのにも2時間かけた。結局すべての準備ができたのは、結婚式前日の夜遅くだった。

私たちは2人とも、ほかに誰が呼ばれているのか知らなかった。仲のいい同級生のグループがあるが、最近子どもが産まれたばかりの同級生や仕事の忙しい同級生がいるためなかなか出席の有無を聞くことができなかった。まあ、同窓会みたいな感じで当日のお楽しみでいいかな〜なんて思っていた。

今思えば、このとき連絡をしておけばよかった。

結婚式当日

会場は某有名ホテル。とても綺麗で歴史のある会場だった。招待状で知ったときからずっと緊張していた。準備に手こずったのも、会場に見合うかどうか悩んだことが理由として大きい。

当日はAと会場で待ち合わせをした。頑張って準備したし、マナーもたくさん調べたから大丈夫でしょ!と2人で気合を入れた。受付に向かい、記帳をしようとしたとき彼女が現れた。

「久しぶり!!えっ…‥2人ともすごい大人になってる!!なんでそんな綺麗な格好してるの〜!?」

振り向くとBがいた。久しぶりに会った懐かしさや喜びよりも先に私とAが感じたのは驚きだった。

Bはワンピースを着ていた。今どき、ドレスではなくてもお祝いの席で着ることができるようなワンピースがあるためそれ自体は問題がないのだが、Bのワンピースは明らかに浮いていた。どう見ても結婚式に着てくるようなワンピースではなかった。そして、黒いタイツを履いていた。ちなみにいうと、結婚式は真夏。いろいろとおかしいことがわかってもらえるとうれしい。
次にバッグと靴。古着屋で売っているような斜めがけのバッグに、こちらもまた古着屋にありそうなペタンコの靴。あれなんていうのかな…スウェード?みたいな生地の靴だった。

驚きすぎてうまく笑顔をつくれていた自信がない。なんで綺麗な格好してるのって、そりゃ結婚式だからだよ!とは言えなかった。

まあ、カジュアルにみんなが楽しめる式にしたいって新郎新婦が言ってたような気がするしいいか…と思い、記帳をすませてご祝儀も渡し、いよいよ席にむかおうとしたときにまた事件が起こったわけで。起こったというより、起きていた。

なんとBはご祝儀をもってきていなかったのだ。

なんで??そんなことある??とこれを読んでくれた人は思うかもしれない。だがしかし、Bがご祝儀を持ってこなかったのには理由があった。

当日は結婚式のあとに二次会が予定されていて、二次会の出席は事前に確認がとられ、代金も事前決済だった。Bはこの二次会の代金をご祝儀と勘違いしていたのである。

それならしょうがないか…とはならない。なぜなら、二次会の代金は数千円。ご祝儀の相場は友人なら3万。この差。本当にいまだに謎だけどなんで勘違いした?

まあでも勘違いしてしまったことは仕方がないし、後日渡した方が良いということを伝えてこの話は終わり……とはならない。悲しいことに。

私とAがご祝儀は後日渡した方がいいよと伝えたとき、Bが言った言葉が以下である。

「渡さないとだめかな……」

「3万って誰が決めたの?なんでそんなに払うの?」

オイオイマジかこいつ。 

結婚式の帰りに

私とAは結婚式が終わった後、スタバでお茶でもして帰ろうと話していた。結婚式は非常に素晴らしく、本当にとても感動した。いろんな人の想いがつまった最高の結婚式だったと思う。私達はこの余韻を楽しみたかった。服装やらご祝儀やらいろいろとあったが、お茶に誘わないのも良くないと思ったためBのことも誘ってみたところ行くというので3人でスタバに向かった。

案の定、スタバは混んでいた。日曜日ということもあって、3人で座れるような席はなさそうだった。もしかしたらという気持ちも込めて店内をぐるりと歩いてまわっているとき、突然Bが大きな声で

「よくスタバなんて飲めるよね!こんな高いの全然飲まない!」

なんでついてきた。とりあえずここで大きい声でそういうこと言うのやめてもらってもいいかな??ここにいる人たちは全員確実にスタバの何かしらのドリンク飲んでるから。


時の流れ

Bはあの頃のまま時間が止まっている。後日、別の友人に結婚式の話をしたところ、このように言われてなるほどなと思った。Bにとっては私達は全員あの頃のままなのだ。

時は流れる。制服を着て学校に行き、授業中に隠れてケータイをいじり、飽きればノートに落書きをする。そんな学生時代からもう何年もたった。今ではいわゆる大人の年齢になってしまった。できることも増えたが、できないことも増えた。結婚する人、子どもが産まれた人、転職した人、いろんなことが私達の周りで起きてきた。確実に時は流れている。

Bの時はあの頃のまま止まっている。だから友達に大金を払うのは嫌だし、人がたくさんいる静かなところでも大きな声で話す。(ちなみにBは結婚式の最中にも大きな声で「おしっこ!」と言ってトイレに行っていた。)

私たちまだまだ未熟だけど、少しずつ大人になっていってるんだよ。そうちゃんと彼女に言えたらよかったのかもしれない。きちんと言わなかったことは、いじわるだったかもしれない。彼女に何を言えばよかったのか、ずっとわからない。ただひとつ後悔していることは、誰がくるかを事前に確かめて、Bとも連絡をとりあって準備をすればよかった。そうすれば、少なくとも新郎新婦には迷惑をかけずにすんだかもしれない。明確な反省点である。

今回初めて友達の結婚式に行って、結婚式っていいなと思った。必ずやるべきだとは思わないが、友達の結婚式にはこれからもなるべくがんばって出席しようと思ったし、自分もあんな素敵な式がいつかできたらいいなと本気で思った。だからこそ、今回の結婚式の思い出を語るときに必ずBの話が頭に浮かんでしまうのが残念でならない。

大人の階段をのぼる。なるべくゆっくりのぼりたかったけど、そうもいかないのかなと思った夏だった。













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