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【知床から箱庭の島へ⑤】根室へ

▽6.27 fri

 5時起床。
知床は、くもり。 下半身すべて筋肉痛なり…悲。 さらに少し二日酔い気味の気だるい白い朝。
それでも、早寝早起き、日常よりも良い食事を三食いただき、有意義な心に残る登山をし、健康的な生活である。
「知床で人に還る」というのはホントウだな。

この日は閉会式だけなので、早朝から贅沢にも温泉につかり、最後の片づけなどをしてから、先にみんなとお別れをした。

ちなみに本大会の結果による全国大会出場校は、男子:北見北斗高校、札幌南高校、女子:札幌南高校でした。

乳白色の濃霧の中、知床横断道路をレガシィで走り、うっすらと望める北方領土を知床峠(738m)から見た。

そのまま国道335号線を羅臼町(らうす)へと下り、前日、男子隊のコースパイロットを務めた羅臼山岳会のWさんに お礼の顔を出しに行った。

羅臼町は「北の国から’01 遺言」でもずいぶんと撮影された地である。 賑やかな水産業と温泉などの資源に恵まれ、冬季には多くのオジロワシやオオワシが越冬する、ここもまた素晴らしき自然と人の知床である。
灰色の空の下、左手に北方領土の国後島(くなしりとう)を見ながら走る。

レガシィと国後島

野付半島へ寄っていく。 エゾキスゲ、ハマナス、ヒオウギアヤメ、センダイハギなど原生花園の花たちのオンパレードなのだが、天気が良くないので、どうも寂寥感のある景色である。
 白いご飯に「のりたま」をかけたような感じだ。うん。 色丹島も、こんな感じなのだろうか…と想像してみるが、イメージできない。

野付半島の原生花園

カッコウが、つがい仲良く飛んでゆく。鳥さんに教わる正しい姿だなあ。 水たちは湿原に揺りかごとなって、ひそひそと泥となり、たたずんでいる。 風のささやきを聴け…ただ、そんな感じである。

厚床(あっとこ)で左に折れ、国道44号線を、一路、根室(ねむろ)をめざす。走行車がほとんどない。 「北の国から’99 秘密」で蛍ちゃんが寂しく行き着いていた落石(おちいし)は、この辺りである。
心にどこか寂しい感じがする景色の中を走り、「返せ!北方領土」、「カニあります」などの看板が増えてくると、やがて人口約3万2千人の『根室市』である。

道路標識などの案内看板には、ロシア語表記が配慮されている。 網走や紋別などでも見慣れた光景なので、さほど驚きはないけれど、ロシアの人が街中を自転車をこいでいる。

この辺りでは、年間約1万7千人のロシア船員が上陸するという。 それにしても、肌寒い。 この日の最高気温は13度とのこと。 まだ、市内の一部でサクラが咲いているらしい。
投宿してから薬局へ行き、船の酔い止め薬を早速購入した。

サケマス、カニ、サンマなど水産物の豊かな食と観光のまち、根室市は、あたたかい街だと思う。

高校生の頃、単身ヒッチハイク中、夜中に着いてしまい、駅前の食堂に静かに入りラーメンを注文したら、そっと静かに名物の花咲カニをひとつ差し出してくれた温かさを、今でも忘れない。
そのときは近くの小学校のグラウンドの隅で寝袋のまま、夜露に濡れて朝を待った青くて遠い記憶がある。

この日も、花咲ガニにも、エスカロップという根室の料理(ピラフに豚カツがのっている)にも、目もくれずにラーメン屋へ入った。
ライスも注文したら、サンマの蒲焼きやフキの煮付け、冷や奴、タコの塩からなどのおかずまでズラリと出していただいた。 相変わらず、あたたかい街である。
また、夕陽フリークをしようと、温根沼(おんねとう)まで夕陽観賞に出かけてみるも、さむい。
吐く息が白い。今は何月だっけな?と思う。 初夏の6月下旬だ。気温10度を下回っている。
大きく期待した夕陽は低い雲のせいで出逢えなかったけれども、知床半島が海の向こうにシルエットとなって地理正しく浮かんでいた。

夕闇〜知床半島を望んで


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