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社会人2度目の梅雨

ここは何より失われた心を受け入れる特別な場所でならなくてはいけないのです。

ボイスメモに録音された自分の声が湿り気のある梅雨の壁に吸収されていく。ベタっと張り付いたまま跳ね返りはしない。そんな空気感が社会人2度目の梅雨のはじまりを告げている。
このボイスメモは街と不確かな壁(村上春樹)の好きなシーン。オーディオブックを聴くようになってから、文章のテキストの部分に集中して、声に出してみることにはまってる。声にして生まれたリズムに集中してみることで、頭の中で読み上げるのとは違った物語の立ち上がり方に気づいたり、感情をできるだけ削ぎ落としてテキストをプレーンにそのままにして言葉に発した時、自分の心の器の中に何が入ってくるかの精神の往来に、普段の読書体験とは違ったテキストを自分の中に入れ込んでいく作業のようなリアリズムを感じたりして、はまっている。
ドライブマイカーを観てからから、テキストが呼びかけてくるものに応える。という遊びに憧れてその本質に触れそうで触れないゲームをしている。

怪物のパンフレットに是枝監督が子役に、演技はコップだと捉えてみなさい的なことを言ってた気がするが、自分の心を器としてそれが入ってきた時に自分はどんな形なのだろうかと想像すると言うことなのかなとちょっと想像したりして、勝手にその子役と脳内ではシンクロしてみる。

ここまで社会人として突っ走ってきて割とノンストップに作品も出し続けてきたが、その中で自分が「機能する」ということに集中しすぎていて、いつのまにかそういう思弁もすることはなくなっていた。コップの形はどうだろうかというよりかはとりあえずコップに水が入ればいいかなという状態で自分が茶の湯呑みなのか、風呂の桶なのか、バケツなのか、はたまた繊細な薄造りのグラスなのか、見向きもしないまま走ってきた。

この謎のボイスメモを録音する時間と並行して思いも書き出さなくちゃなと思うこの頃です。

最近のお供

大貫妙子 ミニヨン
最近はB面ばかり聴いている。というかB面しか聴いてないな。突然の贈りもの〜あこがれの流れが何度聴いてもいい。誰かがVHSで録画した突然の贈りもののYoutube映像を見た時にあの音質に悪さと相待ってめっちゃかっこよかったんですよね。LPで聴くとまあそりゃ違いますけどね。ハイファイな暖かさが夢追い人の少年の心のような心象風景を毎回繋ぎ止めてくれます。

坂本龍一 TRAVESIA
坂本龍一のロマンとリズムを近くで感じれる最近のお気に入り。企画盤とはいえ、こんな曲もあったんだーって感じでかなり勉強になる曲がいっぱい。千のナイフから一個前のアルバムまで色々入ってるんですけど、この坂本龍一のリズムだったり音源を通した佇まいが全然変わらないのが本当にすごいよね。

HOSONO HOUSE 細野晴臣
50周年再プレス。聴くベースってこいうことかーって頷きながら最近聴いてます。ハリースタイルズが影響受けたアーティストをどこかのライブ会場のインタビューで答えてる映像、友達に見せてもらったんですけど、細野さんの名前をあげた時、一気に黄色い声援がなぞに止むのが面白くて記憶に残っている。すみませんこんな感想。はっぴいえんどの名盤ドキュメントも面白かったな。

Nujabes modal soul
moonchildが日本公演でNujabesの楽曲をカバーしていたんだけどそれきっかけに聴き始めた。時間なくて腰を据えて聴けてないが、Nujabes特有の音の暖かさとどこか儚い感じが好きかもしれない。


他愛もない独白を読んでくれてありがとうございます。個人的な発信ではありますが、サポートしてくださる皆様に感謝しています。本当にありがとうございます。