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No.1225 これも大リーグ級!

「惚れてまうやろ!」
そう思った笑劇のシーンでした。
 
昨日の大谷翔平選手がスタメン出場するドジャーズ対ダイヤモンドバックス戦(敵地球場)は、BSで10:30(日本時間)から放映されるはずでした。しかし、TV画面は「蜂の大量発生」のシーンから始まりました。試合開始の20分ほど前にミツバチの群れが飛来し客席近くのネットに陣取ったのです。
 
10分待っても20分待っても30分待っても、一向に試合の始まる気配がありません。観客が蜂の被害に遭ったら大変と、業者を呼んで排除するまで待たされることになりました。予想外の待ち時間の長さが、両チームのどちらに幸いするのだろう?と興味深く思っていました。
 
そこは、ハプニング好きのアメリカ人らしく(?)こんな事態にも癇性にならず、鷹揚に対処します。ミツバチ(bees)が現れたことを知った球場サイドから、ビートルズの「 Let It Be」を流すというお茶目な演出もあり、大リーグの心の豊かな土壌を感じました。
 
さて、業者はオープンカー(?)で現れ、盛んな拍手で観客に迎えられました。
防護服を纏い、蜂の群れに油を噴霧して、飛ばせなくし吸引機で駆除しました。
作業を終えた駆除員に「THANK YOU BEE GUY」のモニター映像と「MVP」コール。
その後、防護服を脱いで「俺がやったぞ!」と観客に猛烈アピールをしました。
さらに、彼は急遽「始球式」までするという異例のVIP待遇に大盛り上がり。
投げたボールにキャッチャーの選手がサインして手渡し、労をねぎらいました。
 
この一連の流れを見た時、大リーグは、観客と選手と業者までが加わって野球を創り楽しむという長い歴史の上に培われた厚みというか、凄みというか、和みというか、底の奥深さを強く感じました。思わず、芸人・チャンカワイの決め台詞、
「惚れてまうやろ!」
と言いたくなりました。この業者さんは、プロ顔負けのエンターテイナー(ディレクター?)でした。
 
試合は115分遅延し12:30(日本時間)頃の開始となりました。2対2のまま延長戦のタイブレーク方式となり、10回表にドジャーズが1点追加得点をあげましたが、その裏にホームランを打ったダイヤモンドバックスが4対3で勝利しました。
 
試合は、事故なく、支障なく、劇的なサヨナラホームランで幕を閉じました。試合が遅延したお蔭かもしれませんし、働きバチを従えた女王バチのお手柄だったのかもしれませんが、その主役の座は、機転の利いた業者の男性に奪われてしまいました。彼女は、「ビービー」泣いているかも?


※画像は、クリエイター・t.kobaさんの、「花に来たミツバチ。」の1葉をかたじけなくしました。お礼申し上げます。球場の蜂の群れは、大量の春の使者のようでした。