見出し画像

No.1231 あっぱれなマブダチの1周忌


「マブダチ」なんて70歳を過ぎた爺さんのお里が知れそうな言葉遣いです。
 
「まぶ」とは「本当・真実」の意味、「だち」は「ともだち」の略称のことで、テキ屋(香具師)の隠語を不良少年が使って知られるようになったとありました。一般的には、1970年代(昭和50年代)後半に若者の間でツッパリブームの流行があり、特別仲が良い友達を意味する言葉として普及した言葉だそうです。ハイ。私は、不良爺さんです。
 
しかし、我が愛犬チョコは、まさにそんな「マブダチ犬」でした。そして、去年の今日、15歳(人間なら75歳前後)で息を引き取りました。70代の同士を失った悲しさよりも、淋しさのこの一年でした。
 
柴犬と、ダックスと、シュナウザーを掛け合わせて3で割った(?)ような、みごとな三種混合犬の特徴をしていました。愛嬌があって、誠実で、鋭敏で、警戒心が強く、賢くて、ちょっと頑固で、我慢強くもあり、要するに、私にないものをたくさん備えていました。惚れちゃいました。
 
何といっても「散歩の伽(とぎ=話し相手)」になってくれました。彼女のお陰でA~Hまでの8つの散歩コースを設定し、気の向くままに選んで一緒に歩きました。


最後の年の1枚

夏冬は朝・夕の2回、春秋になると回数が増えました。お互い、健脚でした。1回に平均1~2km。興に乗るとEやFコースの4kmを小一時間かけて歩きました。年間雨日数の平均は約50日だそうですから、アバウトにも程がありますが、
1日2km×310日×15年間=9,450km
となりました。

「東京から約1万kmの場所はどこ?」
と調べてみたら、
「マルセイユ(フランス)、シチリア島(イタリア)、オタワ(カナダ)、シカゴやカンザス・シティ(米国)あたりがほぼ1万kmですね。」(YAHOO!JAPAN知恵袋より)
と出てきました。いつの間にか、そんなところまで一緒に歩いて行っていたなんて!

犬との散歩の面白さは、四季折々の自然の景色を楽しんだり、早朝の清々しい空気、夕方の心地よい風を一緒に感じたり、道行く人々と立ち止まって犬の話が出来たり、子ども達が犬目当てに親しげによって来たり、あれこれ考えを深めたりまとめたり、思わぬ気付きに出あったりすることです。一人ではないプラスの感情が生まれ、喜びが倍増します。
 
しかし、亡くなる数年前からじっと突っ立ったまま動かないことがありました。自分の体内の異変を感じていたのかもしれません。亡くなった去年の2月に乳腺がんで右の乳房を全部切除し、3月には子宮蓄膿症のためにお腹が腫れ上がり、緊急摘出手術を受けました。老いた身に相当こたえただろうことは容易に分かりました。どうすることも出来ない、がんの転移が彼女の体力を奪いました。どんどん痩せて行きました。
 
「年を取るという事、病に罹るという事がどういうことなのか、よく見ておきなさい。」
そう言われているようでした。体力の衰えた中でも、外に出たがりました。日に当たり、風を感じることを望みました。ふらふらしながら、表の道路でじっと佇みながら前を見、風を感じながら鼻をヒクヒクさせました。そして、足を踏み出そうとするのです。生きようとする意欲を持ち続けました。涙が出るくらい神々しく見えました。
 
そして、遂に寝たきりになり、2か月後の5月8日の真夜中に永眠しました。
カミさんの名付けた「すぴぃ」と、私が名付けた「チョコ」のダブルネームをもって虹の橋を渡っていきました。痛いとも、辛いとも、苦しいとも、悲しいとも言わずに。
 
今は、ネームホルダーにチョコの在りし日の写真を入れて首から下げ、1日1回散歩しています。あの子の目の代わりに、あの子の鼻の代わりに、あの子の足の代わりになりながら。
 
いつもは甘いものは与えないようにしていましたが、今日は特別に破れまんじゅうを父ちゃんと半分ずつにして食べよう!君の、1年の忌が明けます。


私も好きな破れ饅頭

ちなみに「破れ饅頭」の発祥は、慶長19年(1614年)延岡市の製菓店だそうです。元々は「皇賀玉(おがたま)饅頭」と言ったようですが、そこここ皮が破れ中餡が見えるところから、いつとはなしに「破れ饅頭」と言われるようになったと、延岡市携帯サイト(「延岡の名産品」)に学びました。410年もの歴史がある有り難い食べ物でした。感謝!