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No.1164 ダン!

動物の命を考える、可愛くてイイお話です。
 
ふた昔も前の、ある日のことですが、
「暗い世相を吹き飛ばすような明るい話はないかな?母さん!」
と声をかけたら、タイミングが良かったようで、すぐに話し始めました。
 
「昨日の朝のテレビでの話なんだけどね。
 5歳の女の子二人が、団地の近くの川に捨てられて流れている段ボールの箱が動いているのを見つけたの。自分たちで助けられず、自治会長さんにお願いしたそうよ。そしたら、箱の中には子犬がいたのよ。まだ幼い犬で、ぶるぶる震えて、小声でクンクン鳴いていた。でも、目が見えない様子で、すぐに転んでしまうの。
女の子たちは、団地で飼いたいと言ったんだけれど、
『団地のきまりで、ペットは飼えない』
って会長さんに言われたんだって…。
そん時の、子どもたちの言い分がいいいのよ。
『盲導犬は、目の見えない人を助けてくれるのに、目の見えない犬は、どうして捨てられちゃうの。』
って言ったんだって!この言葉に大人たちは降参して、空き地の小屋で飼えるようになったという話。イイお話よね。小学校3年生の道徳に3ページも載っている話だそうよ。」

ネットで調べてみたら、それは実話でした。松山市内の団地でのお話で、子犬は団地で飼うから「ダン」と名づけられたそうです。その後、小学校2年生になった二人の女の子たちはダンのことを「紙芝居」にし、コンクールに送ったら最優秀賞となり、新聞やテレビで取り上げられ、「道徳」の教材としても紹介されることになったのだそうです。

その記事をクリック一つで資料紹介できるすべを知りませんが、「目の見えない犬を助けた物語」(日本赤十字社)と題するネットの記事に詳しく書かれていました。一度ご訪問いただければ有り難く存じます。
 
それにしても、5歳の子の、
「盲導犬は、目の見えない人を助けてくれるのに、目の見えない犬は、どうして捨てられちゃうの。」
という言葉の発想にも、表現力にも、説得力にも驚かされ、惚れ惚れしてしまうのです。彼女らは、大人たちに真剣に訴える言葉を探したことでしょう。小さな犬の尊い命を見過ごせず、守り育てようとした5歳の美しい心に感服し、胸に熱いものを覚えました。孟子の「性善説」とは、こんなことも言うのかなと思いました。


※画像は、クリエイター・shihoさんの「子犬のポポ」の1葉をかたじけなくしました。大分弁で言うなら「えらしい」(可愛い)1枚です。お礼申し上げます。