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No.698 ちょっと口説いてみませんか?

二日間続けて「都々逸」(どどいつ)三昧をさせていただきました。書いている途中で、「盆踊りの口説き」に世界が通じているのではないか?と思いました。「口説き」とは「節まわし」のこと「唄う」ことです。

な・な・何と、おらが故郷山香(やまが)町の盆踊りの口説き文句が、ウィキ君に載っていました。農村部の日常の様子を面白可笑しく唄いながら、山香の郷のお国自慢もちゃっかりしております。

私は「踊る阿呆」の一人です。供養盆踊りもあったりするので、鎮魂の意味も兼ねて、帰省し参加させてもらっています。山村の小さな小さな盆踊りの輪ですが…。
 
山香弁のオン・パレードなので、若干の説明を要すると思います。都々逸の七・七・七・五ではなくて七・七・七・七の韻律であるのは、唄い易さや踊り易さからでしょうか?太鼓一台だけを打ち鳴らして口説きます。一区切りずつ訳してみたいと思います。

「山香口説き」
「よんべ山香の踊り子見たら おうこかたげて鎌腰ゅ差いて」(ヤーレサッサドッコイショ)
(夕べ山香の踊り子の姿を見たら 担ぎ棒を担いで鎌を腰に差していたよ)
 
「踊る片手じゃ稗(ひえ)餅ゅこぶる こぶる稗餅ゃぼろぼろあゆる」(合いの手、同じ)
(踊る片手で稗餅を食べる かじる稗餅がぼろぼろ落ちる)
 
「あゆる稗餅ゃいやりが運ぶ 運ぶいやりこ達者ないやり」(合いの手、同じ)
(落ちた稗餅を蟻が運ぶ 運ぶ蟻は元気な奴じゃ)
 
「色は黒うてもいやりのようにゃ いつも働くよい妻欲しや」(合いの手、同じ)
(色は黒くても蟻のように いつもよく働く妻が欲しいものじゃ)
 
「嫁を貰うなら山香の娘 色は黒いが立派なものよ」(合いの手、同じ)
(そんな嫁を貰うなら山香の娘 色は黒いが働き者だ)
 
「親にゃ孝行夫にゃ貞女 隣近所の付き合い上手」(合いの手、同じ)
(親には孝行、夫には貞淑 隣近所の付き合いも上手さ)
 
「家畜飼うのが大変好きで 仕事間にゃ牛飼いまする」(合いの手、同じ)
(家畜を飼うのがめっぽう好きで 仕事の間に牛も飼います)
 
「それで今では山香の牛は 世間評判のこりゃ牛となる」(合いの手、同じ)
(だから今では山香の牛は 世間でも名の知れた牛となったよ)
 
「嫁を貰うなら山香の娘 家畜飼うなら山香の牛を」(合いの手、同じ)
(嫁を貰うんなら山香の娘が良いぞ 家畜を飼うなら山香の牛が良いぞ)
 
もう、ほとんど「我田引水」、いや「牽強付会」、いや「漱石枕流」の世界です。とは言え、私の同窓生の山香の娘たちは、農家の働き手の一端を担ったよくできた人々でした。そんな彼らも、来年は古希を迎えます。時の経つのは、早いものです。早すぎます!

※画像は、クリエイター・ふうちゃんさんの、タイトル「41〜42|フォトギャラリー用イラスト」をかたじけなくしました。好きな世界観です。お礼申します。