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No.1237 トホホのホ

昨日、ひょんなことから「骨(コツ)上げ」の話になりました。
 
火葬された人の遺骨を「葬儀師」の導きに従って、喪主から始めて、遺族、親族の順に壺に納めていきます。
 
この時に箸を使うのは、故人を「この世からあの世に橋渡しする」という意味が込められているのだそうですが、とにかく、足から腕・腰・背骨・肋骨・頭蓋骨と下から上へと順番に拾い上げ、最後に喪主が喉仏を骨壺に収めます。喉仏は、その名の通り仏様が座禅を組む姿に似ていることから(?)、最後におさめるのだと言います。
 
ある火葬場で、女性の葬儀師が頭蓋骨を納める前に、何やら顔や頭の辺りの骨の間を目を凝らしながら探し物をしていたそうです。私の妹が、
「何を探しているんですか?」
と尋ねたら、
「歯を探しているんです。あの世でも噛んで食べて頂きたいですからね。」
と言ったという話をしてくれました。
 
私は、火葬場で何度か「骨上げ」をさせていただきましたが、「歯」を骨壺に納めたというのを見たり聞いたりした記憶がなかったので、驚きと共に有り難さを覚えました。女性ならではの細やかな心配りだったのでしょうか?それとも、単に私が見過ごしていただけなのでしょうか?
 
「8020運動」(80歳でも20本の歯を残す運動)は早くから言われてきたことですが、「7005」の私にとって、あの世に行っても食べる時に苦労するのかと思うとガビーン!です。

「葬儀師」ならぬ「総義歯」は、ものの味わい薄く、トホホのホです。
 
「口中に入れ歯遊ばす燕来と」
 田川飛旅子(1914年~1999年)


※画像は、クリエイター・takeshisaitoさんの説明にあった「ラオス正月(ピーマイラオ)なので、お供え物がかなり豪華です。」の一部です。お礼申し上げます。