仁の音

大分在住の、人生の秋を迎えた翁です。今は、非常勤講師として中学生・高校生から刺激と活力…

仁の音

大分在住の、人生の秋を迎えた翁です。今は、非常勤講師として中学生・高校生から刺激と活力をもらっています。種々の雑感と、たまに古典のコラムです。さて、どんな音を奏でることが出来るか?

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六十路の手習い

人生の秋の今頃になって、ささやかなブログを開設。 すべて息子の手引きによるもので、感謝一入です。 終活には少し早いので、せめて脳活・脳シャンのつもり。 「仁の音」とは「仁note」のダジャレです。スミマセン。 どんな人生の音を紡いで行けるか、私にとっても未知数。 お暇な時に、覗いていただける部屋にしたいと思います。 【翁のプロフィール】 1953年(昭和28年)大分県杵築市山香町の生まれ。山香中学、日田高校を卒業。1972年(昭和47年)日本大学文理学部国文学科

    • No.1223 根アカの志

      もう一度、聴きたかった! 何をか? 財津一郎さんが切々と語る、地主の子ども時代の壮絶な虐め体験談を! 何十年か前のTV番組で拝聴したその彼の実感の籠った体験談は、画面の中で聴いていた人々だけでなく、画面を観ていた私たちもハンカチを濡らさずにはおられませんでした。 数日前に放送されたNHKアーカイブス「あの人に会いたい」は、財津一郎さん特集でした。私の記憶していた話ではありませんでしたが、子ども時代に彼がいじめられていた時に恩師から学んだという思い出話をしました。

      • No.1222 希い望む心もて

        久留島武彦(1874年~1960年)は大分県玖珠郡森町出身の児童文学者です。 口演童話に力を入れ、1903年(明治36年)に日本初の童話会を開いたり、1907年(明治40年)には専門児童劇団の東京お伽劇協会を設立したりするなど、児童文化運動を全国に広めた人物です。 久留島武彦記念館は玖珠町森の三島公園内にあり、「日本のアンデルセン」と呼ばれた武彦翁を顕彰する博物館です。2017年(平成29年)に開設されたその記念館の初代館長に就任されたのが、久留島武彦や巖谷小波などを研

        • No.1221 お宝発見!?

          昨日、一念発起(?)して部屋の掃除をしました。 「掃除なんかせんでん、死にゃあせん。うちはホコリ高き家じゃからな!」 冗談なのだか、本気なのだか、歳をとってからの母は、よくそう言いました。そのDNAを正統に受け継いだ私は、母の言いつけをよく守り、死なない程度にしか掃除をしません。四角い所も丸く掃くことの出来る老人です。 しかし、ここへ来て、「死んだら困るな!」という状況になったので、ねじり鉢巻きをした次第です。なにせ、勉強部屋兼、応接間兼、寝室兼、物置き兼、ウォークインク

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        六十路の手習い

          No.1220 ツーン!

          小説家・随筆家の内田百閒(ひゃっけん、1889年~1971年)の「木蓮忌」から1週間が経ちます。裕福な造り酒屋の一人息子として生まれ、何の不自由もなく育ったために、頑固我儘・無愛想な性格だったということが、その写真のお顔にも見て取れるような気がします。 一方で、ユーモアのある人物であり教え子たちから親しまれ愛されたことが映画「まあだだよ」(黒澤明監督、大映映画、1993年)でみごとに描かれています。 その百閒は、狂歌が好きだったようです。江戸時代後期の文人・太田蜀山人(1

          No.1220 ツーン!

          No.1219 春山そ 我は!

          「金蘭・銀蘭をご存知ですか?今は、絶滅危惧種に指定されている花だそうです。T子さん家の近くにあるので見に行きませんか?」 親切さんから電話をいただいて、昨日「ひきつりひっぱり5人衆」(90代1人、70代2人、60代2人)が再会しました。「ひきつりひっぱり」とは「縁による繋がり」をいう宇和島方言だそうです。私たちメンバーの呼称として有り難く戴いています。 メンバーの1人のお宅は「樹間の楽園」とでも呼びたくなるような山の中の開けたところにあります。近くの雑木林には、クヌギ

          No.1219 春山そ 我は!

          No.1218 枝を折ったのは?

          私は、4月29日で71歳を迎えます。 昔、70歳になった老人は「楢山参り」をしなければいけなかったという伝承があります。小説『楢山節考』(深沢七郎『中央公論』1956年11月号)は、70歳を目前にした老女(おりん)が土地のならわしに従い、息子(辰平)に背負われて楢山に捨てられに行くお話です。民間に伝わった老棄伝説だそうで、貧しい村の口減らしのための因習です。世が世なら、私は、既に捨てられていた年齢です。 原点となったものの一つに、950年ごろ成立し、その後増補を重ねた

          No.1218 枝を折ったのは?

          No.1217 民間話芸?

          全国区の噺家さんが、田舎の公民館に来てくれたのは、もう1週間も前のことです。観客数が100人足らずのミニ独演会です。よくぞ多忙を割いて来てくださったと、いたく感激しました。 友人からの誘いを貰った私は、開演の1時間半も前に会場にたどりつき、1番乗りでした。次第に近郷近在の人々が集まり始めましたが、圧倒的に老人たちが多く、若い人は数えるほどしかいません。私の席は、いつの間にか美しく年を召された女性ばかりに囲まれ、陸の孤島状態となりました。 凄いなと思ったのは、開演までのほぼ

          No.1217 民間話芸?

          No.1216 初めての後悔

          小さな団地の、ひな壇の土地の一角に家を建てました。 17段の階段を上り降りしなければなりません。30代の頃だったので、足腰の運動にもなるしいいだろうと思っての事でしたが、カミさんの友達のお母さんから、 「年を取ったら、苦になるよ!」 と言われました。 「そんなもんかな?」 と思っておりましたが、 「本当にそうだった!」 と思い当たる齢になってしまいました。 団地の100mほど上手に、9階建ての大きなマンションがあります。高台に建っており、道路から35段の階段を上がらねばな

          No.1216 初めての後悔

          No.1215 Petit

          大分の桜は、ほぼ散ってしまいました。 童話「花咲か爺」は、大分弁でいうなら「むげねえ」(可哀想、酷い)お話です。  昔、ある山里に心優しい老夫婦と、その隣に欲張りで意地悪な老夫婦が住んでいました。ある日、弱った子犬を助けた優しい老夫婦はシロと名付け、わが子のように育てました。 ある時、シロが畑の土を「ここ掘れワンワン」と鳴き始めるので、お爺さんが掘ってみると、なんと大判小判がザクザクと出てきました。  それを見た隣の欲張りな老夫婦は、強引にシロを借りて財宝を探させます。し

          No.1215 Petit

          No.1214 嬉し恥ずかし…。

          美味しい道草もありますが、嬉しい道草もあるようです。 21世紀が始まった年の1月に行われたウォークラリーに、カミさんと二人で参加した時の思い出です。気力体力が弱ってきたころ、ちょうどお昼になりました。 大野川沿いに、名前は失念してしまいましたが、イタリアンレストランがあったので入りました。私はイカ墨パスタ、カミさんは明太子クリームパスタを注文しました。パスタの茹で加減良く、お味も良く、ウェイトレスさんの愛想もよく、窓越しに見える眺望もよく、お蔭で足のしびれや痛みを少しの

          No.1214 嬉し恥ずかし…。

          No.1213 H先生の言葉

          「最近の若者は頭がいい」と言われます。その理由を説明しなさい。 そんな文章表現の課題がありました。 なかなかの難問です。「頭がいい」の意味は拡大解釈するしかありません。いや、課題の言葉のように「最近の若者は頭がいい」という評価も成り立つのでしょうか?アバウト至極な印象を持ちました。大風呂敷なだけに、さまざまな視点や論点も賑わいを増すのでしょう。 最近の若者の傾向としては、ものごとの好き嫌いをハッキリ言い、曖昧さを好みません。また、先を見通したり見極めたりする能力にたけ

          No.1213 H先生の言葉

          No.1212 お嬢は、今?

          卒業試験を終え、追試もクリアーして、ほぼ全員が自宅待機をしているというのに登校していた高校3年生のお話です。 その登校の理由は、 1、追試したにもかかわらず、まだ合格できない人。 2、補講がなかなか終わらない人。 3、学校が好きな人。 だからです。 ある年、残るたった一人となり、ようやく補講を終えた某女生徒が、教員室でのクラス担任の取り扱いを終えて出ていく時に、 「あーあー、この学校とも、お別れかー!」 と漏らしました。嬉しさと名残惜しさの入り混じったような感懐が、そ

          No.1212 お嬢は、今?

          No.1211 嘘なの?本当なの?

          誰も褒めてくれないから「自画自賛」するって、なんか悲しい! 「ボーッと生きてんじゃねーよ!」 永遠の5歳児チコちゃんの、品のある(?)言葉遣いに刺激され、 「世の中に 絶えて試験の 無かりせば 学生生活 のどけからまし」 という作者不明の名パロディ句に勇気を得て、その昔、百人一首戯れ歌を考えたことがあります。一度書いたことがあるのでお目汚し至極でしょうが、お許し下さい。少し加筆しました。 「永らへば 定期考査の しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今も変はらず」 「もろと

          No.1211 嘘なの?本当なの?

          No.1210 心と言葉

          自然科学は日進月歩(いや、分進秒歩?)のごときですが、人の心はどうなのでしょう? 「様良う、すべて人はおいらかに、すこし心おきてのどかに、おちゐぬるをもととしてこそ、ゆゑもよしも、をかしく心やすけれ。もしは、色めかしくあだあだしけれど、本性の人がら癖なく、かたはらのため見えにくきさませずだになりぬれば、憎うははべるまじ。」 (良い雰囲気で、全てにおいて女房は穏やかに、少しは心に余裕を持ち、落ち着いていることを基本にしてこそ、その品格も風情も魅力となりますし、安心して見ら

          No.1210 心と言葉

          No.1209 しゃくまたいし!?

          「湯加減を しょっちゅう聞くな わしゃ無事だ」 私も同じです。 「壁ドンで ズボンの履き替え やっと出来」 私もそうしています。 「爺さんが ボケたふりして 女湯へ」 これは、私ではありません。 「腹八分 残った二分で 薬飲む」 仁です!有名な川柳でごあいさつしました。 今日は楽しくやりましょう! 先日、別府で行われた中学時代の古希の同窓会には、42人(26%)が集まりました。その席上、もしも指名されたらそんな挨拶をしようと車の中で考えていたのですが、みんな、食事したり話し

          No.1209 しゃくまたいし!?