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私は何者か、番外編 a dozen 短歌 46


この国のこの民のこと忘れよう春の狼たったひとりの

生きるとか死ぬとかまったく触れ難き何もできずにしめる抽斗

走るのは私ではなく我の影いつも君らは私の味方

手を振って振って別れたつもりでも小指の先にマニュキア残し

約束を違えて我は野にあらんいつからこんなにやわな魂

それぞれに帰る処があるというそれはおそらく自身の真中

こうやってずっとこうしていたいのよ桃源郷のその桃の種

バオバブかワオキツネザルか見たこともないのに知ってる感じがするの

この香りこの色合いとあたたかさなのに闘うなんの欠落

ことばならやさしくできる平らかにケーキをはこぶ今日もあしたも

生きていることは稀有なる本日の流されなかったぎりぎり肯定

この波を素足に受けて心地よき黒曜石の浜へ来てみよ


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