私は何者か、132
少し離れたところからなら、よく見える。
絵の具を。
綺麗な色の絵の具を全部混ぜたなら、どんな色になった?
大人になるとはそういうことかと、苦しんだ日々があった。
いっぱしの、生きた年月だけなら、十分とは言えなくても大人の枠には入ろうが。
あなたの誕生日にあげた、小さな街のオーナメントがどこかに消えた。
あの街の黄色いおうちのなかに私が住んでいる。
あなたの乗っていたはずのクーペがお家の前に停まっていて。
だから、あなたも多分黄色いおうちのなか、私のそばでソファに寝そべっている。
木々も緑。
ドアも窓も。開いていたのか。閉じていたのか。
そのまま。
永遠に。
そのまま。
私の誕生日も近づく。
問うために生きる。
私は何者か。
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